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2nd Album「あなたは死ぬまで生きていてほしい」全曲解説

曲の解釈は人それぞれでいいと思う。
しかし、俺が敢えて自分の曲に解説を書く理由は、俺自身が曲に対する思いを忘れないようにするためである。(このnote内では散々言うが)誰かに向けて書いてるわけではないし、知りたくない人は別に読まなくてもいい。ただ作り手の意図する完成系が見えたほうが、より曲に対する解像度が増し、そこから別の風景が見えることもあると思う。まあ見る人が見れば何のことかわかってしまうし、改めて説明する必要のないこともあると思うが。

繰り返しになるが作品に対する解釈は人それぞれで良いと思う。百人いれば百人が別の感想を抱く作品というのは、それだけで価値のあるものと思う。だがその対岸で、不器用に不恰好に捻くれながらも真っ直ぐに、己の感情を燃料にしてメラメラと情熱の炎を燃やし尽くす。Waikatoはそんなバンドだと信じてる。



1.ユーアンド愛
今回の収録曲の中で一番最初にできた曲。出来たのは2022年9月頃かな。

君の手にした本や流していた音楽は、最初から俺の本棚に入ってるものもあれば、わざわざ同じものを買ってきてお互いで所持しているもの多々あった。というか敢えてそうしていた。その方がお互いの家で自分の好きなものを読んだり聴いたり出来るしね。ま、あまり意味のないことだと今では思うけど。(しかも俺の引越しの際に本棚自体も全く同じものに変えた。最近ではCDが増えすぎてスペースが足りなくなってきたので変更を検討中)

そして歌詞の中で繰り返される「君の隣に墓を建てたい」という言葉、俺の考える最上級のアイラブユーだと思うんですけど、みなさんどうですか?

冷静に考えたら、隣に墓立てるよりは同じ墓に入るほうがいいんだけどさ。それなのに墓を建てたい!って思いきり叫んじゃう感じ、らしさがでてるよね。そこも含めてお気に入りの曲よね。

俺が1stアルバムの頃に抱えていた強い不満を、ちゃんとぶち壊してくれたのがユーアンド愛。何より歌、アレンジ、歌詞の全部に納得いくものがやっとできた!という気持ちが大きかった。(1stの曲たちでは、当時の俺が求めるものをどれも満たせなかった。2ndの曲がまだ出揃っていない頃、ライブをするたびに演っている曲と自分の気持ちとのギャップに毎度嫌になっていたのを覚えている。)
俺らのことを知らない人にどんなバンドやってるの?って聞かれたら俺はこの曲を一番に紹介するかな。間違いなくWaikato二期の中心にある曲。

ちなみにラストの終わり方については、コンマ一秒単位で超こだわった。イメージしたのはCRYAMYというバンドのRED ALBUM「ten〜ディスタンス」の流れ。サブスクの流し聴きではあまり実感できないと思うけど、CDで聴いてみるとかなりキマってる。可能ならCD版で聴くことを勧めたい。(俺はサブスクをバンドを知ってもらう為の手段、CDは歌詞カードやアートワーク全てを含め、手に取った人の一部になる破片。二つを完全に分けて考えている。その中でCDを第一優先にしてるので、サブスクで音楽を聴くことはあまり想定していない。勝手にデータ全部消えた、とか怖いよね)


2.裂傷、暴走、フラッシュバック
大学〜社会人の間ずっと付き合ってたあなたは夏の初め頃に付き合って、何周目かの夏の終わり頃に別れた。まあ、その間何回か戻ったり別れたりをしてるけど。俺は(好きになる人の大抵がそうなのだが、今回も例に漏れず)彼女の匂いが大好きだった。
季節は流れ翌年の初夏、俺は衣替えのため夏服を取り出そうとタンスを開けた。そのタンスの中は、大好きだった優しい匂いが一杯に溢れていた。去年の夏の間はずっと、自分も同じ柔軟剤を使っていたから。

