生徒さん入会後の校長先生へのご挨拶
今回の記事では、生徒さんのフリースクール入会が決まった際に行う校長先生へのご挨拶について、私の運営するおうちフリースクールでぃありすの例を紹介します。
通常、生徒さんがフリースクールへの入会を決めた際には、フリースクール運営者は生徒さんの在籍中学校の校長先生にご挨拶を行う必要があります。
生徒さんの在籍中学校の校長先生方には今後生徒さんのより良い成長を支えていく上で大変お世話になりますから、フリースクール運営者のほうからきちんと出向き、ご挨拶に伺うことが大切だと私は考えています。
また校長先生のお立場から考えましても、大切な生徒さんの支援を任せる支援者がどのような人間・組織であるかはとても気になるところです。
フリースクールとの連携が初めてとおっしゃる校長先生もまだまだいらっしゃいますから、ぜひフリースクール運営者のほうから丁寧で誠意あるご案内を提供し、生徒さんを安心してお任せ頂けるスタートを切りたいところです。
それでは校長先生へのご挨拶の手順について、順を追って確認していきましょう。
1.電話でアポイントメント
生徒さんおよび保護者様から正式にフリースクール入会のお申込みがありましたら、まずは生徒さんの在籍中学校の校長先生宛にお電話をしましょう。
お電話でお伝えする内容は以下のとおりです。
▼要件と自己紹介
まずは学校代表番号にお電話してみましょう。
たいてい事務の方か教頭先生か、各学年の教諭の方が出て下さいます。
「フリースクール〇〇の▼▼です。突然のお電話を失礼いたします。御校生徒さんの件でご連絡がございます。校長先生はいらっしゃいますでしょうか」と簡潔に要件を述べます。
”御校生徒さんの件で”とちょっと詳細に述べるのは、お忙しい先生方に「どういったご用件ですか?」と聞かせてしまうお手間を掛けさせないためです。
営業電話に辟易させられている学校さんも結構あるので、怪しい電話相手には要件をよく聞くように先生方が指導されている場合もあります(保険入りませんか?マンション買いませんか?みたいな電話、結構かかってくるんです。学校って)。
校長先生にお電話を繋いで頂いたら、改めて校長先生に自己紹介をしましょう。
「突然のお電話を失礼いたします。フリースクール〇〇の▼▼と申します。このたび当スクールで御校〇年〇組の△△さんのご支援に携わらせて頂くこととなり、ぜひ一度校長先生にご挨拶をいたしたくご連絡させて頂きました」と今回は生徒さんのお名前も出しながら具体的にご説明します。
そうするとほとんどの校長先生が「あぁ~、これはこれは!大変お世話になります。わざわざすみません~!」と温かなお返事をして下さいます。
校長先生によっては、このご挨拶に続いて「●●さんのフリースクールでの様子はどうですか?」と質問して下さったり、「学校ではこんな様子で」などと詳細に情報を下さる方もいらっしゃいます。
校長先生のお話を最後までお聞きしたところでフリースクール運営者からは最後に学校への訪問をお願いします。
▼訪問日程ご提案
「〇〇さんへのフリースクールでの支援内容や今後の来室日のご報告について詳細なご案内を差し上げたく、もしご迷惑でなければご訪問をさせて頂けないでしょうか」とお願いします。
訪問を承諾して頂けた場合、日程調整を行います。
訪問を断られた場合は、このお電話にてフリースクールの支援内容と来室日のご報告方法についてご案内して終了です。
▼【気を付けたい】お電話の時間帯
学校にお電話をする際に気を付けたいのが時間帯。正解かどうかはわかりませんが、私は下記の時間帯の発信はしないようにしています。
基本的なポイントは”先生方の勤務時間内に行う”ということです。
①の「先生方の勤務時間前」につきまして。学校によって違いはありますが、勤務開始時間は大体8:15~8:30の間の学校がほとんど。
8:30前は勤務時間前である可能性が高い上、勤務開始時間前であるにもかかわらず、登校時の挨拶指導や子ども達の出欠連絡受付のほか、部活動の朝練習と先生方は大忙し。
”この時間に来ている先生=やらなきゃいけないことを抱えている先生”です。
フリースクールからの電話で邪魔してしまうことは避けましょう。
続いて②。じゃぁ8:30を過ぎたらいいの?ということになりますが、9:00くらいまでは待ちましょう。
