2024年11月の良かったケーポップ
今月は圧倒的にヨジャの月でした。
MISAMO - 「HAUTE COUTURE」
♩RUNWAY
先月の記事では先行曲「NEW LOOK」を取り上げましたが、収録曲にも良い曲があったので引き続きピックアップ。「RUNWAY」というタイトル通り、モデルがランウェイを堂々と闊歩する姿が脳裏に浮かぶようなビート感の強い1曲。英単語と日本語のバランス感が往年の女性ソロJ-POPっぽい質感の歌詞も面白くて好きです。実際に今回のMISAMOドームツアーではこの曲中に実際に3人が花道をモデルウォークをする演出が取り入れられてたようで、まさにこの楽曲の一番良い活用法といった感じで最高でしたね。
MISAMO作品はTWICEの本活動とは別の雰囲気…というか所謂イル活感が強いと思うのですが、こういった隠れた名曲も潜んでるので是非聴いて頂きたいです。
TOMORROW X TOGETHER - 「The Star Chapter: SANCTUARY」
♩Resist(Not Gonna Run Away)
TXT最新ミニアルバムの収録曲より。今作はここ最近の中でも特に甘めでリラックスした雰囲気の作品でしたが、そんなアルバムの中で唯一影を感じる楽曲。ボンゴのような音で刻まれるレゲトン調のリズムら軽快なんですが、不穏な空気が漂っていてメンバーの吐息多めのボーカルも相まって耽美な雰囲気。私はTXTは初期の路線の方が好きだった側の人間なんですけども、なんだかんだ言って彼らのシリアスでちょっと色気のあるタイプの楽曲も結構好きです、昨年の「Back For More」とか「Tinnitus(Wanna be a rock)」みたいな。HYBEらしいK-POP感の薄い洗練サウンドに乗せても違和感がなく馴染むTXTのメンバーの声色ってやっぱり上質だな~と感じさせられました。
BIBI - ♩Derre
アイドル出身者を取り上げることの多い当noteですが、珍しくアイドルではないピックアップも…。ソロアーティストBIBIのニューリリース「Derre」は同性に寄せる秘めた恋心を繊細に描くR&B。作曲には「OMG」「Right now」などNewJeansでお馴染みのFRNKが参加、確かにNewJeans作品と並べても違和感なく聴けるような心地よいビートと可愛らしいメロディです。ヒット曲となったワルツ調の「Bam Yang Gang」とはジャンルは全然違うものの、柔らかくて軽いけど聴いた後に強烈に胸に残るような世界観のある楽曲。そして、この楽曲は絶対にMVも一緒に嗜むべき。この映像美とストーリーを観たらガツンと脳に「Derre」の衝撃が刻まれるはず。
WOOSOO - ♩Small Talk (Feat.Heejae of SEVENUS)
音楽番組チェックをしてたら見つけたこちら。今まで存じ上げなかったんですが、調べてみたらフィーチャリングされてるヒジェ(SEVENUS)と同じく、元MASCのメンバーだったんですね。自身の名前がクレジットされているのでセルフプロデュースなんでしょうか。
80年代的な雰囲気漂う1曲、こういうレトロなシンセが聴こえる曲が個人的に大好物なのでこの音が聞こえた時点でプレイリスト入りでした。そしてこの哀愁のある曲調も私の好物(男性ボーカルの哀愁K-POPが大好きな人)。私の好きなものが詰まっている上にこれからの季節に合いそうな切なさもあって良い出会いになりました。
Roa - ♩WRAP UP
X:INの元メンバーであり現在はソロアーティストであるRoa、こちらもこの楽曲で初めて知ったアーティストです。出だしの電子音から惹きつけられる軽快なUKガラージで、リズムや使われている音がお洒落なんですがサビはK-POPアイドルっぽいキュートさがあってこのバランス感が聴きやすくて良い。中小ヨジャ好きに刺さりそうなテイストだなと感じました。
この「WRAP ME」リリースの次週には新たなシングル「CLOCK IT」もリリースしていたのですが、こちらも同様の雰囲気で今後も注目していきたい存在です。
LOVEONE - ♩FUNNY HONEY
5人組新人グループLOVEONEのデビュー曲です。福岡の芸能事務所・ダンススクールと韓国事務所がタッグを組んで運営しているようでメンバーは日本人2名と韓国人3名という構成。かなり小規模事務所感のあるテイストが全体的に漂ってますが、曲のクオリティはなかなか高いと思います。
