【アーマード・コア6】エンブレム考察〜ヴェスパー編〜
エンブレム考察の第2回はヴェスパー部隊だ。
宵の明星(夕暮れに一際輝く金星のこと)の名を持つ部隊には、一体どんな秘密が隠されているのか。ご期待頂きたい。
なお、ヴェスパー隊には上位と下位があるらしい。おそらく、V.IV以上が上位でV.V以下が下位なのだと思われる(記事とはあんまり関係ないが)。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ー V.VIII ペイター
モチーフは双子の胎児。胎盤から伸びた臍の緒が背中についている。
臍の緒がついた箇所から何かが放射状に広がっているが何なのかはよくわからない。樹木のようにも見える。
レッドガンよろしく、ヴェスパー隊にも部隊員のエンブレムに共通点がある。
①(ギターの)ピックのような形をしたエンブレム
→これは、アーキバス社ロゴの三角をイメージしたのか。それとも、設立時にV.I フロイトが「エンブレムはこれで統一しよう」と押し切ったのかのどちらかだと思う。後者っぽい。。
②人体の一部を想起させるイメージ
→一部例外はいるが、多くに当てはまる。ヴェスパー部隊が強化人間部隊(一部例外あり)なだけあって、各々の手術後の人格が大きく反映されているようだ。
特に、頭部と胎児をイメージに使うエンブレムが多い。これは、手術が脳に対して行われる事と、胎児は手術によって増幅された精神の未熟さを表しているのかもしれない。
AC名のデュアル(二重)は”双子”、ネイチャー(自然)は”樹木”でエンブレムに表されている。
また、“デュアルネイチャー”は、二重人格を意味する。
作中、ペイターは時折、普段の喋りからは想像もつかない冷徹さを見せる事がある。
まるで人格が2つあるかのように。。
しかし、これが二重人格によるものか判断が難しいところだ。高機能型反社会性パーソナリティ障害(所謂サイコパス)を持つ人の中には、普通の人に擬態している人もいる。
ペイターがもしそうなのであれば普段は温厚を装っている可能性があり、何かトリガーに触れた際、突然抑えきれない本性(無自覚な無遠慮、サイコパス的な一面)が表出するということもあり得なくはない。
そして、そんな彼を周囲はあまりのギャップに”二重人格”だと錯覚する可能性もある。
ただ、本当に二重人格なのだとするとエンブレムの見方がまた変わってくる。
胎盤だと思われていた部分が”首の付け根”に、臍の緒が脳幹と”右脳左脳”に見えてくる。
こうして見ると、これは首から上が剥き出しになった”人間の頭部”なのだ。
右脳と左脳にはそれぞれ別の胎児がいる。これは、ペイターの中に主人格と別人格がいる事を意味している。
主人格はおそらく右脳側だ。一般的に、右脳は抽象的な思考、共感や芸術的なセンスを象徴する(司ってはいない)。ペイターの主人格は共感性が高く、社交的(モノマネをしたりするくらいには茶目っ気がある)だ。
しかし、人が死んだりするような精神的に負荷が高い状況には耐えられないくらい精神が未熟だと思われる。
そんな主人格を守るため生まれたのが、左脳の別人格。左脳は論理的な思考、計算を象徴している。
こいつは、極めて利己的で、他人の犠牲など気にも留めないが、自制心が足りず、そうした高揚感を抑えきれず漏らしてしまう未熟な面がある。
右脳左脳の人格という視点でペイターを改めて見直すと、別人格出現のトリガーは”身近な人の死”である。
『ヴェスパー部隊伏撃』では、V.Vホーキンスを先に撃墜すると、ペイター(主人格)は彼の死を哀しむような様子見せたあと、人が変わったかのように自身の出世を喜びだす。
これは、上長ホーキンスの死というストレスによって別人格が引き出されたと考えられる。
3周目の任務『失踪』で出てくる際は更に出世しているが、この頃には多くのヴェスパー隊員が地獄と化した地下で命を落とし、ペイター(主人格)の心労は限界に到達し、常に別人格が表出している。
