【占い師のおばちゃんその3】100日後に初老を迎えるわたし-あと40日-

2020年7月16日(木)

~占い師のおばちゃんその3~



どん底から引っぱり出してくれたおばちゃんの神通力。

あるとき人のことは視えるけど、自分自身のことは視ないの?と聞いたことがありました。


『自分のために使ったってろくなことないから、この力は人のために使うようにしてるの。四柱推命で流れくらいは視るけどね。』


そう言っていたおばちゃんがある日

『実はね、昔親から大反対されて別れた人がいたんだけど、偶然再会したのよ。こんなことってあるのね。私の運気は今すごくいい時期だし、人のために尽くしてきたご褒美かしら。』

「それは嬉しい再会だね!」

『子宝に恵まれず、旦那ともその後別れることになって、大病して死の淵をさまよって。でも生き延びて今の仕事をするようになって。生かされた命だから人のために残りの人生を尽くそう頑張ってきたけど、やっぱりたまに一人でいることは寂しく感じてたのよね。』

「そりゃそうだよ!それでその人も一人だったの?」

『奥さんはいたらしいけど、ずいぶん前に別れたみたいでね。二人とも色恋って年じゃないし、余生を寄り添える相手として、すごく縁を感じて盛り上がったのよ。』


乙女のような顔になっていたおばちゃん。

こんなことってあるんだねー!

自分のために幸せになってほしいな!

と嬉しくなりました。


しかしその後おばちゃんから相談を受けます。

『あの人事業で負債を抱えたようで、ついお金を貸してしまったんだけど、それから連絡があまりつかなくなって…。住所は知ってるし、一人で行くのは不安だから、着いてきてくれない?』

車を出して、一緒に向かいました。

すると出てきたのは女性。

話すと相手の奥さんでした。


事情を話すと

「あの人がやったことだし、私は知らないわよ。帰って。」

と門前払いされます。


その後探ったのですが、再会自体はほんと偶然だったようなのですが、資金繰りに困っていた相手が、おばちゃんの気持ちを都合よく利用して、奥さんとグルでお金を引っぱったようなのでした。

『なんで人のために生きてきた私がこんな思いをしなきゃいけないの?』

人のいいおばちゃんは、この相手の前にもとある夫婦を助けて、お金を持ち逃げされてしまったことがありました。

そこから仕方ないと貯め直したお金を、運命の再会と信じて全て渡してしまったおばちゃんは、日に日に様子がおかしくなっていきます。


訴えたり奪い返そうと話したのですが

『騙された私がいけないの』

と、冷静に対応できずどんどん人間不信になり、そのうち

『ようすけ、あなたも私のこと騙そうとしてるんでしょ?』

と、僕に対しても思うようになってしまいました…。

毎晩のように電話がかかってきて話を聞くのですが、一向に良くなる気配はなく、僕もまいりはじめてきたときに、以前おばちゃんが言ってた言葉を思い出します。


『ようすけ、覚えておきなさい。心が壊れた人間は愛情で接してもなんともならないものなの。ガンはどんなに愛情をもって接しても、医療を受けないと治らないでしょ?ストレスの原因から脱することが出来ればいいんだけど、本人が出来なかったら病院に行って対処してもらう方がいいのよ。自分でなんとかしようと思うと、自分ももらって共倒れしてしまうから気をつけるのよ。』



病院に一緒に行ってみようと促したのですが、家に行っても出てくれず、電話をかけても切られてしまうようになってしまいました。

気になってその後も何度か電話かけるのですが、そのうち電話も解約され、住んでいた家からもいなくなり、それっきりおばちゃんとは音沙汰がなくなってしまうのです…。

もっと出来たことあったんじゃないか、なんでこんな別れ方になってしまったんだと、今でも思い返すとモヤモヤする、大切な恩人との思い出でした。


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