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聴かせて!「合同会社Biryoku」のわがこと

香川大学に「起業部」というめずらしい部活があるのをご存知ですか?

そして、その部から実際に起業して「合同会社Biryoku」という会社が生まれました。

合同会社Biryokuとは、どんな会社なのでしょうか?そして気になる「起業部」とは??

 香川大学に在学中の、合同会社Biryoku代表(兼、起業部部長)の藤澤さんと、起業部1年生の佐藤さんにお話を伺ってきました!

 「聴かせて!みんなのわがこと」とは?
香川県内でとても素敵な活動をされている個人や団体にスポットライトを当て、「共感の輪が広がっていってほしい」という想いから、その活躍や想いなどのわがこと(我が事)をインタビュー形式でお届けします。

Vol.19
合同会社Biryoku

合同会社Biryoku代表の藤澤さん(左)と、香川大学起業部1年生の佐藤さん(右)

香川大学 起業部から生まれた「合同会社Biryoku」とは

——合同会社Biryokuについて教えてください。

藤澤さん:香川大学生の人材を最大限活用した事業を展開しています。内容は「企業と学生の交流会事業」「インターンシップ事業」「家庭教師マッチング事業」「スポーツジムの運営委託事業」など様々なことをしています。
従業員4名、全員が現役の香川大学・起業部の部員です。

 ——藤澤さんはどうして起業しようと思ったんですか?

藤澤さん:僕は休学をしていたんですが、休学明けに大学に帰ってきた時に元同級生たちはちょうど就職活動をしていました。そして、彼らがエントリーシートを出した時点で落ちて、病んじゃってる状況を目の当たりにしたんです。

 彼らの悩みは、エントリーシートの3つの空欄が埋められないことでした。いわゆる「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと、頑張ったこと)」の欄で、1つ目は資格取得経験、2つ目は留学経験、そして3つ目がインターンシップ経験です(インターンシップ:学生が就業前に企業などで「就業体験」をすること)。
この3つが空欄だから落ちても仕方ないか…とあきらめて落ち込んでいる元同級生たちを見て、僕は休学中にいくつもインターン経験があったので、彼らのこの3つ目の欄は埋められそうかな、と思ったんです。

——藤澤さんは今までどれくらいインターンを経験してきたんですか?

藤澤さん:5社行きました。実は今も1社のインターン中です。
よくある短期のインターンだと1日限りや1週間だけ、というのが多いんですが、僕は5社すべて半年以上の長期インターンで、いろんな業種を経験させてもらいました。

初めてのインターンは大学2年生の時で、インターンの掛け持ちをしたり、オンラインのインターンをしながら全国を旅したりもしました。

——すごいですね! インターンはいい経験になりそうですね。

藤澤さん:そうなんです、みんなにもっとインターン経験をしてほしいです。
まだまだ香川県はインターンという文化がなくて、しているところがまず少ないんです。していても学生に知られていないので、なかなか人も集まらないとも聞きます。特に長期インターンをしているところはほぼありません。

なのでBiryokuでは今、香川県内でのインターンシップ事業を設計中です。


合同会社Biryokuを生んだ「起業部」とは? 

——佐藤さんは香川大学の新入生で起業部に入ったばかりだとお伺いしていますが、最初から起業に興味があったのでしょうか?

佐藤さん:いえ、最初は起業部のことも知りませんでした。
華やかなよさこいチームに入ろうかなと思っていましたが、たまたま出会った先輩から起業部の話を聞いて、面白そう!と思ったんです。それで起業部の「企業・学生交流BBQイベント(合同会社Biryoku主催)」に参加しました。
学生はBBQ無料なんですよ!