まあ、ペイターが本当に二重人格か確たる証拠はないので、このくらいにしておく。
(出来れば、二重人格のキッカケとなった心的外傷まで考えたかったが)
ー V.VII スウィンバーン
モチーフはロボトミー手術(精神障害患者に対し行われた非人道的な外科手術のこと。主に、脳の前頭前野に施術される)だろう。眼底から釘のような物を脳にまで突き刺している。
透過して見える脳の形が胎児のようになっているのも特徴的だ。
これらのモチーフは、スウィンバーンが経験した第7世代強化人間手術の経験と彼の”ファクトリー”が元ネタになっているのだろう。
AC名”ガイダンス”は「指導、助言」などの意味で、ヴェスパー7排除任務では、彼から直接”指導”してもらえる。
ただ、エンブレムとはあまり関わりがない。
スウィンバーンが受けた第7世代の手術は、コーラル代替技術による強化の初めての試みだったらしい。
まさに人体実験だったのだろう。強化手術による人格の変容は当人の意識外であるようだし、前例のない試みによっていつ自分が自分自身で無くなるのか分からない恐怖状態にされた結果、スウィンバーンは自ずから壊れる道を選んでしまったのだ。
脳が胎児のようになっているのは、スウィンバーンが元々持ち合わせていた子供っぽさ(短絡的で無垢な様)を強化手術によって歪められてしまったと解釈できる。
命乞いなど、何かとネタにされる彼だがエンブレムに仕込まれたネタで言うとペイターにかなり負けている。
ー V.VI メーテルリンク
モチーフは蚊。頭部が注射器になっており四肢がない人間(トルソー)の頭蓋に針を突き刺している。
V.VII スウィンバーンとは、対照的なエンブレムだ。
エンブレムの禍々しさからファクトリー関係者か疑われるが、そんな描写は全くないので、恐らく無関係。
インフェクションは感染症を意味する英単語だ。「蚊」、「感染症」といえば、蚊が媒介する感染症「マラリア」などが思い浮かぶが関連性は不明。
正直、このエンブレムとメーテルリンク自身を繋げるのは難しい。
そこで、視点を変えることにした。
アリーナの説明文にもある通り、第8世代強化手術を受けた彼女は旧世代を無価値化したらしい。では、エンブレムにはそのことが示されているのではないか?…と。
旧世代型の特徴といえば何だろう
コーラルを使った知覚の強化
手術成功率の低さ(世代が進む毎に改善傾向にあるようだが)
精神崩壊のリスク
幻聴(交信)
これらの特徴が無価値化されたと言うことなのだから、完全上位互換というわけだ
つまり、
旧世代に並ぶor追い越す程のコーラル代替技術による知覚の強化
高い手術成功率(安定して量産可能)
術後の人格安定化に成功
幻聴は無し
新世代の特徴はこんなものだろうか。
新世代強化人間の手術は、身体的精神的リスクが相当低いと考えられる。
そう、ちょうど”蚊の針”ほどの細さを持った注射針(痛みのない注射針)が発明されたような技術革新なのだろう。
結論としては、蚊はコーラル代替技術の進歩による手術負担軽減の象徴。
トルソーは、無駄を削ぎ落として量産される強化人間の象徴または、ニューエイジの3人(ニューエイジが何人いるか分からないが複数人いるのは確実)の象徴だと思われる。
そんな象徴をエンブレムにしているメーテルリンクは、まさに新世代の象徴。アーキバス強化人間技術の”広告塔的存在”だったのかもしれない。
ー V.V ホーキンス
モチーフは、ダヴィンチの人体図。体中が兵器化している。
気になる点としては、ヴェスパー隊のくせに実弾兵装っぽいところだが、武器のシンボルとして選んでいるだけでと思うので「実はベイラムと…」なんて邪推は止めておく。
もう一点、気になる改造部位は脳の部分だ。
確認できる限り、脳梁と3つの球体が人工物のように見える。これが、コーラル代替技術のデバイスなのだろうか?
いや、脳幹下部にある眼球と繋がっている事から視覚周りのデバイスかと思われる。
「再構成、再配置」を意味するAC名。強化手術により”人体を兵器に置き換えた”という趣旨の命名だろうか?
