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「得意分野がないとサイト運営は無理」というのは勘違い

いきなりですが、ミニサイト本からちょっと多めに引用しちゃいます。自分の本なので許してください。

私は2008年頃から自分が運営するサイト群を「ミニサイト」と定義づけ、自らも「ミニサイトづくり職人」と名乗って活動をしてきました。あえて「ミニ」とつけたのには意味があります。インターネット上で世界に向け情報発信する楽しさ、運営サイトを収入につなげていく面白さを、もっと多くの人に“気軽に”体験してもらいたいと思うからです。
ブログやサイトを運営して情報発信を楽しんでいる人は年々増加しています。趣味を越えたライフワークになっている人も急増し、ブログやサイト運営で副収入、あるいは家族を養っているなんて人まで登場しています。私もここ十年ほど運営サイトからの収入で生計を立てています。
一方、興味はありつつ未体験の人もまだかなりいます。
「何かサイトつくってみたら?楽しいですよ」
そう投げかけると、「いえいえ、何も得意分野がありませんから・・・私なんかには無理です」と言われることがよくあります。本当にそうでしょうか?
私たちは毎日の生活野中で、たくさんの経験をし、さまざまなことを考えながら生きています。「子どもと久しぶりのスキーをした」「読んだ本に刺激を受け仕事の進め方を工夫した」「家事を効率よくこなすアイデアを思いついた」「家庭菜園で前年以上の収穫を上げた」「南の島でダイビングをやってみたいな」・・・。そうした自分ならではの、ちょっとした経験・知識・興味を持って調べ始めたことなどは、ネットを通じて情報発信する価値のあるコンテンツになります。

「サイト運営には何か得意分野・専門分野が必要」
「誰よりも詳しくないとサイトは作れない」

そう思って、興味あれど一歩踏み出せない方もいます。

いやむしろ多数かもしれません。

サイトを作るには、そのテーマに関する知識が必要なのは間違いないでしょう。テーマによっては、専門知識が必要とされ、素人が安易かつ無責任に作ってはいけないジャンルもあります。

医学的&科学的裏付けが全くない記事、単に外部サイトからかき集めてコピペしただけのコンテンツを量産し、大きな社会問題にもなったキュレーションサイト騒動はまだ記憶に新しいはずです。人の命・健康にも直結する医療分野において、アクセス集めのためだけの無責任な情報発信は大きな害悪です。

一方で人は、必ずしも「専門家」「詳しい人」「ベテラン」が発信する情報だけを求めているわけではありません。テーマ・ニーズによってはむしろ、現在進行形で情報収集中であったり学習途中であったりする人が作ったサイトのほうが、同じ目線と初心者ならではの感覚で、わかりやすいコンテンツを作れる可能性もあるのです。

専門家は、専門知識があるからこそできる情報発信があります。
一方で素人・初心者にも、詳しすぎないからこそ、ベテランではないからこそ可能な情報発信というものがあるのです。

例えば先ほどの引用の中で「南の島でダイビングをやってみたいな」と書きました。「海外でダイビングライセンスをとりたい」と思って「海外 ダイビングライセンス取得」で検索した際、どんなサイト・記事と巡り合えたら満足するでしょうか。

まだ基礎知識がほとんどない人だったら、「海外でダイビングライセンスを取得するメリットとデメリット」から知りたいと思うかもしれません。候補としてどういった国・地域があるのか、その中で人気スポットはどこなのか、費用は?期間は?言葉の問題は?季節はいつがいいの?直行便あるの?注意することは?など疑問点はいろいろあがってくるかもしれません。いやそもそも、「何を調べればいいのか見当もつかない」という人もいるでしょう。

でも実際に検索してみると、検索1ページ目に出てくるのは、ダイビングライセンス取得のスクールの広告がずらり。その後も旅行会社のダイビングツアーの情報など。もちろんそうしたサイトを順番にひとつずつ見ていけば、どういったダイビングスポットがあるのかや費用、注意事項なども把握できます。ベテランのインストラクターが日々綴っているブログが併設されているかもしれません。ただ情報が膨大で、初心者が知りたいことだけをその中から発掘するためには、かなり余計な時間がかかってしまいます。

個人の体験談を記したブログ記事も参考になりますが玉石混交の世界。誰かがひととおり目を通し、その中から「初心者に役立つブログ記事一覧」をピックアップして紹介してくれたらありがたいですよね。

