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ビリーバーズ★★★
山本直樹の傑作漫画がようやく映画化された。テアトル新宿で上映中。
無人島で修行中のカルト信者の女1人男2人。足の裏を互いにくっつけて瞑想しているシーンから始まる。
オウム真理教の事件が下書きになっている。
生きづらい人や、追い詰められた人の逃避先の一つにカルトがある。帰依した他人に無条件に従うことで、居場所を提供され受け入れてもらえる。
確かに楽かもしれない。ただしそれは意志の放棄=人生の放棄と引き換えだ。
人を洗脳し現実から引き離すのがカルトならば、そこから人を現実に引きずり戻す鍵になりえるのがセックスだ。一方で、セックスは更なる現実逃避、支配、洗脳の強化にも有効だ。諸刃の剣でもある。セックスは人を救い、時に滅ぼす。
無人島の3人「議長さん」「副議長さん」「オペレーターさん」をセックスの問題が引っ掻き回す。彼らは洗脳から逃れて無事現実に着地できたのか、それとも…。それは是非、原作漫画を読むか、映画を観てほしい。映画は漫画にほぼ忠実に作られている。
「副議長さん」「オペレーターさん」の2人がボートを漕ぎながら現実と幻想が交錯する白昼夢のラストシーンは哀切にして美しい。この映画中の白眉だと思う。向こう岸、とは何を象徴しているのだろうか。そこに救いはあるのだろうか。
「副議長さん」の北村優衣、「オペレーターさん」の磯村勇斗、「議長さん」の宇野祥平の体当たり演技が凄い。原作者の山本直樹も「先生」役で出ていて、カリスマ感出ている。
テアトル新宿で売っていたニコニコ人生センターキャップ、ちょっと迷ったけど買わなかった。