糖尿病患者と自動車運転


 2002年の道路交通法改定により、「運転免許を与えられない者もしくは保留することができる者」として、「発作による意識障害または運動障害をもたらす病気」が対象とされ、薬物治療中の糖尿病患者にみられる「無自覚性低血糖」が加えられました。
 運転免許の申請・更新は患者本人の申告によってなされるものであり、申請者が下記の質問事項に回答したうえで、医師の診断書と適正検査によって運転免許の拒否・保留の判断がなされます。

①過去の意識障害の既往
②最近1年間の意識障害の既往
③低血糖を自覚することができるか
④低血糖時に自分で対処することができるかどうか
⑤主治医から運転を控えるように指導されているか



〇糖尿病で治療していて低血糖の可能性があっても、運転中の低血糖にうまく対応できるならば「運転適性あり」と判断されます。
〇低血糖を起こしていても症状が軽いうちに自覚でき、運転を中止し、捕食がとれる患者や、運転前の捕食により運転中の低血糖を未然に防ぐことができる患者は問題ありません。
〇低血糖を自覚できているか、それに対処することができるかどうかがポイントです。


運転する際の注意事項


 糖尿病患者には必ず、自動車(バイク、自転車を含む)運転前の注意事項を指導し、下記のような注意事項を渡したうえ、カルテにその指導内容を記載しておくことが重要です。指導していない場合は医療者側に責任を問われる場合があるようです。

①運転前にSMBGを行い、低血糖を起こしそうな場合には、糖分の補給を行い、低血糖予防に努める。
②運転中に低血糖を起こしてしまったら、すみやかに安全な場所に停車し、症状の軽い段階に糖分補給を行う。運転を再開する前には、血糖値を確認する。
③車には必ず捕食を常備しておく。
④長時間運転では、一定時間で休憩をとり、SMBGを行う。
⑤低血糖になりやすい時間帯に1人で運転することはなりべく控える。

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