Plug Power株続騰!!何故??今後はどうなる??
今回はPlug Power株について解説したいと思います。Plug Powerはご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、クリーンエネルギー関連で大きな注目を集める米国の燃料電池メーカーであり、フォークリフトや無人搬送車などを動かすための燃料電池を開発・製造するとともに、その燃料となる水素ガスや供給システムまでを一貫して提供している会社です。
2022年7月後半から続騰しておりますが、今回はこの値上がり理由と今後はどうなるのか、Plug Power株を買うべきなのかを解説していきます。
① 何故値上がりしたのか?
今回何故Plug Power株が値上がりしたのか時期毎に見ていきたいと思います。まず7月25日の週に$17.49⇒$21.34と約22%上がっています。これは何故かというと、民主党が、クリーン エネルギーやその他の気候イニシアチブ(発案)に 369Billionを投資する法案・インフレ削減法案を支持していました。上院では早ければ8月1週目にも法案の採決を行うことができ、その後、下院で承認を得る事ができれば、8 月初旬に法案の採決が行われる可能性がありました。この予算は気候やその他エネルギーの発明にとても重要となり、アメリカにおける2030年までの炭素排出量を40%削減する目標にもとても貢献されます。Plug Powerの投資家はこの予算採決に対してとても好意的に捉えました。何故ならこの法案は低酸素水素に対して生産税額控除(PTC: Production Tax Credit)が$3/Kgまで適用される事が含まれていた為です。Plug PowerのCEOはこの税額控除によりグリーン水素生産においてPlug Powerは世界的リーダーになると言っています。これが7月下旬に高騰した理由になります。
次に8月1日の週に値上がりした理由です。$21.24⇒$25.19と約18%値上がりしました。これは先程申し上げたインフレ削減法案の生産税額控除がPlug Powerに追い風になると言われているからです。Plug Powerでは水素燃料電池をグリーン水素の生産から最終ユーザーへの納入までを一貫して行っており、今回の生産税額控除がPlug Powerに非常に有利に働きます。2025年までには日当たり500トンのグリーン水素を生産する予定で、年間3Billionの売上となり粗利益率は30%を見込んでいます。また設備の増築を図っており、この週にNew Fortress Energy社と120メガワット(日当たり約50トン以上のグリーン水素生産)の水素プラントをアメリカのガルフ海岸に建設すると発表しました。これが8月1日の週に値上がりした主な理由です。
最後に8月10日に1日で$24.67⇒$28.78と約17%上がった理由についてです。実はPlug PowerはQ2の決算報告を8月9日に行いましたが、結果は市場予想を下回ってしまいました。具体的には売上は169.1millionに対して151.3million、EPSは市場予想マイナス$0.21に対してマイナス$0.3でした。粗利益率もマイナス21%でした。その為決して良い決算ではなかったが、何故値上がりしたのか。一つ目はPlug Powerが2025年までに年間3Billionの売上、30%の粗利益率をできる確証があると発表した為です。2つ目はグリーン水素と電気分解ビジネスのブームが来ているとCEOのAndy Marshは発言しており、インフレ削減法案で毎年500millionのキャッシュフローが増加されると発言した為です。3つ目は何人かのアナリストがPlug Powerの予想株価を上昇させたからです。BMO Capital's Ameet Thakkarが$29、Susquehanna's Biju Perincherilが$35、J.P. Morgan's Bill Petersonが$32と予想株価を出しました。いずれも$30近辺まで上がる予想を出しており、投資家にとっては有益な買い材料になると思います。これが8月10日に株価が上がった理由になります。
② 今後はどうなるのか?
