もうすぐ春ですね。アートしてみませんか。
すっかり春の陽気になりました。
春が来ると「♪春色の汽車に乗ってー」とか「♪春なのにお別れですかー」とかつい歌いたくなりますよね。なりませんか。すみません。
こんにちは、春が大好きな夏生まれの片山です。
さて、ぼくの住んでいる仏生山のまちに先日、仏生山交流センター「ふらっと仏生山」がオープンしました。
高松市南部地域の中核施設として市の出先機関が整備され、あわせて地域の交流拠点としてイベントスペースや屋外広場を備えています。今後地域のひとたちが集う場所となりそうで楽しみな場所です。
そこで、オープン記念になにか楽しいことが出来ないかな、と仏生山の仲間たちで「壁画制作ワークショップ」を開催しました。
ワークショップの先生は2016年に高松アーティストインレジデンスでコミュニティと融合したアートプロジェクト「おやこ小学校」を実施して以来、たびたび仏生山を訪問してくれているYORIKOさん。
町内の友人が以前から彼女に絵を描いてもらう話をしていて、せっかくなのでこの機会にお願いしました。
地元の小学生に原画を描いてもらって、それをYORIKOさんがその場でガラス壁面に描いていきます。
こどもたちの素直で味のある絵がプロのアーティストさんによって命を吹き込まれて、こどもたちは大喜び。こどもたちが楽しそうでお父さんお母さんたちも大喜び。それを見て町の人やセンターの職員さんも大喜び。
自分の絵が素晴らしい壁画の一部として、新しくオープンした地域の交流スペースに飾られることも、こどもたちにとって思い出に残るイベントになったようです。
ところで、YORIKOさんは福祉作業施設に通う障害のある人々にイラストレーターとして絵を描いてもらい、デザインと組み合わせて商業に展開させる「想造楽工(そうぞうがっこう)」という事業を運営しています。
今回のイベントでもその一環として、事前に通所している方に原画を描いてもらえるよう地元の事業所に依頼して、その絵をYORIKOさんが壁面に描いています。
自由な発想で描かれた法然寺の寝釈迦の長い長い足、びっしり書き込まれたチョウチョ、謎の生命体(笑)。
そこに、アートの原点が見える気がします。
近年「ロジカル思考」「デザイン思考」と対となる「アート思考」という概念が注目されています。
ロジカル思考が筋道を立てて論理展開する考え方、デザイン思考が顧客視点で課題解決する考え方なのに対して、アート思考は自分と向き合い、自分の思考や感情から新たな課題を見つけて解決していくやり方です。
AIが普及して従来は専門領域とされた分野にも進出し、よりその人の個性が問われる時代には「アート思考」が重要になると思われます。
論理的でもないし顧客目線でもないかもしれないけれど、アートにはその人の信念があり、既成概念を打ち破る「創造」があります。
万人に受け入れられるように角を落としていくのではなく、逆に尖らせていく。それが「取り替えの効かない、素晴らしい個性」に繋がるし、ひいてはお互いに個性を尊重していくことに繋がるように思います。
こどもたちも障害のある人も、誰も分け隔てることなく混じり合った1枚の絵。そこに描かれたのは楽しさいっぱいの仏生山のまち。
個性が輪になって広がっていくそんな未来を、みんなでこれから描いていけたらいいな。
そんなことを心から思った、穏やかな春の1日でした。