日本の祝事-子供編1~4
2006年4月 8日 (土)/2006年4月10日 (月)
今日、4月8日はお釈迦様の誕生日、花祭り、潅仏会の日です。
本来は旧暦ですから来月になるのですが、お寺さんによっては新暦の今日を祝うところがあるようですね。
釈迦が降誕したことを祝う祭りということで、お寺では「花御堂」をつくって釈迦像を安置し、献香して甘茶を注ぎかけます。
このお像は、有名な「天上天下唯我独尊」のお姿を現したものが多いようですが、生まれてすぐに七歩歩き、右手と左手でそれぞれ天地を指して言葉を発したときのお姿、ということですね―。
この潅仏会、古くは天平時代から行われ、鎌倉時代になると五種香を献じるようになり、江戸時代には、お参りに来る人達が甘茶を注ぎかけるようになったと言われています。
私の記憶では、やけに子供が集まるお祭りだった気がしますねぇ…。
自分も含めて、甘茶が目当てだったかな。
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暖かくなってくると、週末はお祝い事の予約が多くなります。
さまざまな人生の節目、そのお祝い事については、それぞれがお住まいになっている地域の特色もあるでしょう。
核家族化が進み、どうして良いかわからない、という方も増えていますので、ここでは一般的な例で、現代の事情も織り交ぜながらお話をしたいと思います。
日本の祝事-子供編1~4
<子供の誕生と健やかな成長を祈る祝い>
1.帯祝い・着帯の祝い
2.出産の祝い
3.お七夜 命名式
4.お宮参り
5.お喰い初め、百日の祝い
6.初節句
7.初誕生祝
8.七五三
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1.帯祝い・着帯の祝い
妊娠5ヶ月目前後の「戌の日」に、「岩田帯」という白い帯(さらし綿か、綿ネル)を妊婦の腹に巻く祝い事です。
帯は、縁起の良い七・五・三の数字にあやかって「七尺五寸三分」の長さがあり、一般的には妊婦の実家で用意するようですが、他には安産の神社などで祈祷されているものを分けてもらうこともあります。
この帯は、無事な出産を願うとともに冷えや衝撃から母体を守る、と言う意味もこめて巻くと言われていますが、成り立ちは古く、平安時代から行われていたようです。
詳しい由来などは不明の慣わしですが、今も昔も「出産」は命がけの大仕事です。
「戌の日」を選ぶのは、一度にたくさんの子を産む犬が安産なので、それにあやかってお産が軽く済むように、という意味もあるのだとか―。
いずれにしても安定期以降の妊婦を気遣い、大切な子供が無事に産まれてくるようにとの願いが込められた、大切な祝い事です。
2.出産の祝い
無事に子供が産まれると、「産飯」(うぶめし)を炊いて「産神」(うぶがみ)様にお供えをします。
産飯は茶碗に山盛りにし、産室のたんすの上などに置いてお供えしますが、出産直後のお母さんや赤ちゃんを、悪霊や災いから守るための意味も有ります。
この時、「赤ちゃんが一生食べ物に不自由しないように」と、一升飯を炊き、赤ちゃんの枕元にも置いて、近在の女性や子供など、できるだけたくさんの人たちに食べてもらうのが良いそうです。(男性を除く)
お母さんは、出産の後体力が回復するまでゆっくり休む必要があります。
なるべく静かに休めるよう、祝いの席などは後日に設けるようにしたいですね。
3.お七夜・命名式
昔は栄養状態や、医療体制の不備などで、出産前後に命を落とす赤ちゃんも大勢いました。
そのため、生まれてすぐの子供はまだ人間でなく、生まれて七日目に名前を付けることでようやく新しい家族と認められ、産神、氏神様に報告して、人間としての数に入れてもらうことが出来たのです。
またこの日までは、赤ちゃんはまだ生者とも死者ともつかぬもの、ということで、産着は白いものだけを着させましたが、この日以降は生者として認められ、色の付いた産着を着せても良い、とされていました。