ちなみにタイトルの「裂傷」は時速36kmの「夕方六時、瀬戸之際」という曲のサビ部分から、「フラッシュバック」はアジカンの1st「君繋ファイブエム」の一曲目から取っている。暴走は俺がなんとなくで付けただけ。又吉直樹の火花は結構昔に読んだけど内容はよく覚えてないな。あんまりもう一度読もうとは思わないし。アルバムの中では一番最後に出来た曲。



3.Screw Slosher
この曲はメロディが先行してあって歌詞を後ハメして作ったので、俺の中では珍しいタイプの曲(大抵いつも歌詞を先に書く。最近は同時のパターンも多いかな)。だから歌詞も今読むとバーっと書き殴ったような感じではなく、割とカチッとしてるね。にしても、少々大袈裟かな。嘘ってわけではないけど今の自分では絶対書けない詞だと思う。(どうしてもメロが先にあると、そこにハマるかっこいい言葉使いたくなっちゃうよね。ニュアンスが損なわれないように気は遣ってるんだけど、やっぱ表現が少しオーバー気味になっちゃう)

元々はサビのドラムパターンが全然違くて、ずっとしっくり来てなかったんだけどレコーディングの直前、Dr半田の「ここ、何も考えないでやりたいっす」と、半ば投げやりの提案が案外上手くはまって今のサビの感じに。

タイトルは当時遊んでたスプラトゥーン3の武器、スクリュースロッシャーから。(俺はこの武器とオーバーフロッシャーが大嫌い。でもやたら多いんだよ。だからライブの時「みんな大好き」って言ってる。俺はシャープマーカーを愛用)

歌詞に関してはあまり言う事はないかな。曲名と歌詞がここまで乖離してる曲も俺にとっては珍しい。

ちなみに後々指摘されたんだけど、ラモーンズは全く意識してないです。洋楽これっぽちも聴かないし。昔はよく勉強のために、って色々聴いたんだけど単に苦痛なだけなのでやめた。洋楽を聴く人は偉い、すごい。聴かない音楽好きはニワカ、みたいな偏見が俺の中であったんだけど、よく考えたら大した違いじゃないね。無理して聴かなくたって別にいいんだよ。(昔の自分に向けて)



4.Utopia
これは現Baのしもっちーの正式加入が決まった辺りにできた曲かな。俺は彼のことを初めて見た時から気に入って、前ベースがやめるとなった時に真っ先に声を掛けようと思った。本人やハカラエメンバー(彼が元々組んでいるバンド)にも承諾してもらい、晴れてWaikatoのベースとして活動するようになってからは特に仲良くなった。(多分一番バンド以外の時間で遊ぶ仲だったと思う。しょっちゅう飲みに行くし、ライブに行ったり一緒に飯食ったりすることも多い、CRYAMYのライブに良く行った)

そしてちょうどWaikatoサポート期間の時、彼に彼女が出来た。なんとなくいい感じの人がいるらしいと本人から話には聞いていたけど、やっぱり幸せな報告ってこっちまで嬉しい気持ちになるよな。本当に嬉しそうに話していた。(しかしどうも俺の何気ない一言で相当心を病んでたらしい。まあ、上手くいったからオーライ、よかったね)

その幸せな報告を聞いた後、祝福の意味を込めてこの唄を作った。「自分とあなた」以外の誰かを歌うのはこれが初めてだった。だったのだが、徐々に自分の気持ちが乗っかってきて、結局最後は自分の歌になってしまった。
まあ多分、初々しい彼らに昔の僕らを重ねてたんだろうね。理想郷、二人とも美しく生きてね。



5.It's my Life
俺自身の取り扱い説明書。歌詞を書き終えて自分で読み返した時、普通にこんなやつ友達になりたくねぇなって思って落ち込んだ。今仲良くしてくれる人はありがとうね。

この曲もメロディ先行、歌詞が後ハメなので詞はだいぶ語感重視ではあるけど、自分の中での気持ちと矛盾がないように気を付けて歌詞を作ってる(お気に入りポイントは「本当の俺は何処に?と永続魔法を唱える吟遊詩人」この表現は流石に神がってたね)。

俺自身がどんな人間かという部分をこれでもかと書いたけど、結局それをあなたに知って欲しかっただけなので、この曲の目線はあくまでも「あなた」かな(自分自身の唄だけど自分自身に歌ってる訳ではない)。本当に我ながら不完全すぎて笑えるよ。まあ君も今笑えているのなら、それでいいね。


