【アーマード・コア6】エンブレム考察〜独立傭兵編〜
長かったエンブレム考察もいよいよ大詰め、独立傭兵編である。
ただし、ブランチメンバーと621を除いたメンツになっている。
ー ハンドラー・ウォルター (2024/8/26更新)
モチーフはリードを握る右手。リードは複数握られており、手に巻き付いている。右手は球体の関節を持っており、義手、または人形の手であることが考えられる。
ウォルターは独立傭兵の中では珍しく作戦指揮のみを行う傭兵で、彼の手足となる強化人間部隊”ハウンズ”のオーナーである。
手に巻き付いたリードは、そんな彼の猟犬の首につけらたリードが束ねられたものなのだろう。
しかし、猟犬とはリードをつけずに野放しにするイメージがあるがどうなのだろうか?
もちろん、狩猟場以外ではつけるのだろうが、狩りを行う際は犬笛で操る方が一般的なイメージに近い気はする。
ハンドラーとは、あくまで”犬の調教師”を指す言葉であるため、ウォルターとしてもハウンズ部隊やらなんやら言われているが、操るというよりは相互補助の関係を築くことを目的としていと考えられる。
もしくは、猟犬ですらリードで繋いでしまい、手放せない。そんなウォルターの優しさ、独占欲、心の弱さを表しているのかもしれない。
続いては人形の右手について考察してみよう。
ウォルターのエンブレムの手は、よく見ると球体関節だ。球体関節は人形(ドール)の手などでよく見られる。可動域が広く、人間の手のような動きが再現できる。
複数のリードに”繋がれた”ということで、”操り人形(マリオネット)”と捉えることもできる。
だが、「猟犬を操るはずが、情が移り、逆に猟犬達に翻弄されてしまうハンドラー」というのは何だかウォルターに似合わない。
ウォルターは使命を抱き、使命に忠実な男である。
たしかに、使い捨ての道具に愛着が湧くような人間らしさを持ち合わせてはいるが、その事をエンブレムに大々的に描くような軟派な野郎ではないはずだ。
そこで、この表現に対してもうちょっと深掘りたい。
ウォルターは諸説あるが、ナガイ教授の”第一助手の息子”であるという説が最も有力である。
まず、年齢である。STKの画稿に残された第一助手の息子は、どんなに大きくても10歳前後だ、この絵は約50年前に描かれた事から、この少年は現在60歳前後のはずである。
ウォルターはトレイラー等から初老の男性である事が示唆されているため、年齢はバッチリ合う。
次に、彼の昔話だ。ウォルターの昔話に出てくる「ある男」は恐らく第一助手の事を指しているのだが、この時の口ぶりがまるで”身内の恥を晒す”話ぶりであるように思える。彼の男に対する軽蔑したような感情、これは普段温厚で物腰穏やかなウォルターの言動から察するに並々ならぬ私怨が混じっているように思える。
もしこれが、自分を放り出して研究に没頭していた父親が世界を滅ぼしかねない大災害を引き起こし、そのツケを半生かけて払い続けなくてはいけなかった息子の言葉だと思うと腑に落ちないだろうか?
ウォルターが第一助手の息子だとすると、彼の人生は父親が犯した大罪を償う、贖罪の旅であったはずだ。
それこそ、自分の未来を雁字搦めにされ身動き一つできない、そんな状態だったはずだ。
自由意志による選択と行動が人間性なのだとするなら、彼は敷かれたレールを走るロボット、出生に縛られた操り人形、他人から託された使命に従う猟犬なのだ。
そしてウォルターにとって、父親が創り出した強化人間は”戦争にしか生きられない体を持たされた憐れな弟達”なのだ。
そんな弟達に自ら首輪をつけ、大金と引き換えに彼らの命を燃やす、受け継いだ使命のために。なんと業の深い話だろう。
ウォルターは血筋、運命の操り人形であり、自らの”意志”で選択する自由を与えられてこなかった。
そして、自らも操られている状態で、猟犬達の手綱を握りしめていた。
ただ、硬く握られたその手を絶対に離さないという”意思”だけは、彼自身が選ぶことが出来た唯一の我儘なのだろう。
エンブレムに込められているのは、それくらい硬派なウォルターだと思う。
HALは、2001年宇宙の旅で人間に反乱を起こすAIの名前である。名前の由来は当時隆盛を誇っていたコンピュータ企業のIBMより先んじるという意味を込めて、文字を一字ずつずらした3文字らしい(俗説)。
古英語だと、「hal」は完全を意味する。アイビスシリーズの最終作である本機を表す名前としては相応しく思える。
※同じく技研ACであるephemeraは「習作」という意味があるらしい
826は分かんないです()←2024/8/26 更新
826は、110番目の”楔数”らしい。
ずっと意味が分からなかった826だが、”楔”というキーワードで全てが繋がった。
