エッセイの素(病床日誌 5)
その5
《某月某日》
国民が政府からこのような扱いを受ける国家を、ちょっと想像してみよう。
家族手当が一年に8万円。
子供が産まれるたび53万円の祝い金。
結婚すれば、一戸建ての助成金が500万円。もちろん家は無税。
個人的に起業をする場合の助成金が150万円。
大学卒業まで教育費は一切無料 。
医療費は生涯無料。
さらに、国内で治療が不可能な病気の場合、海外での治療費ならびに旅費等も全額国費で負担。
就職ができない場合は、就職できるまで公務員と同額の失業手当を支給。
電気代は無料。
ガソリン代は1リッターあたり約10円。
車の購入費は半額を国が負担。
ところが、こんなバラマキ政策でも、経済破綻をせずに成り立っていた夢のような国が実際に存在したのである。
しかもほんの6年前(※執筆当時)まで、さらに40年近くにもわたって……。
財源は、豊富に産出できた原油だった。
それをすべて国営化し、そこから得た膨大な富を国家が国民に分け与えたのである。
ところがそんなユートピア国家が地球上に存在すれば、非常に困る者がいる。
それは、常に危機感を煽って特権を維持している人間である。奴らにとっては、"やればできる、みんなが幸せな国家"の実在は、極めて都合が悪いのである。
世界各国の特権階級は、実は絶対的多数の国民…ピラミッドの下部を置き去りにして、そこから搾取し続ける必要性があるからだ。
そして国民はそれをなかば、飼いならされた"平和"と引き換えに当然だと受け入れているふしがある。
すべてが巧みな情報操作によって成り立っているように思えて仕方がない。
大手メディアは、ユートピアのような国の情報は一切伝えず、逆にその国の指導者を悪魔のイメージに仕立て上げた。
もちろん強欲極まる悪魔たちは、隙あらば自分たちに都合が悪い国家の政権を倒し、ついでに豊かな原油資源も強奪したいと考えた。
その連中らにとって、都合が悪ければ悪いほど、素晴らしい国ということになるが、その国こそ、カダフィ独裁政権下のリビアだった。
たしかに、中東の狂犬と呼ばれたカダフィの見た目のイメージは悪すぎたし、どうしても人は第一印象に囚われるが、人間が"見た目"だけではないというのも、この世の真理の一つなのである。
リビアは、ヒラリーにカダフィを殺されたあと、政治も経済も治安も現在に至るまで最悪の状態にある。
私が問題にしたいのは、まずひとつ。
1970年〜およそ40年。
その間に、リビアの信頼できる情報を、日本に住む私が、ほとんど知り得なかったという事実。
たしかに私も、国内の平和に甘んじてボォ〜っとしていたのだが、最大の問題は、メディアの情報操作を見抜けなかったという点である。
若干なりとも目覚めたきっかけは、インターネットの普及である。
私は、インターネットは、人類…この世界における、弥勒菩薩だと考えている。
とにかく、我々は、国内大手メディアやそれを操る海外メディアを、決して頭から信用してはいけないということが、この一件だけでもよくわかった。
私は予言する。
この国も、超大国に従属して十分に腐っている。
その証拠に、この先永遠に消費税はあがり続けるだろう。(※久保研二の予言的中)
そして、その悪政に対し、必ず天罰が下る。(※2020年、パンデミックで久保研二の予言的中)
さらに唾をとばして言う。
戦後の日本人の懸命な労働力から得た利益を、一部の権力者や他国の金融マフィアや国家に搾取されず、正しく国民生活に還元していれば、どれほどこの国は真に豊かな国になっていただろうか?
私でさえいろんなところからむしりとられたという、被害妄想に近いものを常に、ロンパールームの籠のように、頭上に載せて歩いている。
今は体調を崩して寝ているので、思春期のエロ本のように、全部まとめて、ベッドの下に隠しているのだが……。