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#05 国会中継で学ぶ
国会中継は「Q&A」について考えるいい教材である。
表舞台(国会中継)だけではなく裏舞台にも注目せよ。
国会中継から学ぶべきこと
かつてはテレビの中継でしか見られなかった国会中継ですが、いまはYouTubeでみることができます。衆参両院のさまざまな委員会は、基本的に質問と答弁、つまり「Q&A」で成り立っています。
ところが、皆さんご存じのように、国会中継ではQ&Aが成り立たない場面が多くみられます。「記憶にございません」や「お答えを差し控えさせていただきます」という答弁などは、その典型です。
皮肉ですが、質問に対して答えをはぐらかしたい人は、はぐらかす勉強になります。逆にいえば、どう答えればQ&Aが正常に成り立つのかを考えるヒントになります。また、うまい質問をする議員もいますので、質問の勉強にもなります。ここで「うまい質問」というのは、単に質問内容が鋭いというだけではありません。声の出し方や姿勢、畳みかけかたなど、非言語的な要素を含みます。ぜひ自分の眼で、「うまい」と思う質問者を見つけてください。
蛇足ですが、国会中継を視聴するときは、ライブではなく、すこし時間がたってから観ることをおすすめします。というのも、答弁者がマイクにむかう時間がまどろっこしく感じられたり、議論が紛糾して速記が止めらたりする場面があるからです。また、個人的には、官僚の答弁に多い「お答えいたします」という前置きも気になります。ですから、早送りしながら視聴することをおすすめします。
舞台裏にも着目する
国会中継が表舞台だとすれば、中継されない「裏舞台」があります。
YouTubeで中継されている議論に目を奪われているうちに、実は、その裏側で重要な法案が審議されていることがよくあります。このような法案は、メディアでもあまり報道しないこともあり、気がついたら法案が成立していた、ということも少なくありません。
そこで、いわば「裏舞台」にも着目することをおすすめします。
現在審議中の議案を確認するには、LawHubというサイトが役に立ちます。
このサイトでは、現在審議中の議案の詳細が示されているだけではなく、改正された法律の変更前(赤)と変更後(緑)の文言を色分けして表示してくれます。
このように、YouTubeにあらわれない裏側にも着目することは、前回お話した「YouTube先生の外に出ること」につながります。(続く)