【BASE在籍エントリ】一度は諦めかけた「マーケティングの民主化」が、いま目の前まで迫っている
■巷で話題の在籍エントリ
はじめまして、BASEでソーシャルコマース領域の事業開発を担当している和田です。
同僚のあいぽんがXに投稿した【在籍エントリ】に関する話題がプチバズりしていたのをみて、軽率に便乗することにしました。完全に深夜のテンションです。
■「販売パートナー機能」リリースに寄せて
本日リリースされた、「BASE」を利用するショップ間でのドロップシッピングを実現する機能「販売パートナー機能」※は、僕がBASEに入社した2022年から約2年に渡り、様々な人の力を借りて0から企画した渾身の機能となります。
ただ実は、個人的な経験を紐解くと、前職時代に追いかけていた「マーケティングの民主化」に対する、およそ10年越しの再チャレンジになるのだと気づき、せっかくなので振り返ってみることにしました。
■“中小企業のためのマーケティング”を広めるどベンチャーへの中途入社
僕は新卒で鉄道会社に入社し、半年の研修を受け、その後1年半は法務担当として働き、そして2社目(前職)にも法務担当として入社しています。
この話は今回の本筋からそれるので特に掘り下げませんが、のちにBizDev兼PdMという立場で新規事業の立ち上げを行った時に、法務としての経験が自分の身を助けてくれました。
さて、まだ第二新卒のような未熟さの僕を受け入れてくれたのは、日本全国の中小企業向けにデジタルマーケティングの支援を行う会社でした。なぜこの会社に入社することにしたか、それは僕の生い立ちとも強く関係します。
僕の実家は内装関係の自営業を営んでいました。父は一代で県下有数の規模まで会社を育てたものの、リーマンショックに端を発する元請企業の資金繰り悪化の影響を受け、連鎖倒産で会社を潰してしまいました(お陰様でその後すぐに再起し、今も元気に働いています)。このことから、僕は中小企業が自らの身を守るためには、特定の会社に依存することなく販路を獲得していくことがとても大切だということを学びました。そしてそのためには、中小企業でも工夫次第で販路獲得の道が拓きやすいデジタルマーケティングをもっと世の中に広めていく必要があるとも感じたのです。
前職の入社に話を戻しますが、入社当時は会社創業から3年目のタイミングで社員は50人足らず、若く気概に満ちた方々が多い環境で、僕も先輩社員と同様に正真正銘どベンチャーな生活を送ることになります。
入社して5年が経った頃に会社が上場を果たし、一時は時価総額500億円を超える規模となったりと、会社自体は順調に成長していたのではないでしょうか。
そしてその頃、僕は子会社に出向しており、BizDev兼PdMとして、当時流行っていた “クラウドソーシング”の領域の新規事業として、デジタルマーケターと中小企業のマッチングサービスを立ち上げていました。
“クラウドソーシング”の活用促進こそが、経済力または生産性などさまざまな制約がある中小企業に対して、マーケティングの門戸を広げる“マーケティングの民主化”への大きな一歩になると信じていました。
今となってはフリーランスや副業人材をうまく活用している企業も多くなっていますが、コロナ以前でリモートワークが定着する前の時代とあって、顧客開拓に四苦八苦していたことを今でも覚えています。
そんなことがありながらも、上場の翌年、僕はその子会社で執行役員を務めることになりました。もっとも、実力を評価されての満を持しての就任というよりは、止むに止まれぬ事情の中で成長期待に賭けていただいた“育成枠”に運良く入り込んだというニュアンスです。
■執行役員就任と挫折
執行役員就任後は、立ち上げたクラウドソーシング事業の閉鎖を経て、より小規模な事業者様向けの集客サービスの立ち上げをもって“マーケティングの民主化”を目指したものの、理想と現実との葛藤の中で意志を突き通すだけの実力がなく、やむなくターゲット顧客の規模を引き上げるなど、挫折も経験しました。
そうこうしているうちに、会社の主力SaaS事業の事業責任者を任されることになり、狭い領域ではありますがNo.1のサービスを運営する中で多くのことを学ばせていただきました。コロナ禍で業績が停滞する中で、少しでも成長を維持するためのTHE MODEL型セールスマーケティング組織の導入やユーザーコミュニティの立ち上げ、外部サービスとの提携、そして組織成長に欠かせない開発チーム・Bizチーム双方の人材育成などを進め、事業責任者として“それっぽいSaaS事業の運営”は一通り経験できていたのではないでしょうか。