ミドルテンポで優しく包み込むような印象のディスコポップ。少し前の世代の清涼系ガールズグループのようなテイストもあるし、FIFTY FIFTY的な癖のない聴き心地の良さも感じます。音楽番組でのパフォーマンス立派でしたし、衣装も可愛いかったので見つかれば楽曲でバズれる可能性は全然ありそう…。
CLASS:y - 「LOVE XX 」
♩Psycho and Beautiful
オーディション番組「放課後のときめき」から誕生したCLASS:yが2年ぶり(!)のカムバック。同番組出身アイドルが続々デビューしている中の長すぎる空白期間や同系列事務所のBAE173やFANTASY BOYSも放置&メンバーがサバ番に送り出されるなど本当に事務所の方針に心配しかないのですが、一方作品面のクオリティは以前よりもぐっと洗練され新たな一面を見せてくれました。
今までの作品よりも落ち着いたトーンのお洒落な1曲。さらっと聴ける楽曲だけど、サビの「Me me me me me…」のフックでしっかりこちらを惹きこんでくれます。CLASS:yは過去にも「TELL ME ONE MORE TIME」や「Tick Tick Boom」など大人っぽい楽曲をリリースしてましたが、それらよりも温度感が低い、まさに今時なK-POPといった感じ。2:05~あたりのラスサビ前のブレイクで魔法少女みたいなSEが鳴るのが地味に好きです。幅広く好まれそうな曲調なのでここから飛躍してほしいところ…あとは事務所のプロモーション次第だと思うのですが。
ILLIT - ♩Baby It's Both (Tick-Tack English Ver.)(Feat.Ava Max)
問題作。先月リリースILLITの初カムバック作品の収録曲かつ後続活動曲「Tick-Tack」の英語版かつHYBEお得意の海外アーティスト客演バージョン…なのですが、ただのコラボ作かと思いきや凄い作品に変貌してました。
そもそもの原曲は軽快なチップチューン・kawaii系サウンドの「Magnetic 2」的な楽曲。そこにAva Maxって、あのかなり圧強い音楽性とILLITって親和性無くないか?と心配してたんですが、馴染むとかじゃなく完全にAva Maxが上書きしてくれてました。歌い出しからAva Maxの持ち歌?となるくらい乗っ取りっぷり。原曲より音使いも尖り全体的にマイナー調でキュートからシリアスに一変。もうほとんど別曲です。そもそも正反対なイメージ同士のコラボですがラストの「Tick tack ti-tack tick tack-ta-tick tack…」に合わせてAva Maxがホイッスルボイスを重ねるところが対照的すぎて本当に面白い。何故この曲にこのコラボを持ってきたのか企画者の意図が知りたい。
ENHYPEN - 「ROMANCE:UNTOLD -daydream- 」
♩No Doubt ♩Hundred Broken Hearts
7月リリースの「ROMANCE:UNTOLD」のリパッケージアルバム表題曲となる「No Doubt」は2024年のK-POP界でも地味に流行?していたマイアミベース(アトランタベース)調の楽曲。ズンズン響く808ベースにテンポの速いリズムが刻まれるわかりやすいスタイルですね。全体的に甘めで聴きやすいR&Bが貴重になっていたアルバムで、そこにリパケ表題曲としてメロディーは落ち着きつつも踊れるマイアミベースを持ってきたのが素敵なバランス感覚だな〜と思います。
最近のK-POPではヨジャで聴くことが多いジャンルですが、ナムジャで売れてるグループがこのサウンドをやってくれるのは貴重で嬉しいですね。似たテイストの、セクシーな男性ボーカルマイアミベースだとEXOの「Private Party」もオススメです。
このアルバムだと、フェードアウトで終わるのも含めて徹底的にノスタルジックなスタイルの「Hundred Broken Hearts」も隙が無く洗練されたテイストで好きでした!
IVE × DAVID GUETTA - ♩Supernova Love
東京ドーム公演で解禁されていたIVEにとって2曲目の全英詞楽曲はなんと2010年代のEDMブームの火付け役デヴィッド・ゲッタとのコラボな上に、坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」のサンプリング!