企業と学生の交流会。気さくに本音で語れるので、会社の雰囲気が伝わりやすい。

BBQにはいろんな企業が参加しているので、食事をしながら名刺交換させていただいたり、何か起業などやりたいことがあったら電話でもメールでも連絡してね、と言ってくださったりします。
それに、どんな会社さんなんですか?と事業のことや実際に働いている方の現場の声も聞けますし、ビジネスプランを持っている子は、こういうことをしたくて、今こういう感じなんですがどう思いますか?と具体的な相談もしていました。
いろんな企業の方々と普通に雑談して、仲良くなります。

藤澤さん:中にはそのまま就職先が決まったという学生も出はじめています。こういうイベントをする時に、Biryokuではすぐに学生を集められるのが強みです。

——なるほど、そして佐藤さんはすぐに入部したんですね?

佐藤さん:いえ、まず入部する前に、起業部に興味のある新入生たちでイベント作りを任されます。「新入生による新入生のための新歓祭 Biva」という友達づくりのイベントです。
数人ずつのグループをいくつか作り、そのグループごとに新入生を何人集められるかを競うんです。

 私のグループは1回目はまったく人を集めることができなくて…大変でした。それでも全グループを合わせてなんとか50人くらいは集まりました。

 そして次は、また同じイベントをもう1度、2回目を企画するんです。
1回目の時にもっとこうしたらよかったんじゃないか、という反省点を活かしたり、こうしたらうまくいったよというコツを先輩に教わったりして。

来てもらいたい新入生にメールでただ文章を送るにしても、こういう風な書き方をした方がうまくいくよとか、グループに送るよりも個人に送った方がそりゃ影響力があるよね、など、1回目の反省点も踏まえながら試行錯誤して進めました。

そして、2回目では最終的にグループ全体で140人の新入生を集めることができました!

 ——1回目の約3倍の人数を集めたなんてすごいですね。どんな工夫をしたんですか?

 佐藤さん:私のグループは「テストの過去問配り」をしました(笑)。先輩から集めた過去問を配るので来てください、データでも送るのでということでLINEグループも作りました。
あとはゲームをしたり、お菓子を食べて女子会をしたりしました。

そしてそのイベントが終わった後、部長との面接に合格したらやっと入部できます(笑)! 今年は20人入部しました。 

——起業部に入る時には面接があるんですね(笑)! 起業部の皆さんは全員が起業を目指しているのですか?

藤澤さん:全員が起業を目指しているというわけではないです。明確に起業のビジョンがある人はプレイヤーチーム、それ以外の人はクリエイターチームに所属します。
なので、サポーターとして支えたいという人や、起業に興味はあるけれどまだ具体的に決まっていない人もクリエイターチームとして入部できるのがいいところでもあります。

——起業部ではほかにはどんなことをしてきましたか?

佐藤さん:誕生日会の企画とか、日常的なことを企画しました。

例えばみんなで500円持ち寄って、スーパーでみんなが満足できるご飯を買って食べよう!とか、ささいなことも企画してみたり。

ささいなことも企画して楽しみます!

藤澤さん:あと、講師を招いてビジョナリープランを作成するセミナーを開催したり、「高校生に学ぶマナー講座」というのを開いたこともあります。
丸亀で地域の文化祭の実行委員をした高校生のなかにマナー美人の女の子がいたので講師をお願いしました。高校生が大学生に対して、名刺の渡し方やお辞儀の角度がこう、などマナーを教える講座です(笑)。

——面白そうな企画が盛りだくさんですね。新入生もすぐに大学生活に馴染めそうですね。

佐藤さん:はい!起業部は私を含め、県外からの一人暮らしの学生が多いんですが、大学に入学してからまだ3か月しかたっていないのに、もうまるで高校時代からの友達のようにワイワイやってます。
イベントを開催すると、ほかの学部の友達ができたり情報がもらえたりするのもいいところだと思います。

起業部は個性的な人が多いんですけど、それぞれ自分が普通だと思っているし、起業部内ではみんな波長があっている、という感じです。
部長の藤澤さんも全然偉そうにしていなくて、みんなが部長につっこみまくっていて(笑)、本当に上下関係もなく仲良しです。

——藤澤さんは経営者としての素質バッチリですね! 


