【救急対応】腹痛編
はじめに
腹痛の訴えに対しては、一般にイメージしやすい消化管病変のほか、心血管系の病変や妊娠の可能性も考えなければいけない。
緊急度別に下の3グループに分けられる。
①除外必須な疾患
腸閉塞
消化管穿孔
腹膜炎
急性膵炎
急性心筋梗塞
大動脈解離
大動脈瘤破裂
腸間膜虚血
異所性妊娠(緊急度というか胎児被ばくの関係!)
②次に考えるべき疾患
虫垂炎
胆嚢炎
急性胆管炎
尿路結石
骨盤内炎症性疾患
胃・十二指腸潰瘍
③それでもないなら、、
急性胃腸炎
非特異的腹痛症
診療の流れ(まず①の鑑別・除外)
以上の3グループを順番に鑑別・除外する流れになる。妊娠可能年齢の女性においては、必ず妊娠の可能性を考慮し、「絶対に妊娠していない」という患者以外にはhCG測定を実施すべき(その後のCT撮影などを想定して)。
まず、バイタル(体温・血圧・心拍数・呼吸回数・SpO2・意識レベル)のチェックをABCDEに沿いつつ行う。
(A・B:呼吸回数 C:血圧・脈拍 E:末梢冷感 D:意識レベル)
Cに異常があれば、心血管系の疾患、もしくは腹膜炎や急性膵炎によるショック状態が疑われる。つまり①-5・6・7と、①-(2→)3・4あたりを第一に鑑別する。
(Eで末梢がColdかWarmかで、心血管系病変による心原性ショック・循環血液量減少性ショックか、敗血症性ショックかの方針が立てられるかも?
また、頚静脈怒張の有無をみることで心原性か循環血液量減少性・敗血症性の鑑別に役立つかも?)
ショック患者(目安は収縮期血圧100未満くらい?)では輸液負荷しつつ、①-5想定で心電図+血液検査でトロポニンをオーダー。血圧の左右差がある・背部痛がある場合は①-6・7想定でDダイマー+eGFR測定と、つづけて造影CTを急ぐ。
心血管系の疾患(①-5・6・7)が除外できれば、腹部の診察に移る。
問診では基本のOPQRST・AMPLE聴取はもちろんのこと、嘔吐の有無・食事での増悪・嘔吐による症状改善・腹部手術の既往(①-1想定、嘔吐・腹部手術既往がなければ除外可能)や、90日以内のNSAIDS内服開始歴(②-5からの①-2想定)、心房細動の有無(①-8想定)、背部痛の有無(①-4想定)、妊娠の有無(①-9や正常妊娠想定)を聴取する。
身体診察では、反跳痛の有無・咳試験(①-3想定)、Carnett's signの有無(仰臥位の患者のおなかに検者の手をあて、患者に上体を起こしてもらい、疼痛の増悪を見る。陽性なら腹腔内病変と腹膜炎の除外に有用)が重要となる。他は②の疾患の鑑別となってしまうのでいったん割愛する。
腹部の画像検査計画としては、①-1疑いの時は単純X線も有用なので、単純X線→腹部CTの順になる。他の①-2・3・4・8は腹部CTを行う。
血液検査計画としては、炎症所見(①-2・3・4想定)やアミラーゼ(①-4想定)をチェックする。
気が向いたら②以降ももっと書こう、、、
②-1右下腹部・痛みの移動・痛みが嘔吐に先行・筋性防御
②-2Murphy徴候・腹部エコーで胆嚢壁肥厚(4mm)+胆嚢腫大(4×8cm)+胆嚢結石
①-3右季肋部痛・黄疸・腹部エコ―で胆管拡張
②-4左右の叩打痛・尿検査で潜血(ただし急性期しか感度高くない)
②-5下腹部痛・付属器圧痛・画像上ダグラス窩に腹水
②-6黒色便・吐血