エンブレムも、この事を表しているようだ。
アリーナの説明文にもあるよう、ホーキンスはスウィンバーンと同じ第7世代の強化人間だが、術後の様子は対照的である。
ホーキンス自身恐怖はあったのだろうが、それに捉われ過ぎることなく、良い意味で割り切っている。
自分はただの兵器だと言わんばかりのエンブレムがいい証拠だろう。
ただ、そうはいっても「自分は兵器だ」と拘っている異常者になるわけでなく、割と手術も忠誠もどうでも良いという感じだ。そう、日々私達がそうしているように、ホーキンスも辛い過去は時折忘れて、今の一瞬、人生を謳歌している。
人間の図太さ、そして一貫性のなさを象徴しているようなキャラクターだ。
そんなホーキンスが筆者は非常に好きだ(3周全部ヴェスパー部隊伏撃を選び、3回ホーキンスを撃墜するくらいには好き)。
ー V.IV ラスティ
モチーフは狼。狼に口輪をはめられているのは、本性を隠す為か、はたまた真意を見抜いた上層部に躾として着けられたのか。
エンブレムに人体が用いられない、ヴェスパー部隊の例外。
他のメンバーが、強化人間手術に関係するエンブレムにしてるのに、こいつはカッコいい狼にしてる。ヴェスパー部隊はアーキバスの強化人間技術の広告塔なんだから、少しくらいは協力してあげて欲しい。
そういう型破りなところが、戦友の良いところであり、悪いところだ。
狼がモチーフになっていることに関しては、621が”猟犬”と呼ばれるのに対して、誰の指図も受けず自らの意思で狩りを行う”野生性”をイメージしたのだと思われる。
または、621(猟犬)が第4世代の強化人間なのに対し、ラスティ(狼)は第3世代(オールマインドの情報による推測ではあるが)という、より”古い種”であることを表しているということも考えられる。
AC名は直訳すると”鉄の靄”となる。戦友はヴェスパーで珍しく実弾兵装を使うので、それを表した名前だろう。
AC名と狼の関連性は不明だが、同じフロムソフトウェア製作の「ELDEN RING」では”霧”の森に狼が現れる。
余談:ヘイズ(HAZE)には、スラングで”新人いびり”や”仕事の押し付け”という意味がある。独立傭兵との共同作戦で戦友がよく組まされていたのには「危ない仕事は全部アイツらに押し付けよう」というアーキバス(特にスネイル)の思惑が見て取れる。
狼の口輪は、「どんな嫌がらせを受けても閉口し、どんなに危険な任務でも必ず生きて帰ってくる」。そんな、戦友の高貴さと異常性を表しているのかもしれない。
ー V.III オキーフ
モチーフはヒマワリ?目玉のような意匠も見て取れる。
まあまあ、目と言えば人体の一部であるので、一応例外ではない。
英語表記だと”BARREN FLOWER”。直訳では、不毛な土地に咲く花。意訳をすれば”コーラルによって汚染された体にとってのささやかな幸せ”であろうか(ヴェスパー3排除もセリフから妄想)。
エンブレムの花びらが奇妙な緑色なのも、土壌が悪いという表現なのだろう。
彼は第2世代の強化人間(オールマインド情報)で、そこに第9世代の手術を施している。自身を”汚染された身体(土壌)”と卑下しててもおかしくない、アンチコーラルに偏った性格なのでこのエンブレムとAC名を選んだのかもしれない。
正直、あとは何がモチーフなのかよく分からなかった。
目玉の表現は、オキーフがオールマインドのスパイであることの伏線かもしれないが、もっと別の意味もありそうだ。
例えば、ヒマワリと太陽は、脳内コーラルの焼き付きをを象徴していて、目玉は第9世代手術(眼底から器具を入れて脳をイジることがスウィンバーンで示唆されている)を象徴している。太陽を目玉で覆い隠すことで、その焼き付きを中和したことを表現してる?
