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聴かせて!「高松経済新聞」のわがこと
13回目の「聴かせて!みんなのわがこと」
今回お伺いしたのは高松のビジネス&カルチャーニュースを届けるインターネットの情報配信サービス「高松経済新聞」さん。普段は取材をする立場から、今回は取材を受ける立場になっていただきました。
そこには、予想もしないワクワクするようなストーリーがありました。
「聴かせて!みんなのわがこと」とは?
香川県内でとても素敵な活動をされている個人や団体にスポットライトを当て、「共感の輪が広がっていってほしい」という想いから、その活躍や想いなどの わがこと(我が事)をインタビュー形式でお届けします。
Vol.13
高松経済新聞
誰もが傷つかないハッピーニュースを
—高松経済新聞について教えてください。
望岡さん:街の情報を掲載するネットニュースの「みんなの経済新聞ネットワーク」が全国の市町や海外に140余りあり、その高松版が高松経済新聞です。「みんなの経済新聞ネットワーク」の仕組みで、Yahoo!ニュースやスマートニュースにも掲載される同時配信のシステムができています。
2021年8月23日から始まって、今年で3年目の事業になります。
—掲載する記事はどのような内容でしょうか。
望岡さん:広域高松圏(高松市、さぬき市、坂出市、三木町、綾川町等)の地元密着を大事にしています。一般のメディアと違うのは、事故や事件は扱わないというところでしょうか。例えば、新しいお店ができたとか、こんな音楽イベントがあるなど、高松の街ネタやハッピーニュースを紹介し、誰もが傷つかないような情報を日々発信しています。
—「誰もが傷つかないハッピーニュース」っていいですね!
その他には、どんな事業をしていますか。
望岡さん:その他には、PR代行やプレスリリース、記者クラブへの持ち込みなどを行っています。高松経済新聞は、掲載料をいただいているわけではありません。大事にしているのは、つながりづくり。取材の中で、普段会えないような人にも会えたり、香川のキーパーソンの方とつながったりできるんです。これって、この仕事ならではだと思います。
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オーダーのジャケットがビシッときまってます!
—記事の頻度や、アクセス数は大体どれぐらいでしょうか。
望岡さん:PV数は月約10万、多い時で約15万でしょうか。記事は月に20本以上、基本、平日1本ですが1日2本上げる時や土日に上げる時もあります。
—かなりの数ですね。
望岡さん:でも、事業開始当初は月に2万アクセスいかない時もありました。振り返ってみると、その頃はイベントが終わった後のレポートを中心に記事を上げていたんですよね。
「こんなイベントがあります」だと、読者はそのイベントに行ってみようかなと行動につながっていく。でも、イベントレポートでは次につながらなかった。このことから今は、事前に取り上げることを意識しながら記事を書いています。
—どうすれば見て貰えるか、試行錯誤の結果ということですね。
始めた頃と今では、変化はありますか。
望岡さん:いい質問ですね(笑)SNSなどで情報収集してこちらから情報を取りに行くこともありますが、今は殆ど舞い込んでくるネタで記事にできるようになりました。過去に取材した人から依頼があったり、同じ施設に入っているテナントを紹介してくれたり。つながりが蓄積されて、財産になってきたということでしょうね。
—それは大きな変化ですね!望岡さんはこれまでにメディアで働いていた経験があったり、この仕事に興味があったりしたんでしょうか。
望岡さん:メディアは未経験なんです。そもそも文章を書くのとか、読書感想文も苦手で(笑)でも、他の市町の経済新聞を見た時におもしろそうと思って、不思議と不安はなかったですね。
—苦手な文章はどうやって克服したのですか。
望岡さん:ブロックを積み上げるような感覚で記事を作っています。〇月〇日にこういうことがあって、こういう経緯で始まり、こんな人が出店します→主催者のコメント、開催時間っていう流れがあるので、読書感想文と違って書きやすいですね。
—ブロックを積み上げるようにっておもしろいですね。
実際に記者をやってみて、今感じていることは。
望岡さん:記者には、フットワークの軽さと取捨選択が大事だと感じています。何時間も張り込んで、この情報おもしろいなというものがあったとしても、それを入れることで意図と外れるようならばっさり切る判断もいるし、逆にものすごく短い文章になってもそれを許せるかどうか。
それと、取材先では緊張感や垣根をこわすことを意識しています。しゃべりたくなるような環境づくりと、型にはまった聞き方ではなくて話の中の「ライブ感」を大事にしています。
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ファインダーをのぞく姿がいきいきしてる!