先程New Fortress Energy社と120メガワット級の水素プラントをアメリカに建設すると述べましたが、それ以外にも電気分解装置の販売にも力を入れています。2022年5月にPlug Powerは1ギガワット(GW)の電気分解装置の注文をH2 Energy Europeより受注しました。デンマークでグリーン水素の生産を目的としており、1ギガワットの電気分解装置の導入は世界で一番の大きさとなります。これにより年間約10万トンのグリーン水素を生産できる事となり、1日で15,000台の大型車両分の燃料に値します。H2 EnergyはジョイントベンチャーであるHyundaiと共に大型水素トラックの供給も予定しております。更に今年の初めにPhillips 66とジョイントベンチャーを組み250以上の水素ステーションをデンマーク、ドイツ、オーストリアで建設を予定しております。もちろんそこで使われる水素はH2 Energyで製造されたグリーン水素になります。
Plug Powerではこの1ギガワットの電気分解装置をアメリカニューヨーク州ロチェスターにあるギガファクトリーで製造を予定しています。H2 Energyでの据付は2024年中に行い、2025年にグリーン水素の生産を予定しています。
もう一軒話が出ており、2022年7月にPlug Powerは5メガワット(MW)級のコンテナ固体高分子(PEM)型電気分解システムを国際的なエネルギー企業であるIrving Oilから受注しました。Irving Oilはこれによりカナダで最大規模の水素製造及び配送企業となります。Irving Oilはこの電気分解システムにより水素を製造、そして未来の低炭素又はグリーン水素環境へのシフトという目標に近づきます。この投資はIrving Oilにとってエネルギー変換、温室効果ガスの削減、そして持続可能なエネルギーソリューションの開発におけるリーダーシップ企業としての立場をサポートします。Irving Oil は今回の5 MWの電気分解システムの初期投資により、カナダのセントジョン製油所でのCO2排出削減を促進し、地域顧客向けに水素を利用できるようにするといった、重要な新しい市場機会を開拓します。このIrving Oil向けの5MWの電気分解システムはPlug Powerのギガファクトリーがあるニューヨーク州ロチェスターで製造されます。先ほどのカナダの製油所での技術展開(CO2排出削減)は2023年の第Q3に予定され、水素生産は2023年後半までに稼働する予定です。
これらがPlug Powerが直近計画している事業内容になります。
③ Plug Power株は買いなのか?
そんなPlug Power株ですが、結局買いなのか?というところですが、私個人としては長期投資という意味では買っても良いかと考えております。何故ならアメリカの超大手の投資会社BlackRockがある水素企業に投資を行っているからです。特に社名までは明かされていませんが、“next Tesla”(次のテスラ)と称しており約200millionもの金額の投資を行っているそうです。水素は宇宙で一番軽い原子と言われており、他の原子よりもはるかに多くの水素原子を空間に詰め込む事ができる、つまり他の原子で作られたエネルギーよりも密度が高いエネルギーを作る事ができます。この密度が高い事が重要となります。輸送業界における高密度エネルギーは長期間の運転を可能にし、補充の時間もバッテリーよりも短縮することができます。その為水素自動車は電気自動車よりも走行スピードが早く、充電・エネルギー補充が早い、持続可能距離が長くなります。定常市場(電気等を常に使用している市場)においては一貫した協力な電力が必要となりますが、水素貯蔵ソリューションを使用すればバッテリーによるエネルギー供給よりも信頼性の高いエネルギーをデータセンターや電力会社へ供給することができます。また輸送という意味では水素は持ち運びが容易で、天然ガスのパイプラインを介して送ることもできます(他のクリーンエネルギーでは不可)。この記事の著者は水素はクリーンエネルギーの中でも非常に大きな付加価値をもたらし、トラック、船、電力バックアップ等に使用することができ、2020年代には一番の成果をもたらす株と考えています。
また、水素のコストも下がってきています。技術の進歩により水素燃料電池は製造コストはこの10年で60%以上下がったと言われており、数年後には電気バッテリーや燃料エンジンよりもコストが下がると言われています。水素経済は2020年代に注目され、Morgan Stanleyは$11Trillionの水素市場を生み出すと言われています。
要は水素業界の未来が明るく、その先駆者でもあるPlug Powerの株は今後も伸び続ける可能性が高いのではないかと思います。只、1点注意して欲しいのが、Plug Power自身は現在も営業利益は赤字で、インフレ削減法案の元2024年前半に黒字化を見込んでいる為、事業が上手くいかなければ投資家からの評価はすぐにも下がってしまう可能性があるので、注意しなければいけないと思います。その為私は長期投資(5年以上?)という意味では投資妙味があるかと考えます。
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