“楔”とは、作中内でのハンドラー・ウォルターの役割そのものであり、826はそれを示唆していたのだ。
ルビコン3の戦乱に”楔を打ち”
→独立傭兵として、企業、封鎖機構、解放戦線に介入し、パワーバランスを崩すキッカケとなった。
コーラルに”楔を刺す”
→オーバーシアーとして、コーラルの惑星外流出を阻止する。
また、826は32進数表記で”my”らしい。
これはハンドラーの父が息子のために作った機体なのかもしれない。
となると、ハンドラーの本名は”ハル”が略称となる”ハロルド・ウォルター”だということが考察できる。
語感もかなり似ているし、可能性はかなり高い。
ウォルターはトレーラーで杖をついているため、70〜90歳くらいだと思った人もいるかもしれないが、個人的にはこれは戦争による負傷が原因で歩行が困難になっただけだと推察している。
流石にその高齢であの高負荷高性能みたいなACは乗れないと思う。
ー ノーザーク
モチーフはレーザーライフルを構える傭兵(?)。フルフェイスのマスクに、サポーターが付いたスーツ、おしゃれなスカーフを巻いている。
右手にはレーザーライフルを左手にはパルスブレード(?)を装備しているが、後述する搭乗機の武装と異なるうえに、武装のデザインも若干違う。
ノーザークは”独特な金銭感覚”を持っており、グリッド86侵入で、横道に逸れたプレイヤーを借金取りと思い不意打ちを仕掛けてくる。
エンブレムは、彼の自己を過大に美化して捉えているナルシズムを表しており、彼が他人の金も全て自分のものという歪んだ価値観を持っているのも、自己を美化し過大評価する彼の悪癖が「こんな素晴らしい自分に、人々は金を払って当たり前」どころか「自分に素晴らしさで望むものは、何でも手に入るのが当然。何だこの紙切れ(ポイーッ)」。という感覚を持っているんじゃないかと個人的には思っている。
アーマードコア6には、「皆それぞれ事情があるが、そこまで悪い奴じゃない」というキャラクターが多い。しかし、ノーザークは自らの悪行を省みようとすることはないので、堂々の「一番近くにいて欲しくないやつ」に残念ながらなってしまう。
この辺の異常性は旧世代型強化人間手術の影響という可能性もなくはないが、それにしたってアリーナランキングは低い(おそらく手術していないツィイーより下位)ので、ノーザークは”プレーンな人間”だとしないと救いようがない。
直訳すると、苦い約束。彼に金を貸した側からすれば約束どころか最初から踏み倒すつもりなんだから、苦いどころの話ではない。
勝手に「苦い約束」なんて名付けて自惚れもいい所だ。
では、ノーザークに金を貸してしまったのはどんな人達なのか?なぜ貸してしまったのか?
結論からいうと、星外の犯罪組織がルビコン密航をしようとする命知らずの口車に乗せられて、コーラルビジネスに手を出そうとして騙された。というのが正しいだろう。
その結果、プロの暗殺者まで雇われることになる。
ー スッラ
モチーフはウロボロス?三色の蛇がお互いの尾を喰べている。
ウロボロスは、通常、一匹または二匹の蛇がお互いの尾を食べている図で、「生と死の完全な循環」「不老不死」を表すと言われている。
三匹のウロボロスはググッた範囲では見つからなかった。
ここでは、敢えて三匹にしているという前提で考察していく。
“3”という数字には古今東西で様々な意味があるため、それら全てを考証していくのは骨が折れる。
そこで、一番面白いと思った説を紹介する。
蛇達は複雑に絡みあっているが、逆三角形の頂点に”空白”がある。
これは三匹の蛇が、”3つの円”を作っているようにも見える。
アイン・ソフ・オウルとは、「無限の光」を意味する言葉である。
関連する言葉に
アイン(無)
アイン・ソフ(無限)
アイン・ソフ・オウル(無限の光)
がある。
それぞれ、「0」の数で表されて、アイン・ソフ・オウルは「000」の”3つの円”表される。
この時点で、ウロボロスの「永遠性」とアイン・ソフ・オウルの「無限」で関連性を見出す事はできる。同じテーマを持ったモチーフだから一つのエンブレムに落とし込んだのだろう。
しかし、せっかくなのでもう少し突っ込んだ考察をしてみる。
ユダヤ教の神秘主義カバラで唱えられた概念で、この世を創造し、生命の樹の素となり、そして破壊する光なのだ。
ここからは筆者の曲解が多分に含まれるので、間違っていたらご指摘いただきたい。
宇宙が生まれる前、無(アイン)があった。無はやがて爆発的増殖し、無限(アイン・ソフ)となり物質世界が生まれた。物質世界を満たす無限の光=コーラル(アイン・ソフ・オウル)は、知的生命体=人間や異常波形(生命の樹)を生み出した。やがて、無限の光=コーラルは収縮し一筋の光となり、物質世界を破壊(コーラルリリース)した。