「戦場〜」のメロを大胆に引用しそのままストレートなEDMに落とし込んだ軽率さ大胆さが良いですね。否定意見も出てますが許諾を受けてのサンプリング使用だし「ラブソングの歌詞を乗せるのはリスペクトが無い」という考えは私は理解出来ないです。
普段のIVEのカムバックと比べると大分空気感は違いますが聴きやすく仕上がっていて流石元々が名曲なだけあって身体への沁み込みが違うなと感じました。サビ前のリズのパートの歌い方が新鮮で特に好き。この直球なEDMアレンジも大味で大衆に向けた冬のアンセムって感じで難しくなくて好きです私は。壮大な宇宙をモチーフにした結果シュールでチープな雰囲気になっちゃってるMVも味がありますよね。
AIMERS - ♩Timeout
2022年デビューのHYPER RHYTHM所属の6人組ボーイズグループ、現在Abemaで放送中の日本デビューを賭けたサバイバル番組「Re:born」にも参加中のAIMERS(エイマス)のOSTより。正直OSTで終わらせるのがもったいないというか、音楽番組でパフォーマンスしてるのを観たい…!コレオ付けてパフォーマンスビデオを上げていただきたい…!
開幕からピコピコキラキラした音とピアノのフレーズが可愛い、優しくキュートなUKガラージサウンド。ヨジャドルの楽曲でも通用しそうな雰囲気ですがそこにAIMERSの男性ボーカルが乗っているのが清涼な魅力があって素敵です。
彼らのこれまでの表題曲は、躍動感のある青年っぽさの強い印象だったのですが、こういった甘い路線も似合いますよね。個人的に一番好きなAIMERSの曲は昨年リリースの「FIreworks」なんですが、こちらも浮遊感のある優しい冬曲だったんで、個人的にはこっち路線も増やして欲しい!
Lovelyz - ♩November
Lovelyzが4年ぶり&10周年記念でカムバック!デビュー日から丁度10年のタイミングで発表された新曲ですが決してアニバーサリー的な記念作品で留まらず、まさにあの頃のLovelyzがそのまま帰ってきたような作品です。このキラキラしたシンセの音と少し歌謡感のあるメロディーにキュートで爽やかな歌声…「Candy Jelly Love」や「Ah-Choo」といった初期の名作と並べても全く違和感のないLovelyzらしい魅力がこれでもかと詰まった新曲が今聞けるとは!今活動しているグループではなかなか聴けないこの音が久々に聴けて、後追いでLovelyzのことを好きになった私でもかなり感動でした。
あの頃の彼女たちらしい曲でありつつどこかメモリアルで感動的な雰囲気が漂っていて、歌詞も「目を閉じても私には君しかいないから」「記憶を追って駆け抜けてそこに辿り着いたら 君」といったようにラブソングのようなフレーズに乗せてファンの胸を熱くする、完璧な再結成カムバックだと思います。
MEOVV - ♩TOXIC
「THE BLACKLABEL初のグループ」「BLACKPINKでお馴染みのTEDDYプロデュース」という触れ込みや、メンバーの優れたビジュアルとスタイル、洗練されたティザーイメージなど諸々でのハードルが上がり過ぎて「MEOW」でのデビュー時は割と一部から過小評価されていた感もあるのですが…個人的には5人並んだ時のゴージャスさや、ハイブラ的なビジュアルを見せてくれるMEOVVの雰囲気は結構好みです。(「MEOW」は確かに絶妙な作品でしたけど、音とかボーカルの表現は結構好き。)
そんないろんな意味で注目のMEOVVの初カムバックはなんと苦しい愛を歌う繊細で内省的なR&B。「2作目でいきなりこういうので来るんだ!?」と驚かされる急展開でした。ただ、これが前作よりも何倍も良い!消え入りそうなか弱さが、まさにこれから来る凍えるような寒さの冬に合いそうな楽曲で、そして前作よりもより皆TEDDY仕込みの流石のボーカルを楽しめる作品に。特に「MEOW」の歌い出しで一番輝いていたナリンがこんなに切なくて癖のない歌い方もできるんだと驚きました。彼女たちの持つ高級感が映える楽曲だと思うので是非この調子で次回も更に良い作品を期待…。
MVの映像も秀逸で、メンバーのビジュアルを引き立てるロケーションや、悪魔やバレリーナの姿が美しい。
izna - 「N/a」
♩izna ♩TIMEBOMB ♩DRIP
Mnetのサバイバルオーディション番組「I-LAND2 N/a」よりデビューした7人組グループiznaがデビュー。Mnet系列の事務所WAKE ONEとプロデューサー・TEDDYがタッグを組んで運営するグループとのことで「ブルピン的な路線とサバ番発グループって立ち位置、相性悪くないのかな?MEOVVもいるけど両立させられるのかな?」とか番組観てない癖に色々気になってしまったんですが、その不安を吹き飛ばす良いコンセプトに着地していてちょっと驚きました。いつものTEDDYらしい低音が響く重厚なサウンドではあるけど、なんだかとっつきやすさや親しみやすさがあるのが新しい。品があるけど鼻に付かないような、MEOVVとの棲み分けも明確に付いている気がします。
