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第二十四回「やめるのやーめた!!」
これは言うまでもないことなのだが、俺は本気でWaikatoを終わりにしよう思っていた。
ラストライブの半年以上前から終わる算段を整え、入念な計画を練り、誰がなんと言おうと自分の中に描いた完璧な終わりに向けて、狂った機関車のように車輪を回した。
しかし、そんな暴走機関車「Waikato号」にある日、Gt.かいさんがブレーキを掛けた。予定していたラストライブのステージに、かいさんの姿は無かった。
きっと正規メンバーの4人でラストライブをやり切っていたのなら、俺たちは何の躊躇いもなくWaikatoを殺していただろう。だが、あの日死んでいたはずのWaikatoの命を、かいさんがその身を挺して救ってしまった。
・
先日一年ぶりに入ったスタジオで、4人で鳴らした音は今までのどのライブよりも良かった。
「終わらせないで続けよう。そしてこのメンバーでこれからも集まろう」
みんな同じ意見だった。
ライブが無くても、新曲が無くても、俺が変わってしまっても、メンバーはこの居場所を残したいと言ってくれた。
この4人で繋がっていたいから、Waikatoはやめない。(改めて文章にするとちょっと気持ち悪いかもしれん。)でも一年分ぶりに4人で入ったスタジオで、心からそう思えた。
そして、
「あなたは死ぬまで生きていてほしい」
そう歌いながら自らは死のうとしてたことは、最早誠意でも何でもなかったのだろう。俺は自分の付けた歌詞に、頭をぶん殴られた。
一度死を決心しても、それでも死にきれなかった死に損ないの俺らなんだから、図らずしも生き永らえたこの余生を悠々自適に過ごしても良いのではないか。「死ぬまで生きる」ってのは、寧ろこういうことなんじゃないか。
もういいんだ。
カッコ悪く、みっともなく、情けなく、このバンドを続けていこう。言ってる事が真逆になっても、嘘つきだと馬鹿にされても、早く死んじまえと蔑まれても、他者からどう思われたって関係ないね。やりたいから続けるのだ。
死にたくても死ねない、正に球磨川禊を体現したようなバンドだぜ!!オールフィクション!
2024.12.31
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P.S.
改めて、こんな前提条件から間違ってるバンドにここまで付いてきてくれたかいさん、半田、しもっちーありがとう。
俺は盛大に「やめるやめる詐欺」をしてしまった訳だけど、色んな人に話したことと当時の気持ちには嘘は無いから許して。
今後は気まぐれにスタジオに入って気まぐれにライブをする、そんな活動になると思う。音楽を通してみんなと集まれるなら、今はそれで幸せなんです。
今の自分のありったけはトネリコズで出し尽くすつもりだから、Waikatoの方は無法も外道も何でもありで、余生を楽しんでこうな〜