アーマードコア6のストーリー全体を表す、そんなエンブレムなのかもしれないという説だ。
スッラがオールマインドの協力者である事は多くの考察系記事で触れられている。
彼がコーラルやコーラルリリースに関して、ある程度知識を有していてもおかしくない。
彼なりに、コーラルリリースに対するスタンスを考えた結果、「永遠(アイン・ソフ、ウロボロス)」と「永遠の破壊(アイン・ソフ・オウル)」という矛盾を抱えて堂々巡り(円環)になってしまったのかもしれない。
その結果が、オールマインドに反旗を翻す(裏切り=蛇)ことになるのも、面白い一致である。
直訳すると、「もつれ、絡まり」。エンブレムは名前の通り、複雑に絡まっている。
前述の通り、蛇がもつれた結果、”アイン・ソフ・オウル(この世を破壊する光)”が現れたのだが、このもつれを解けば”一つの大きな円環”になるはずだ。
思考が複雑に絡まってしまったスッラは、コーラルリリースに”破壊”を見出してしまったのだ。
そして、オールマインドを裏切った。
しかし、”もつれ”は”もつれ”であって解かなくてはならない。
三匹の蛇は、それぞれ「人間」「コーラル」「両者を相補的に進化させるAC」の三位一体を表している。
そして、これらを用いて起こされる「コーラルリリース」は何をもたらすのか?
それは、「万物を祝福する無限の光」であり、「物質世界と精神世界の対立をアウフヘーベンしより高次元的思考へと引き揚げる世界」「それらが永続し、果てることのない世界」なのではないだろうか?
スッラはコーラルリリースを間違った解釈で捉えてしまったのだと考えられる。
余談:アイン・ソフ・オウルの視点で見ると他のエンディングはこう見える。
①「コーラル」を絶やすことを選んだレイヴンの火ルートは無(アイン)だけが残った。②「人間」と「コーラル」しか見えていなかった解放者ルートは、問題を先延ばしにした今まで通りの世界(物質世界=無限)を選んだ。
エンディングの順番は諸説(というか気にするのも馬鹿らしいが)あるが、「レイヴンの火ルートが1周目エンディングだ過激派」である筆者としては、何となく裏付けがもらえたみたいで嬉しい。
ー コールド・コール
モチーフは家系の紋章だろうか。下半身が車輪と四足動物、上半身が甲冑の腕と頭蓋骨で出来た体になっている。
海外ドラマのゲーム・オブ・スローンズでは、さまざまな紋章が出てくる。紋章はそれぞれの家系の武勇や成り立ちを表現している。
恒星間航行ができる未来で、コールド・コールがそのような家の出身という事はないだろうが、同じように武勇や成り立ちが込められているのだろう。
車輪は戦車=ACだろうか?
四足動物の尾は猫科のものに見える。猫科の動物の多くは、肉食で狡猾なハンターだ。
甲冑の腕と剣は武装や戦争のイメージであるし、大量の骸骨は築いてきた屍を表しているのだろう。
機体名はスラングで「時代遅れ」を意味するらしい。エンブレムが古風な紋章なのも、そういった懐古主義的なメッセージが込められているのか。
ー ケイト・マークソン
モチーフは盾。と見えていたが、後述だがペン先にも見える。
オールマインドに協力する独立傭兵(?)。全身オールマインド製パーツのACを駆る。
3周目でオールマインドのリリース計画に参加すると、様々な任務を一緒にこなすことになる。
任務では基本的に621の支援に回ることが多い、621が槍だとするなら、ケイトは”盾”だ。
ケイトはオールマインドの統合プログラムで生成されたAIであり、熟練の傭兵と同等の技量を持つ。
リリース計画におけるオールマインドの最も扱いやすい”手駒”であり、盾のチェック模様は駒を表すためのチェス盤だと見立てることができる。
意味は「筆記者」「代書人」。言葉を文字に書き起こす役目を表す名前であることから、オールマインドの意思をフィジカルの世界で反映させるための存在であることが分かる。
また名前から、エンブレムの盾はペン先を表現していたことも分かる。
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ー まとめ
次回はいよいよブランチ編です。
そして、これでアーマードコア6考察に一旦の区切りをつけたいと思います。
個人的に考察界隈であまり取り沙汰されていない新説をどんどん出していけたらと思っていたのですが、面白かったでしょうか?
これからは更新頻度を落として、何か思いつき次第書くようにします。
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