1時間目の授業が始まるのは大体8:50~9:00の間くらい。それまでの時間は職員打ち合わせや朝会が入っていたり、やはり先生方はバタバタです。
「校長先生は学級を持っていないから大丈夫では?」と思われるかもしれませんが、管理職の先生方こそ朝の打ち合わせを取り仕切ったり、委員会からの電話に対応したり、各学級の朝の会の様子を見てまわられたりとかなりお忙しいのです。
③の12:00~13:30は校長先生の昼食やお昼休みのタイミングになります(校長先生は生徒の安全を守るため、一番最初に給食を召し上がることが多い)。まぁ教員なんてみんな休憩時間などあって無いようなものなので、休憩時間に電話が鳴っても快く対応してくださることがほとんどなのですが、外部の人間があえてその時間を邪魔する権利はないと私は思っています。なので私は避けます。
④は先生方の勤務終了時刻です。この時間で退勤される先生方はほとんどいませんが、③と同じ理由で私は避けています。
…と書いていくと、「電話できるタイミングほとんどないじゃん!」と皆さんは思われるでしょう。そうなんです!教員の一日に、職員室にのんびり座っている時間なんてないんです!(笑)
いつも校内を巡回していらっしゃるような熱心な先生ですと、本当に朝から晩までお電話がつながらないこともありますが、根気よく何度もかけてみましょう。
▼【気を付けたい】保護者様への確認
生徒さんの校長先生へのご挨拶の前に忘れないようにしたいのが”生徒さんの保護者様の意向確認”です。
中には「フリースクールとの連携を学校に知らせないでほしい」という保護者様もいらっしゃいますので、校長先生への電話連絡を行う前には必ず「学校様への挨拶の連絡は入れてもいいですか」と保護者様に確認するようにしましょう。
また、併せて「学校にぜひ伝えてほしいこと」と「学校には伝えないでほしいこと」が無いかどうかも細やかにヒアリングを行うようにしましょう。(例:「フリースクール来室日を要録上出席扱いにしてほしい」「学校に足が向かない理由についてはまだ伏せておいてほしい」など)
2.訪問当日
次に、訪問当日に必要なものと訪問の流れについてご紹介します。
▼準備するもの
校長先生ご訪問時に持参すべきものは以下のとおりです。
①名刺
私はインターネットで気に入ったデザインの名刺を見つけて発注しました。100部で1000円くらいのもの。
②スクール紹介リーフレット
スクールの概要がわかるシンプルなリーフレットです。2ページ/1枚の両面印刷をすると、折りたたんで1冊のリーフレットができあがる仕組みになっています。これを10部程印刷し、一部は校長先生のお渡しします。多めに刷った分は生徒さんの担任の先生や学年の先生方にお渡しくださいとお伝えしています。
不特定多数の方の手に渡るものになるため、個人でスクールを運営している私の場合は電話番号や住所詳細は記載しませんでしたが、ある程度大規模なスクールを開かれる方は、しっかり詳細まで載せて良いと思います。
私が使用しているスクール案内リーフレットのひな形(word)は下のリンクからダウンロードできます(有料¥500)。よろしければご利用ください。
③出席状況報告書のサンプル
生徒さんのフリースクールへの来室状況を校長先生にお知らせするための書類のサンプルをお持ちします。
おうちフリースクールでぃありすでは毎月【①教師が記入する来室記録】と【②生徒さんが記入する来室記録】の2点をもって校長先生にお届けしていますが、連携開始前に校長先生には一度サンプルをご覧頂き、「月度報告はこの内容でよろしいですか」「他に記載しておいてほしい情報はありますか」などとお聞きするようにしています。
出席状況報告書には決められた書式はありませんので、各スクールさんが独自に作成していることがほとんどです。
おうちフリースクールでぃありすで作成している報告書はわたなべさやこのnoteにて公開しておりますので、もし必要な先生方がいらっしゃいましたらご参考にして頂ければ幸いです。(有料記事になります)
④スリッパ
「学校で準備しているものを使ってください!」と言っていただけるんですけれど…やっぱり申し訳ないので初回くらいはきちんと持って行っています。
⑤「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日
