赤い葡萄畑
もしもタイムマシンの切符を買えたら、私はまず最初に130年前のフランス南部のアルルに行き、ゴッホに寄り添いたいのです。
何もしてあげれないかもしれませんが、少しの金銭的援助と話し相手になりたい。
フランス・アルルの葡萄畑で夕方に人々が農作業をする様子を描いた作品、「赤い葡萄畑」。
この作品はゴッホが亡くなるわずか5ヶ月前に、ゴッホの知人の姉が400フランで購入しました。
実はこの絵が、ゴッホが生きているうちに売れたたった1枚の絵だと言われています。
バブル期に安田生命がゴッホの「ひまわり」を 58億円で競り落としたのは、私の記憶にまだ新しい出来事です。
「赤い葡萄畑」を売ってゴッホが得た400フラン。
当時の400フランは、一説によると今の1万円ほどだといいます。仮に10倍にしても、10万円です。
現在はモスクワの美術館が所蔵しているそうですが、当然値段がつきません。もちろん私の作品とは正反対の理由で。
同時代に生きる天才を、まわりにまどわされずに見抜く鋭い眼力。
そして、それを出来る範囲で援助する純粋な思いと行為。同時にそれが可能な財力。
130年前の反省を決して無駄にせず、今の時代、自分のまわりに生かしたい。
私は真剣に日々そんなことを考えています。