さあどうでしょう。
海外でダイビングライセンスを取りたい人がまず最初に知っておきたい基本的な情報をまとめたサイトは、上級のダイビングライセンスを取得し300本以上潜ったキャリアも豊富なダイバーでなくては作れないものでしょうか。私はそんなことはない気がします。

同じようなニーズを抱えて情報を集め、慎重に検討した結果、最適と思われる方法で海外でダイビングライセンスを取得した人が、その体験談も交えながら自分が調べた内容などをまとめ、初心者にもやさしい海外でのダイビングライセンス取得講座ミニサイトを作ったら、きっと役立つと喜ぶ人がたくさん現れると思います。

本人も、「このネタで後でミニサイトを作ろう」と思えば、事前の情報収集モチベーションだってあがります。周囲のいろいろな人に「海外でダイビングライセンスを取得するメリットとデメリット」をヒアリングしてまわったりするかもしれませんし、どんなダイビングスポットが人気なのか徹底的に調べるかもしれません。なにしろすべては「ミニサイトを作るための取材」も兼ねているのですから。

これはミニサイトに限らずブログでも同じですが、情報をアウトプットすることを前提に行動すると、インプット量も増え、結果として体験の質があがることは多々あるものです。

また、「ちょっとの時間と根気さえあれば誰にでも調べられまとめられ発信できる情報」というものがあります。「誰にでも可能」というところで、それほど価値がないと思ってしまう人もいるかもしれませんが、そんなことありません。

例えば「車椅子の母を連れて温泉に行きたい」と思ったAさんが、車椅子でも入れる日帰り温泉あるいは貸切個室風呂のある施設を探し、一覧化したとします。ネットで検索したり、電話で施設に確認したりする作業には数時間かかることでしょう。

その作業自体は、同じだけの時間をかければ誰にでもできることかもしれませんが、集めた情報をAさんがネット上に公開すれば、多くの人がその後、多忙な最中に時間とマンパワーを投入して同じ作業をしなくて済むのです。あるいは根気強く探す時間と余裕がなく、諦めてしまっていた人が日帰り温泉に行くきっかけ、大きな支援になるかもしれません。

●台湾温泉ガイド

こんなミニサイトを2014年に立ち上げかれこれ3年間運営している私ですが、元々別に台湾の温泉の専門家ではありません。詳しかったわけでもありません。さらに言うと今だって温泉に関する専門知識すらありません。

2014年に作成を決めた時は、単なる「台湾旅行を計画しているひとりの日本人」でしかありませんでした。温泉に行こうと思い、台湾国内にどんな温泉があるのか調べ始めたのがきっかけです。

台湾の温泉に関する情報はたくさんありましたし、温泉地の名称さえわかれば、それをキーに行き方や宿泊場所、そして実際に訪れた人の旅行記も探し当てることができます。ただそれらを網羅的にまとめた日本語のサイトがなかったため、正直かなり時間と手間がかかったのです。

そうして台湾の温泉をまわり始め、22か所の温泉地をめぐって作り上げたこのサイト。決してアクセス多いわけではありませんが、台湾の温泉に興味ある人達に毎日コンスタントに見られています。時に「便利に活用させてもらいました」など御礼メールをいただくこともありますし、バス停の位置が変わったなどの新情報を寄せてくれる人もいます。

周囲からも「台湾の温泉に関することなら和田さんに聞けばいい」と頼ってもらうことが増え、このミニサイトを作ったことで、私にとっては「ちょっと詳しい得意分野」がひとつ増えました。

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note文章なので、もっと短くコンパクトにまとめたいと思っているのですが、どうしても冗長になってしまいますね。すみません。

言いたいことは最初に書いたことです。

「何かサイトつくってみたら?楽しいですよ」

もしミニサイト作りに興味があるなら、ぜひ「できない理由」「やらない理由」を掘り出すのではなく、むしろそんなのは埋め戻しちゃってください。

「専門分野」「周りの誰より秀でた知識」なんてなくてもいいんです。

そして具体的に考えてみてください。

どんなテーマのミニサイトを作ってみたいか。
そのミニサイトはどんなニーズを抱えた人の役に立つか。
役立つミニサイトにするためにはどんな内容のコンテンツにすればいいか。

できればメモしてください。
紙でもパソコンでもスマホでもいいです。格好良く書く必要はなく、箇条書きでいいんです。

その一歩がいつか、
「ちょっと詳しい得意分野」誕生につながるかもしれません。

●ミニサイトをつくって儲ける法(日本実業出版社)

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