しかし、ある時ふと自問自答してしまったのです。自分は”それっぽいSaaS事業の運営”をして分かったような顔をしていたいのか、それとも初心に帰って、支援の担い手が足りていない個人や中小事業者のチャレンジを後押しする仕事がしたいのか、どちらなのか、と。
そこからの意思決定と行動はとても早かったと記憶しています。完全に吹っ切れていました。その時点で「次に働くならBASEだな。」と勝手に決め込んでいたので、会社に退職の意志を伝えた後にはすぐさま、当時から薄くつながっていた COOの山村に連絡しました。
■BASE入社と事業開発部門の立ち上げ
当時のBASEはコロナ禍によるEC需要を追い風にしており、採用も非常に旺盛に行なっていたため、スルッと入社させてもらえ、ありがたかったです。勝手な片想いで終わらずにすみました。
会社はさらなる成長の糸口を掴むためにBizDevポジションを強化したいとの意志があり、その役割を担うことになりました。長らくデジタルマーケティング畑にいたこともあり、まずはショップオーナーの集客に対する課題に答えるサービスの立ち上げを進めました。
その中で一般的な手数料型の広告代理モデルではなく、売上連動型の広告支援モデルを立ち上げることに。ショップオーナーへのコンセプトヒアリングの中で、売上連動型モデルが想像以上のポテンシャルを持っていることに気づき、そこからはスピードを重視し、前職の皆さんにも助けていただきながらサービスを試験的に提供し始めました。
BASEのようなロングテールのプラットフォーム事業者の強みとして、新規サービス立ち上げ時のCACが抑えられるということに気づけたのも、のちのサービス開発に拍車がかかった要因でした。
■「販売パートナー機能」の芽吹き
入社数ヶ月後のある時、BASEのGMVを飛躍的に成長させるためには何をすべきかを根詰めて議論する機会がありました。議論の中で自分の考えがまとまっていき、以下の3点をうまく取り込んだサービスに糸口がありそうだと見立てました。
魅力的な商品を持つショップがロングテールでご利用いただいているという土台
売上連動型の収益モデル
アテンションエコノミーを前提としたサービス設計
そうして各論の検討を経て、「販売パートナー機能」の骨子が完成しました。
検討段階では、顧客ヒアリングと並行して社内メンバーとのコミュニケーションも増やしていき、代表の鶴岡にも企画の壁打ちに付き合ってもらったのですが、その時に見せてもらった2013年当時のBASEの説明資料の中に「SELECT機能」という、「販売パートナー機能」とまったく同じコンセプトの機能が記されていたときは流石に鳥肌がたちました。
■「販売パートナー機能」が目指す“北極星”
「販売パートナー機能」は、従来のストアフロント型のネットショップ作成サービスが提供してきた価値とは一線を画す新たな付加価値を提供します。
この価値を社内に浸透させるために、「販売パートナー機能」が目指すべき理想の姿を“北極星”として下記のように定めました。
“ショップオーナー同士がスキルトレードによってエンパワーメントし合い、成功を掴めるようになる世界を作る”
この北極星について解説をすると
スキルトレードとは、能力の価値交換の意味
つくる才能の持ち主と広める才能の持ち主が手を組むことにより、今までは十分に稼ぐ手段ではなかったことから付加価値が共創される
付加価値を創造しない第三者に搾取されないフェアな世界
ということになるのですが、僕はこの北極星を実現することこそが“マーケティングの民主化”の一つのあり方を世の中に証明することにつながるのではと思っています。
入社から2年半、機能のリリースを迎えた今、ようやっとスタートラインに立てた思いです。そして、僕のBASEでのキャリアは、まさにここから始まると思って、これから駆け抜けていくつもりです。
終わりに、今年の7月からBASEが協賛させていただいているPodcast番組「味な副音声」のMCであり、また番組公式ネットショップの店長としてセレクト商品の選定を手がけるフードエッセイストの平野紗季子さんから、この度のリリースに寄せていただいた言葉を引用させていただきます。
こんなにも機能の本質をついた、そして温かな眼差しを感じるメッセージをいただけたことに驚きましたし、とても勇気づけられました。平野さんをはじめ期待していただいている多くのショップオーナーに報いるために、僕はBASEで今度こそ“マーケティングの民主化”を実現します。
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