6.Hope
去年の春頃、あなたのSNSの投稿に返信した。(内容はごめんあんまり覚えてない)その時送った言葉がこの唄の根幹。

その時は、心の底から言葉が溢れたような感覚だった。ずっと胸の中で渦巻いていた感情を、初めて言葉として伝えられた。思ってるだけでは伝わらないってわかっていたはずなのに、感謝も愛情も祝福も、俺はずっと言えなかった。
あなたの側にいる間、俺は自分を変えるつもりもなく、考えることを放棄して「ありのままの自分」をただ愛してくれるように願っていた。あなたからの愛を貪っていた。俺はなんにも渡せていないのに。そんな人間だったと思う。

「It's my Life」で歌詞にもなってるけど、俺は自己中心的で衝動的。他人想いで優しいあなたの事が羨ましく、誰かに優しくなりたいって思ってたのに、いつまでもあなたのようにはなれなかった。きっと思っているだけでなく、言葉に、行動に、態度にして示していかなければダメだったってことだね。そんな簡単なことに気づいたのはつい最近。ずっと傍で見ていたはずなんだけどね(でもきっと衝動的って部分は似てたかもね)。

ちなみに歌詞の中の「あの唄」とはtetoの「光るまち」という唄。ハヤテが俺らの終演後に流してくれたこともあったね。たしかちょうどこの唄が出来た頃だったと思う、2023年3月頃の八戸ROXXでのライブ。(なんかその辺の巡り合わせというかタイミングというかが本当に凄い。奇跡だよね)

この曲に限らず、アルバムの節々にtetoが散りばめられてる。君が昔車で流してた時も隣で配信ライブを見た時も、俺は特に刺さったものは無かったんだけど、このアルバムの制作当時はなんだか頭から離れなかった。偶然に偶然が重なり、それが自分自身にも重なり、挙句同名の星が僕の目の前に現れて、観測し続けてくれてる(これを読んでくれてる、君のことだよ)。君の狭い狭い世界こそが正解だね。

希望も絶望も抱えたまま、今日もまた朝日が昇る。今度はもう、無くしたくないし間違えたくないな。


7.
CD版にはボーナストラックとして弾き語り音源が収録されている。タイトルは「朝日」
今年の1月1日に出来た曲。今年の正月は後輩の家で昼過ぎに目が覚めた。初日の出なんかもう何年も見てないし、朝日もずっと見逃してきた。今度は見逃すのではなく、自分の意思で手放したいと思う。

この手放すっていうのが案外難しくてさ、価値のあるものなんじゃないか?いずれ必要になるんじゃないか?って、ずっと抱えていたものを手放すのには勇気がいる。その選択が正しかったかは誰にもわからないけど、自分で考えて決めたことなら、それが正解なんじゃないかな。きっとね。(それが自分はこのバンドだったりずっと抱えてた想いだったりするんだけど。ま、手放した時がまた新たな始まりだね。)


曲解説は大体こんな感じ!
まだCDを持ってないそこの君は今すぐ買おう!小学生でも頑張れば手に取れる、お手頃なお値段なのでね!(サブスク派の人には申し訳ないけど、俺の気分次第でいきなりサブスクを停止したりするかもなので。永遠なんてないのだよ)

2024.5.4

P.S.
朝晩の気温差にやられて風邪をひいた。北国の沿岸育ちには、内陸の昼の暑さと夜の冷え込みが結構辛い。今の時期ちょうどいい気温が朝と夕方しかないんだよな。みなさんも寒暖差には気をつけて。夜はまだ厚めの布団かけた方がいいよ。
(その点八戸はやっぱり外の気温や空気がよく身体に馴染む。写真は八戸の神社のぶっとい木。神社とかの木ってなんでこんな太くなるんだろう。手入れとかは勿論してるんだろうけど、やっぱ何か神聖な力が働いてるんだろうか。)

追記
1stの曲は今でこそ別の良さがあるなって思えるようになったよ!当時は本当の俺はこんなんじゃない!って思ってたけど。

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