ハーモニカ100日間投稿から仕事へ
—この仕事をすることになったきっかけは。
望岡さん:当初アルバイトで入った親会社の社長から声をかけられて、この事業に関わるようになりました。
—興味深いです!ぜひ続きを聞かせてください。
望岡さん:僕は趣味でハーモニカ演奏をしているんですけど。会社で2021年にInstagram支援事業を始めることになって、社長から「ハーモニカ100日間インスタ投稿」チャレンジしようって持ちかけられて。投稿を続けていたら、継続力があると思われたんでしょうね。高松経済新聞の編集長を任せてみようとなったようです。
—待ってください…!気になるワードがいっぱいありすぎて(笑)
ハーモニカのことは後で聞くとして、100日間投稿とは?
望岡さん:Instagram支援事業をする前に、まずは社内で100日投稿をやってみようとなったんですね。そこで、僕がハーモニカを演奏しているのを社長が知っていたので話が舞い込んできたわけです。
とにかく毎日吹いて、動画加工してアップしていました。当時、ご近所迷惑になるといけないからと、中央公園で夜中に吹いたこともあります。警察官がやってきて職務質問かと思ったら「がんばって」って応援されたり(笑)
—ハーモニカから仕事につながるとは、すごい縁ですね。
ハーモニカは、小さい頃から慣れ親しんでいたんですか。
望岡さん:いいえ。家族の中で父はエレクトーンとウクレレ、母と妹はバイオリンをしている音楽一家の中、僕だけ音楽をやっていなかったんです。母にも「一生音楽はしない」って言いきってました。
—それが、どのタイミングでハーモニカに。
望岡さん:大学卒業後に介護職に就いた時、高齢者の方に音楽で楽しんで貰えるものがあればいいなと思ったんです。その時に、ハーモニカは持ち運びできるし、どうだろうと興味を持ちました。
ハーモニカって種類がたくさんあって、僕が使っているのは「クロマチックハーモニカ」というもの。横のレバーを押すと半音上がるんです。最初は音を出すのもやっとだったけど、1年ぐらいすると楽しくなって。師匠について岡山までレッスンしに行っていましたね。
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—「楽しませたい」がきっかけですか。
それが今も継続しているんですね。
望岡さん:そうですね。バンドをしているんですけど、音楽は年齢や性別を問わず仲良くできるんですよね。バンドボーカルの奥様が、ステージ衣装を作ってくれたり、40代の方たちとも一緒に演奏したり。ハーモニカは、毎日5分でもいいから必ず練習を続けています。ハーモニカは僕のアイデンティティですね。
—望岡さん自身が熱中できるものがあるから、取材先の人たちがそれぞれ熱中する姿にも共感しながらお話を聞けるんでしょうね。
望岡さん:そうかもしれないです。自分にとってのハーモニカがこの人にとっての〇〇なんだという気持ちで、その方の想いに興味を持って聞くことができているのかもしれません。
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衣装はバンドボーカルの奥様の手作り
コンプレックスからつながる仕事観
—仕事を通じて高松に対する見方は変わりましたか。
望岡さん:正直、最初は高松でそんなに書くことあるかな?と思っていました。でも、実際は毎日1本でも足りない。魅力的なお店や思わず参加したくなるイベント、街を元気にしようとおもしろいことを考えている人とか…高松ってこんなに深いんだと感じています。それに、今ではこんなに「高松の街が好き」で頑張っている人たちがいることを知れてうれしいと思っている自分がいるんです。
—人との出会いの中から気づいていったんですね。今後の目標は。
望岡さん:そうですね。もともと、高松にいることが実はコンプレックスでした。東京や大阪などの都市部で頑張っている同級生に対して、嫉妬や悔しい気持ちを持っていたんです。でも、高松経済新聞を始めたら、都市部に負けない魅力が高松にあることに気づいていったんです。高松は、海も街も山もあって、街ネタを取材するにはオモシロイ街。
関東に住む同級生は、瀬戸内海や島を見ると落ち着く、なんて言うんですよ。同級生への憧れやコンプレックスが、いい意味で今の仕事につながっています。
今後は、高松の「街の専門家」「名物編集長」になりたいですね。
取材を終えて
今回お話を聞いて、「楽しむ」ことの大切さを感じました。
取材で出会う方とのライブ感を楽しみながらインタビューをしたり、記事を読んだ方が楽しくイベントに足を運んでくれるよう内容を考えたり、自分自身もハーモニカを通して活動することを楽しんだりと、お話のすべてに「楽しむ」ことがちりばめられていたように思います。
その楽しんだ先に、すばらしい出会いや新たな展開が待っている。
過去の経歴から今のお仕事にどのように繋がるのかと思いましたが、人生すべてに無駄がないと言わんばかりに、今の望岡さんの活動に繋がっていることがとても興味深かったです。
フットワークの軽さと楽しむ力で、今後も高松の魅力をたくさん紹介してくれると思うと、これからの発信がさらに楽しみになりました。
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次々と展開していく話にあっという間。楽しい時間をありがとうございました!
高松経済新聞
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