学びの種 #010「マンガで学ぶ」
マンガから広がる世界はバカにできない。
マンガを通して多くのことが学べる。
一般に、いい大人がマンガを読んでいるとバカにされる傾向があります。しかし、マンガから広がる世界はバカにできません。私のゼミに、野田サトルさん原作のマンガ『ゴールデンカムイ』を取り上げ、アイヌ文化についての民俗学的考察をした学生がいます。その学生は、最初はマンガから入り、マンガの世界観にあるアイヌ文化に興味をもつようになったといいます。
さて日本には、学校で学ぶような内容をマンガにした「学習マンガ」というジャンルがあります。たとえば、「マンガで学ぶ〇〇」などというのがそれです。これは、教科書の内容をマンガに移しかえただけのものですが、ストーリーマンガのなかにも、学びを広げてくれるものが多くあります。先ほど紹介した、『ゴールデンカムイ』からアイヌ文化に興味をもった学生の例などは、まさにそれにあたります。
「これも学習マンガだ!」というプロジェクトでは、マンガを通して社会に対する理解を深めることをすすめています。このプロジェクトに関して、マンガ家の里中満智子さんは、次のようにいいます。
(前略)「学習マンガ」もまた日本が誇る文化のひとつでしょう。けれども一見「学習マンガ」とは思えないストーリーマンガの中にも、まさに「学習」すべき知恵と知識がぎっしり詰まった秀作がたくさんあります。「これも学習マンガだ!~世界発見プロジェクト~」では、私たちが日々エンターテイメントとして読み親しんでいるマンガの中から「ドラマを味わいながら知らず知らずのうちに知識が広がり、多方面への理解が深まる作品」を「これも学習マンガだ!」の「も」に力をこめて推薦しています。
「学びの種 #008 カタログを活用する」で、「カタログは全体を見わたせるツール」だといいました。「これも学習マンガだ!」のサイトも、文学、生命と世界、芸術をはじめ11のジャンルにマンガを分類したカタログになっています。「ジャケ買い」のつもりで、気になったマンガをクリックして、そこから広がる世界を楽しんでください。
なお、『人生と勉強に効く 学べるマンガ100冊』は、このサイトと連動し、マンガのみどころについて解説しています。