起業部&合同会社Biryokuが生まれるまでの道のり

——ところで起業部はいつごろ、なぜ作られたんでしょうか?もしご存知でしたら教えていただきたいです。

藤澤さん:起業部の顧問の先生が2019年冬~2020年ごろに、香川県にも起業部を立ち上げよう、ということで作ったそうです。
他県には割とあるんですが、香川にはまだ起業部がなかったので。

僕はそのころまだ高校生だったんですけど、高校の恩師の先生から「香川大学に起業部ができるらしい」と話を聞きまして。これは入部するしかないと思って、大学の起業部顧問の先生に「入部します!」って宣言しました。
その時はまだ受験前で、香川大学に合格もしていなかったんですけどね(笑)。それで入学した後に、僕は起業部の1期生になりました。

——大学に合格するより先に起業部への入部が決まっていたんですね(笑)。藤澤さんは高校時代から起業に興味があったんですか?

藤澤さん:いえ、最初は学校の先生になりたいと思っていました。
なので僕は教育学部に在籍していて、教員免許も取るつもりです。

高校3年生の時に大学推薦入試受験に向け、それこそ高校時代の「ガクチカ」を上げたいと思い、県内の後継者問題や地域創生などの無料セミナー、ワークショップに全部参加してみたんです。
とにかくいろいろと、全然関係なさそうなものも片っ端から全部、大人に混じって参加しました。

その時にいろんな大人の方と出会い、経営者ってこんなに近い存在なんだ、普通の人なんだ、と感じたことが起業に興味を持った大きなきっかけですね。

社長さんにお話を伺うと「最初はこんなこと考えていなかったんだけど、ふとしたきっかけで起業することになって〜」とおっしゃるんです。
僕は最初、経営者って神様みたいに遠い存在だと思っていたんですが、こんな身近な存在なんだ、経営者っていう選択肢もありなんだと感じました。

そのころに出会った方とはいまでもお付き合いがあったり、引き続きずっとお世話になっている経営者さんもいたりします。本当にいい方たちと出会いました。

 あと、もしも将来、仮に僕が先生になったとしても、「学校の先生は社会を知らない」とは言われたくなくて…。起業をしたら、「社会を知っている」と言えるだろうと、そんな気持ちもありましたね(笑)。

——これからの起業部はどんなことをする予定ですか?

 今年の夏は、プレイヤーチームは「謎解き合宿」を、新入生は10月の学園祭に向けてのイベントづくり、クリエイターチームは「1か月1万円生活」をします。

普通の1か月1万円生活は、1万円を使ってどうやってやりくりするかを競いますが、1万円生活は、1万円をいかに減らさずに増やせるか、を競います。
アルバイトとして時給で働いて稼ぐのではなく、1万円を使ってどうやって増やせるか。1万円は使ってもいいし使わなくてもいい。使える上限が1万円まで、というルールです。

起業部では次々と面白そうなイベントが企画・開催されています!

——今後も次々と面白そうな企画が生まれていきそうですね。

藤澤さん:実は来年から、「香川・起業部」にしたいなと思って動いています。普通は部活といえばその学校内にあるものですが、大学を超えて、「香川県の起業部」にしたいんです。
今、香川に起業部といえば香川大学にしかないんですが、香川県は小さいので、各大学にリソースをわざわざ分割する必要はないんじゃないかと思っています。

県でひとつにまとめて起業部を作る、というケースは全国でも初めての試みのようですが、小さい香川県だからこそ、可能なんじゃないかと思っています。

——今後も香川県を拠点に活動されるのですね。

藤澤さん:はい。僕が卒業した後も合同会社Biryokuとして香川県を拠点に活動していくつもりです。


これから目指すもの

藤澤さん:僕のミッションのひとつに、「ギャップをなくしていきたい」というのがあります。
環境のせいでできなかった、ということをなくしていきたい。むしろその環境があるからこそできたこと、っていうのを増やしていけたらいいなと思ってます。