ただ、まだ人間として完全ではないので、邪気を払い、悪霊を寄せ付けないために赤い産着を着せる、としたこともありました。
(「還暦」で60歳を迎えた人が、赤いちゃんちゃんこや帽子をかぶるのは、もう一度生まれなおして赤ちゃんに戻るから、ということなんですね)
法律上では、生まれてから14日以内にお役所へ届けを出さなければなりません。
ですから、現代ではこの2週間以内のどこかで、赤ちゃんに名前をつけます。
名前が決まったら、半紙の真ん中にその名前を書き、神棚や仏壇に張ります。
これは、産神様、ご先祖様に報告をする、ということです。
「名付け親」と言い、親戚の中で最長老の人に赤ちゃんの名前を付けてもらうこともありました。
このお祝いでは、近い親戚などを招いて、自宅でお祝いの宴を設けることがあります。
ただし、まだ赤ちゃんも小さいですし、お母さんも体力が戻っていませんので、体調のよさそうな日を見計らい、ちょっとお披露目をしたら、本人達は下がって休めるように考えた方が良いようです。
そう考えると、出産後からここまでは、自宅以外での会食や祝宴は出来るだけ避けたほうが良いでしょう。
何よりも赤ちゃんとお母さんの体調を最優先にし、万事計らうべきだと思います。
4.お宮参り
赤ちゃんが生まれて1ヶ月ほどすると、その土地の産土神(うぶすながみ)、氏神(うじがみ)にお参りして、長寿と健康を祈る「初宮参り」を行います。
参詣の日は、男児は生後31日目、女児は33日目といわれていますが、現在では赤ちゃんとお母さんの体調を一番に考え、いずれも生後1ヶ月前後の吉日を選んでお参りをする人が多いようです。
赤ちゃんには白い産着を着せ、男児なら黒紋付、女児なら友禅の晴れ着をあつらえて、産着の上から着せ掛けます。
お参りのときは、父方の祖母が抱いて参詣することが多いようですが、これは出産後のお母さんに無理をさせないためとも、産の穢れが赤ちゃんに付くことを避けるためとも言われています。
出来れば午前中に神社へ出向き、早めにお参りを済ませましょう。
社殿に上がってご祈祷を頼んでも良いですし、社殿前で普通に手を合わせても良いのではないでしょうか?
いずれにしても、過ごしやすい季節の吉日は、ご祈祷など混みあう場合が多いですから、早めに予約をするなり、受付をするなり、段取り良く動くことです。
赤ちゃんもまだ外出に慣れていませんし、晴れ着で長時間赤ちゃんを抱く人にも負担がかかります。
ここは一つ、赤ちゃんのお父さんにがんばってもらって、いろいろと手配りしてみてはいかがでしょうか?
参詣が済むと、土地の神様が赤ちゃんをその土地の一員として認めてくれた、ということになります。
昔はお参りの後に、お世話になっている方や近所の方々を訪ねて、赤ちゃんのお披露目と挨拶をしましたが、現在では、家族だけでお祝いをするのがほとんどです。
赤ちゃんの親である本人夫妻と赤ちゃん、両家の祖父母など、親しい身内で楽しく会食をし、これからの成長を見守っていただくようにお願いをしましょう。
※産の穢れ、忌み
「出産」には出血を伴い、母子ともに命のかかる大きな事でしたから、昔の人たちは、妊産婦はあの世とこの世を行ったり来たりするものと考えて、一定の期間隔離しました。
出産が近づくと、母屋から離れたところに「産小屋」を建て、男性の立ち入りは厳禁、女性でも産婆など決まった人以外は近づかないようにしたのです。
産屋に入ると、妊産婦本人も世話をする人も、すべて白装束に身をつつみ、食べるものも母屋の人たちとは別に調理したものを運びました。
出産後は、生後3日目に赤ちゃんに産湯を使わせますが、これもあの世の穢れを洗い清めるためで、使った湯には穢れが移っていると考えられ、日の当たらない床下かトイレに捨てられました。
妊産婦も、出産後ある期間をおいて穢れをそそぐまでは、母屋に帰れませんでした。
出産後、役目を終えた産屋は、すべて焼いて穢れを清めたと言われています。