表題曲「IZNA」はズンズンと響く低音が気持ち良い、スタイリッシュにまとまった楽曲。シンプルだけど他のグループとも被らないカラーがあるし、自信に溢れた華やかさが素敵。サビで皆んなで横移動する振付も好きです。「TIMEBOMB」はとにかくキャッチー、サビは特にYG的サウンドが好きじゃない層にこそハマりそうなガールズグループらしいキュートさがありながらも弾け過ぎてないのが良いバランス感。「DRIP」は疾走感の溢れるベースミュージックで万人ウケしそうなノリやすさが素晴らしい、イントロのおじさんの掛け声も良い味です。
Kep1er - 「TIPI-TAP」
♩sync-love ♩TIPI-TAP ♩Drip
※Dripのみ公式音源動画が見つからず、非公式動画を埋め込んでいます。
7人体制となり再出発を切ったKep1erのカムバック。単に体制や運営が変わっただけでなく楽曲的にも確実に変革が現れた今作。チェヒョンもインタビューで「今まで見せた曲は私たちのカラーを強く見せられる曲ではなかった」と言うほど当人たちも自信を持ってリリースしたのが伝わる出来でした。
「TIPI-TAP」「sync-love」はともにKep1erのテーマである宇宙・サイバー的な要素を引き継ぎながらUKガラージ/2step要素を取り入れた今までよりも大人っぽく洗練された印象。しっかりキャッチーでポップだけど決してチープにならず艶っぽさも感じる名曲。わかりやすいけどオシャレな要素もある、K-POPとしてとても良い塩梅に仕上がってると思います。特に「sync-love」のサビ前までの華やかさからサビでグッと無機質に展開が好き。
「Drip」はR&B調のクールな1曲でサビの「Drip」連呼が癖になる名曲。ただカッコイイ曲に仕上げてるだけでなく遊びが散りばめられていて、2番サビ前のブレイクや、ラスサビの連呼パートで1フレーズだけリズムが裏になったりと聴いてて楽しい仕掛けも。
サビ7名になり各々の分量が若干増えたからなのかはわかりませんが、「声良い!」「歌上手!」とボーカルをより魅力的に感じるフレーズが今まで以上に多い気がして、特にダヨン・ひかるの特徴的な声のラップも際立ってて改めてグループの武器だなと感じました。
ICHILLIN' - 「Prequel」
♩Intro ♩Official ♩Miami
今月のカムバ勢の中でのダークホース、ICHILLIN'(アイチリン)の強烈なカムバックが私の中での今月のMVP楽曲でした。
ICHILLIN'は2021年デビューのKMプロダクション所属の7人組ガールズグループ(韓国人5名・アメリカ人2名)で、中小事務所ながらも割とコンスタントに、そして結構挑戦的な楽曲でカムバしている印象なのですが、ここに来てそのチャレンジ精神が花開いた気がします!あと、事務所規模の割にめちゃくちゃメンバーのルックスが良い。
表題曲「Official」は今年のK-POPでも特に大手グループでよく耳にしたような直球ハウスミュージック。ディープハウス等ではなくミニマルな四つ打ちが強調された無骨なハウスで、曲中ずっと一定のリズムを刻む金属音みたいな特徴的な音がとにかくカッコイイ。曲が始まってこの音が聞こえた瞬間もう好きでした。アルバム内にはこの曲のInstrumental Extend ver.つまり長尺に編曲されたインストバージョンが収録されてるのですが、このインストでも充分楽しめるくらい音が最高です。勿論ボーカルも素敵で、一定で刻まれるリズムと開幕やサビで繰り返される呪文を唱えるようなラップの相乗効果で聴いてて超気持ちいいし、サビの「This is my official~♪」も癖になる良いフレーズです。荘厳かつ攻撃的なサウンドに乗せたラップが痺れる「Intro」から続けて聴くのも最高です。
収録曲「Miami」は曲名通りマイアミベース調の疾走感のあるビートに乗せた夏らしい雰囲気の楽曲。メロディだけだとわかりやすくヨジャグルの爽やかな夏曲なんですが、そこに喧しくカチカチずっと鳴っていることで一癖ある作風に仕上がってます。
とにかくアルバム通して衝撃的だったカムバで、今後もICHILLIN'の活動にも注目していきたいと思いました。
★Spotifyでプレイリストにまとめてます
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