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「画づくり」とは? 構図と明度コントロール
わがはいです。
この頃「画づくり」について考えています。
「なぜイイ感じに見える画は良いのか?」という何とも抽象的なテーマで考えていますが未だうまく言語化できません。
しかし、「なぜ旨い味噌汁は旨いのか?」という問いに対しては論理的な答えがあります。出汁に含まれるグルタミン酸が旨味の主成分だからです。
であればすべての「イイ」には「イイ理由」があると考えられます。
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というわけで今回はひとまず「画」に関する「分かっていること・知られていること」を自分なりにまとめてみようと思います。
※この記事では3DCG制作における「画づくり」を想定していますが写真や動画など実写撮影にも通ずる内容です
「画」とは
「画」とはなんでしょうか。
「絵」とは違うのでしょうか。
そもそも「画」って「え」って読むのか?
自分的にしっくりくる解説があったので引用します。
絵も画も「え」と読みますが、「絵」は人が描いたものを意味し、「画」は2次元の平面上に構成されたかたちを意味する言葉です。
つまり人が意図的に構成した2次元の美術が絵画なのです。
「え」と読むみたいです。
「画」とは2次元の平面上に構成されたかたち。
確かに絵画、映画、漫画、版画など
「画」の入るものはこれに該当しますね。
それに漢字も「画」は「絵」と比べて ” かたち ” と呼べる四角形がたくさん入ってます。
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画づくり
「画」についての理解が深まったところで「画づくり」についてです。
先ほどの「画」から「画づくり」の意味を直訳すると「2次元の平面上に構成されたかたちをつくること」になります。
これはつまり絵画や映画において「鑑賞者がイイね!と感じる " かたち "を意図的に演出する」ということだと考えます。
では、ここでいう" かたち "とはなんでしょうか。
それは構図、明るさ、色など画面を構成する全てが該当します。
構図(Composition)
特に構図はわかりやすく " かたち " づくる要素です。
三分割法や日の丸構図、三角構図など有名な構図はいろいろありますが
要は「イイ感じに見えるように画面内に" かたち "を構成しようぜ」ということです。
以下のサイトでは「丸・三角・四角など単純な図形に沿うような構図は見る人の視線を形状の中へ釘付けにする」と紹介しています。👇️
また、このサイトでは「視線誘導のための点・線・図形を用いた手法」について紹介しています。👇️
このようにイイ感じの構図には何らかの " かたち " が関連していることが分かります。
構図:実例
美味しそうな料理が出てきたときは「イイ感じに撮ろう!」と思いますよね。いいアングルを探そうといろんな角度からカメラを向けます。
自分はだいたい、斜めから皿の外側が見切れるくらい寄りのアングルで撮ります。この方法がいちばん手っ取り早くそれらしい画が撮れる気がします。
これは縦横に三分割した四角形の中にまんべんなく要素が入っているのがバランス良く見えているのだと考えられます。
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最近話題の撮影方法として真俯瞰のアングルがありますが、これは皿の丸が見るべき対象を囲っているおかげで見やすいのだと考えられます。
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そんな感じでいい写真を撮りたいときなんかは無意識で構図を意識しているものです。
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明度(Value)
明るさのことです。
これも重要な " かたち " をつくる要素です。
以前、ちろナモさんに自分の作品を添削していただいたとき明度のコントロールに関して詳しく教えていただきました。
正直この内容がすべてな気がしています。要永久保存です。
ポートフォリオレビューに来ていただいた わがはいさん(@Wagahai_cg )への添削内容を、許可頂いたのでシェアします。元々めっちゃかっこいいSF作品でしたが、『明度のコントロール』を意識すると更にカッコよく、伝わりやすくなると思います!
— ちろナモ / Chiro (@you16_0823) December 21, 2022
↓わがはいさんのデモリールhttps://t.co/Ux2wBwO7aF pic.twitter.com/GEuqBKZG3C
が、自分なりにもっとかみ砕いて簡単な例で試してみたいと思います。
実例:明度
例えばここに球体があります。
このままだとただの丸です。👇
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真横から光を当ててみます。
球体の真ん中に線が入ったことで半月型の " かたち " になりました。👇
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今度は地面を置いてみます。
球体が光を受けて地面に影が落ち楕円型の " かたち " ができました。👇
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球体の真後ろにライトを置いてみます。
球体をフチ取るようにハイライトが現れ円環型の " かたち " ができました。👇
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というように
光と影によって明暗が生まれ、様々なかたちを作ることができます。
そして、この明度のコントロールにおいて一番の重要ポイントはコントラストです。明暗の差がしっかり付いていないと、それは " かたち " とは呼べなくなってしまいます。
例えば、地面に落ちる影がぼやけるとコントラストが低くなり影としての " かたち " は無くなってしまいます。👇
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しかし、かといってコントラストを強く付けるばかりでは良い画づくりとは言えません。強いコントラストはコントロールが非常に難しいです。
" かたち "が増えすぎ画がゴチャゴチャしてきて「どれがなに!?」となってしまいます。👇
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画全体を見ながらコントラストの強弱を使い分け、いいバランスを見つけるのが重要です。僕はこれを「影のデザイン」と呼んだりします。
ちなみに下の例は被写界深度や空気遠近など強力なテクニックを使ってるので、この流れだとちょっとズルですがとても効果的です。
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まとめ
「画」とは
「画」は2次元の平面上に意図的に構成された" かたち "を指す
「画づくり」は鑑賞者が「イイね」と思える" かたち "を意図的に演出すること
画づくり
「構図」は画面を構成する基本的な要素で視線を誘導するために重要
日常的に写真を撮る際も無意識に構図を意識している
光と影の明暗(コントラスト)が画面を構成する" かたち "を生む
コントラストが高いと" かたち "がはっきりするが強すぎると画面がゴチャつく
適切なコントラストのバランスが良い画づくりには重要
正直、ここまでの内容はネットや本で調べたら似た内容が出てきます。
考えるべきはここからで「なぜイイ感じに見える画は良いのか?」が「画づくり」に対する最大の疑問です。
これは人間が知覚する段階の話で、また個人でも感じ方が違うために体系化するのが難しそうです。
自分の考えがまとまったらまた新たな記事でアップしようと思います。
ご覧いただきありがとうございました。