【前編】闇バイトの根底にある労働の変化
最近世間を驚かせている話題のひとつに「闇バイト」がある。ネットニュースではもちろん、ここ1ヶ月でテレビなどのマスメディアも一斉に報じ始めたことで全世代から認知されつつある「闇バイト」であるがその被害はあとを絶たない。ここまで大々的に闇バイトの危険性について報じられているのにも関わらずなぜその被害は広がり続けるのか。そこには現代におけるSNSの進化とお金を稼ぐ手段の増加やそこから生まれる人間の心理につけこむ広告の仕組みが密接に関わっており原因は単純ではないと考えている。これらの私の考察をより掘り下げて自分自身の心理的な実体験(闇バイトの経験じゃない)を交えて記していく。
闇バイトとは高額な報酬を受け取る代わりに犯罪行為を代行するアルバイトのこと。と定義づけられているがその仕事を受注する際に犯罪行為を了承して受ける人はほとんどいない。募集の段階で闇バイトの誘い文句として「高額時給」「ホワイト案件」などが一般的で「こんなものに騙されるわけがない」と多くの人が思うだろうが案外そうではないようだ。
それは近年のYouTuberやTikTokerなどの若者中心の新たなお金を稼ぐ手段の増加が大きな原因だ。子供の将来のなりたい職業ランキングで近年必ず上位にランクインする「YouTuber」。大人世代からすると「職」と表現する事自体に疑問を持ってる人も多いと思うが、子供たちからの評価は立派な職なのだ。そして子供たちがYouTuberに憧れる要因は「自分たちにとって楽しい事(=楽なこと)をするだけで大金を稼げる」ことを知っているからだ。自分が好きなことを仕事にできると幸せと昔から言われてきたが、その極限が子供たちにとってYouTuberなんだろうと思う。苦労しているYouTuberももちろん多いと思うが、子供たちが見るような登録者数200万人ほどの大きなチャンネルには信者と呼ばれる固定のファンがついておりどんな動画をアップロードしても見てくれる層がいる限りそのYouTubeチャンネルが廃れてしまうことはない。またそのような影響力の大きいチャンネルが「収益公開」を動画にして子供たちが目にした時には「楽しい・楽・稼げる」というイメージのもと憧れの気持ちを持ってしまうことも無理ないはずだ。
これは今現在定職についてる大人には持てない感覚だと思うが、ベビーブーム期の大学戦争で旧帝国大学を目指し努力。より良い学歴を求め努力。より良い企業や公務員を目指し努力。出世するために努力。する時代ではなくなってきており、「楽して稼げるわけない」という大人が持つ当たり前の感覚がSNS全盛の若者世代からは消えかかってしまっているのだ。(批判するつもりはなく時代の変化と捉えている)
死に物狂いで受験を制する時代ではなく、学歴不要で年齢制限のないYouTubeやTikTokなどのSNSでバズることを仕事とする労働の変化を若年層が引き起こし若年層が染まっていっている現状だ。これを皆が認めないと大人世代が闇バイトに対して持つ疑問は解消されない。
前編では闇バイトが横行する若年層の「稼ぐ」という概念の変化にフォーカスしてみました。後編では人間の心理につけこむ広告の仕組みとお金がない時の思考力の低下に焦点を当ててみようと思います。
今後このような新たな視点を芽吹かせる起点となるような議題や話題についてNOTEを通して発信していきますのでフォローしていただけると嬉しいです。何か意見の交換をコメントしてくださると喜びます。最後まで読んでいただきありがとうございました。