過去に一度だけ、近隣の校長先生から「フリースクールに行って出席扱い?そんなの認められるわけがない」と言われてしまったことがあり、そのときに役に立った書類が「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日です。
不登校児童生徒支援のガイドラインとして国内すべての公立小中学校の校長先生に通知されたはずの文書なのですが、この1校だけ「こんなもの知らない」と…。
「普通の生徒は8:30から学校に来ているのに、9:30スタートのフリースクールなんて出席になるわけがない」
「他の生徒は真面目に登校しているのに、フリースクールに行くなんて怠けではないか」と校長先生。
今となればちょっとびっくりですが、この通知をお読みになったことがないのであれば、そう思われてしまうのも仕方がないこと。
こういうケースは非常に稀ですが、フリースクール支援者がきちんと丁寧にご説明しなくてはなりませんので、校長先生ご訪問時には念のためこの通知をカバンに入れておくことをお勧めします。
(通知内容をご説明した上でいくつかのステップを踏んだのち、このケースにおいても無事に生徒さんの要録上出席扱いは認められました)
▼訪問の流れ
いよいよ訪問当日の流れについてご案内します。
とはいえ学校さんによって、また小学校か中学校かによっても流れは変わりますので、あくまでもイチ参考として気楽にお読み頂けたらと思います。
①事務室にご挨拶
ほとんどの学校さんですと来客用玄関付近に事務室がありますので、まずはここで事務員の方にご挨拶をしましょう。
名簿に名前を書くよう促されたり、来校証を渡されることもあります。
きちんとアポイントメントを取っていれば、この後事務員さんが校長先生のお部屋に案内して下さるか、校長先生が玄関までお越しくださいます。
②自己紹介
お部屋にご案内頂いたら、名刺交換のうえ自己紹介をしましょう。
この後の流れは、校長先生によって様々です。
忙しそうなご様子でしたら要点だけ簡潔に伝えて早めに失礼しますが、生徒さんの学校での様子を教えて下さったり、フリースクールでの様子を気にかけてたくさん質問してくださる校長先生のほうが多い印象です(とても嬉しいですね)。
時には生徒さんの担任の先生や学年の先生までご紹介頂けることもあります。
名刺やリーフレットは、数に余裕をもって準備していきましょう。
その他、フリースクール運営者のほうから忘れずに話題に出すべき事柄は以下のとおりです。
③支援内容のご案内
フリースクールでの生徒さんへの支援内容についてご案内します。
✔生徒さんの来室曜日と時間
✔来室日の時程
✔主な支援内容(学習・進路・友達との関わり等)
持参したリーフレットを用いて説明するとわかりやすいです。
支援内容をご確認いただいた上で、校長先生からのご要望やアイディア・ご助言があれば承ります。
④月度報告のご案内
月に一度お届けする月度報告書についてのご案内を行います。
✔記載内容に不足や要望がないか
✔お届けの方法(持参かメールか郵送か要望をお聞きする)
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以上、今回の記事では生徒さん入会後の校長先生へのご挨拶の流れについておうちフリースクールでぃありすの例を用いてご案内しました。
生徒さんの在籍中学校の先生方へのご挨拶は、支援者の皆さんにとって特にドキドキする場面かと思います!
ですが、ぜひ勇気を出して飛び込んでみましょう!
先生方は「日々挑戦と成功と失敗を通して学ぶ子ども達を見守る教育のプロ」。
校長先生方からしたら、私だってぺぇぺぇのチンチクリン姉ちゃん以外の何モノでもなかったはずですが、出会った校長先生方は皆さん本当に温かく、優しくお話を聞いてくださいました。
若い教育者の挑戦に理解を示し、「この子の未来を一緒に考えていこう」「教育を一緒によくしていこう」と言って下さる先生方ばかりに出会えて私は本当に幸せでした。
丁寧に記述したつもりですが、抜けやご質問がありましたらコメント欄にてお知らせください。
みなさまの校長先生訪問も大成功のうちに終わりますように。
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【この記事を書いた人】
※トップの画像はgobogoboさんの作品をお借りしました。
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