香川県にインターンシップ文化がまだないからできない、とか、起業している人が周りにいないから考えたことがなかった、とか。あと留学経験もですね。

留学したい若者が減ってきていますが、香川県は特に少ないです。留学経験者が周りに少ないのでその選択肢がなかった、とか、お金がなくて選択肢がなかった、などのサポートもできたらいいなと思います。

実は僕は今年、留学しようと思っています。香川県は留学に行きたい人が少ないので、自治体の留学プログラムに採択される確率が高いかもと思ってます(笑)。香川だからこそのチャンスといえるかもしれませんよね。

あと、香川県は大学を休学をする人が少ないんです。県外はもっと多いイメージがあります。
僕の裏目標(!)は、起業部の30%の学生を休学させること(笑)。そして自分のしたいことを、長期インターンでも、留学でも、一度チャレンジしてほしい。

香川にそういう文化を作っていきたいんです。

香川って面積も小さいし人も少ないので、人と人が近くて、良くも悪くもすぐに繋がりますよね。
あと、なかなか新しいことはやらないんだけど、みんながしてたらやってみる、そしてそれが当たり前になっていけばみんながする、っていうところがある気がします。

起業する人が周りに増えてきたら、自分もできるかもしれないと思えるし、周りに休学してる人が増えたら、留学経験がある人が増えたら…。そういった文化を作って広げていきたいです。

——なるほど。香川県だからこそ、合同会社Biryokuとして取り組んでいけることがたくさんあるんですね。

藤澤さん:香川県だからこそできること、っていうのがあると思いますね。一番面白くしやすそうだと思ってます。

県外の友達を連れてくると、空気も天候もよくて健康にもいいし、ご飯もうまいし、めっちゃいいやん!と言われます。
香川県ほど安いファーストフードないですよ(笑)、友達も呼びやすい。あと観光もとても喜ばれます。 

東京や大阪などの都会にはない良さ、っていうのがあるんだと思います。ないものはないんですけど、あるものをもっともっと押し出していけたらと思っています。

——なんだか香川県民としてワクワクしますね。これからの活動も楽しみにしています。佐藤さんは1回生なので、これから起業部や大学生活でいろいろなことを経験していくのでしょうね。

佐藤さん:私は今年の夏休みにシドニーに1週間行きます!いろいろな国をみてみたいです。

「大学生活は人生の夏休み」なんて言われることもありますが、私は「大学時代にこれをした!」ということを何かしたいなと思っています。
高校生の時にはダンスで大会に出たり、生徒会で生徒会長も経験したりしてきたので、大学ではコレ!というものを見つけたいなと思っています。
起業部では、藤澤部長のコミュニケーション能力の高いところをすごく尊敬しています。今年は多くの新入部員が入部しましたが、部長が藤澤さんだからという理由で入っている人も多いと思います。

 ——素敵ですね!人の魅力でどんどんと人が集まりそうな予感がします。これからの活動を応援しています! 

インタビューの間、香川の若いパワーを感じてワクワクしっぱなしでした! 

取材を終えて

環境のせいにしない。何かつまずくことがあっても、周りを見ながら(巻き込みながら)前に進む。決して独りよがりではない代表の藤澤さんの人柄が、きっと起業部やBiryokuを魅力的な組織にしているんだろうなと、インタビューを通して感じました。

香川県だからこそできること、そして藤澤さんだからできることが、まだまだたくさんありそうです!

Biryoku、起業部の代表として、そして一学生の藤澤さんとして、次は何をしようとしているのだろう?と、お話を聞きながらもワクワクさせていただきました。香川の学生さんたちに藤澤さんの想いが届きますように。これからも応援しています!

ありがとうございました!合同会社Biryokuのあるサンポートe-とぴあにてお話を伺いました。

合同会社Biryoku
https://www.instagram.com/biryoku.in/

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