ただ、太陽を覆い隠しきれていないことが気になる。あくまで中和による緩和であって完治ではないのかもしれない。
オキーフについては、今後も何か思いつき次第追記していく。
ー V.II スネイル
モチーフは顔。4つに分割されているが、もともと2つの顔だったことが分かる。
おそらく、最初の顔が割れて、そこから二つ目の顔が出現。そして、その顔もまた割れ始めているという流れだろう。
2回顔が開いている理由は、おそらく強化手術を受けた世代数で、1回目が第8世代、2回目が第10世代の手術を受けている。
第9世代は脳内コーラルの焼き付きを中和する手術なので、新世代のスネイルは受けても意味がない。
他にも、スネイルが表面的には紳士的な態度をとっているが、その内側を覗くとドス黒い野望を持っているということを表現しているのかもしれない。
オープンフェイスは、そのままエンブレムなので特にいうことはない。
オープンフェイスの意味に関しても、「正直な人」や「剥き出しの顔」といったものがあるが、イマイチイメージと結びつかない。
↑というか、地中探査–深度3の依頼時点で嘘つかれてるので正直なわけない。
オープンフェイスという名前は、自身を「企業(アーキバス)そのもの」というくらいなのだから、「その顔は公共に知られている(オープンな)もの」という自負を意味しているのだろう。
アーキバスの最新パーツで身を固めた姿はまさに歩く広告塔である。
スネイルは作中での活躍も多く、考察しなくても性格や動機が分かってしまうので、エンブレムで読み取れることを劇中のスネイルに当てはめる方が難しい。
今後も何か思いつき次第追記する。
ー V.I フロイト
モチーフは、左手と鍵。泥のようなものから鍵を掬い上げたように見える。
フロイトは強化手術を受けていない為、このエンブレムには手術を想起させるものはない(他のメンバーは頭部に関するモチーフが多い)。
モチーフが左手のみなのは、ただひたすらに、自分の腕を磨き続けたというフロイトの自負なのだろう。
泥のようなものは、まさに暗中模索なACの操縦技術訓練を表しており、鍵はその中で見つけ出した上達の秘訣の象徴だと思われる。
ロックは、”LOCK(錠前)”と”ROCK(岩、ロック音楽)”のダブルミーニングだと思われる(表記上はLOCK)。
まず、”LOCK”の解釈だが、フロイトにとってACとは複雑なパズルのようなもので、一見解き難いものにも必ず解決の鍵があるのだ。フロイトは問題解決の”鍵”を見つける達人(LockSmith)という解釈ができる。
続いて、”ROCK”の場合の解釈だ。これは、フロイトの奔放さを表しており、企業に属しておきながらそれらに縛られない、その精神性なのだろう(※)。
V.VIII ペイターの項目でも触れたが、ヴェスパー部隊のエンブレムには共通してギターのピックのような図形が使われている。
これは、フロイト自身の趣向で選ばれたのではないだろうか?
根拠と言っても「RockSmith」というギター演奏ゲームがあるくらいしかない薄い根拠だが、フロイトならやりかねないし、戦闘中はいつも音楽聴いてそう(それこそ軽快なロック)。
また、似ているエンブレムでよくハンドラー・ウォルターを挙げられるが
まぁ、あんまり関係ないんじゃないか?とは思っている。
「ウォルターの子供」なら何かしら言及はあるだろうし、「元ハウンズ」というのであればスネイルがもっと嫌そうにしてそう。
あえて比較するのであれば、「過去に縛られ戦う男」と「何にも縛られず戦う男」の対比なのだろう。
余談:これは、妄想に近いのだがヴェスパー部隊のエンブレムデザインにはフロイトが一枚噛んでるのではないか。というのも、フロイトはAC同士の戦闘で相手の本質を見抜くという特技のようなものを身につけている。
実際、ウォルターの思想に殉ずることに決めた621に対し「お前の戦い方、まさに猟犬という感じだ」と発言している。
まぁ、ハンドラーの猟犬とは知っているし、それでそう言い放っただけの可能性もあるが、妙に達観した様子から「味見で、どんなものか確かめてみたが本当に(主人にのみ従う)猟犬なんだな」というようなニュアンスを感じ取れなくもない。
このように、ヴェスパー入隊試験で手合わせた感触で「お前は…さしずめ”口輪をされた狼”といったところか」といってもエンブレムを作らせてそう(偏見)
※「アーキバスという体制側のくせにロックなわけない」というなら、今の人気ロックグループは全員大手レーベルに所属してるからロックじゃないという言い分になってしまう(まぁ、そういう言い分もありだが)。
フロイトはあくまで「強い奴とやり合いたい」というのが目的なのだから、企業というガワを利用しても、言いなりにはならないというのは十分ロックだと思う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まとめ
予想より記事が長くなってしまいました。
長い割にレッドガン部隊に比べ、浅い考察になってしまい申し訳ないです。
満足いっていないので何か思いつき次第、追記します。
次は、ルビコン解放戦線ですがサイバーパンクもあるので遅くなるかも。
今後も面白い考察を書けるよう頑張るので、是非ともスキをお願いします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?