大人も子供も性教育~Netflix " Sex Education"
一人娘を育てる過程において、性に関して積極的に語ることはなくても
機会がある時には決して否定的な言葉は使わず正直に語るように心がけた。
私自身が母親から性に関してヴィクトリア朝的な
ほとんど呪いのような言葉を聞かされて育ったからだ。
「結婚するまでは綺麗な身体でいなさい」
「欲情した猫のような振る舞いは穢らわしい」的な。
おかげで娘は性に関して、とてもおおらかで
母親としては内心ぎゃっと思うような(でも顔には出さない)
発言や行動をあっけらかんと見せてくれる。
決してこちらが説教的否定的な言葉を使わないので何でも相談してくれる。
かつて私が呪いを振り切るために非行を繰り返しては
母には恐ろしくて口が裂けても言えなかった時とは正反対だ。
もっとも処女でないと良い結婚は出来ないみたいなことを
母がヒステリックに泣き喚いた時に
「私の処女膜と結婚したいような変態はこちらから願い下げだ!」
と、こちらがキレたらちょっと納得してくれたが。
Netflixのドラマ「Sex Education」は私を凌駕して
おおらかで真摯な性教育を展開してくれた。
ティーンエイジャーなんて、どこの文化でも性への興味が爆発する時期なのだ。
それを抑圧して罪悪感を植え付けることのメリットなんて何ひとつない。
それよりも性を肯定し愛し合うことの素晴らしさを説く方が
ずっと健全で全人格的な教育に決まってる。
それにしてもこのドラマ、LGBTQの勉強になった。
LGBTQを取り上げるドラマや映画は随分増えてきたが
その成長期の苦悩をドラマとして観たのは私は初めてだった。
もちろんリアル当事者がこのドラマの内容をどう思うかは興味深いところだが。
それでも今までドラマや映画で取り上げられなかった側面ではないだろうか。
さすがイギリス。こういう先進的な文化はやはりこの国の良いところだ。
加えて舞台になるウェールズの自然背景が美しい。
このドラマを観て大人のはずの私もとっても切なくなった。
自分の受けた性教育を思い起こし、そのスティグマと長年戦ってきたことに
改めて気がついた。
そして自分の辛さ、寂しさ、引っかかって取れない棘のようなもの、
そんな諸々を心を開いて語り合うことの大切さを知った。
結局ティーンエイジャーも大人もみんな迷い続けて生きているのだ。
余談だが
日本でモーニングアフターピルの入手がとても難しいことを知り
その理不尽を娘と憤っていた時に
「あ、イギリス行った時にたくさん薬局で買っておいでよ」と私が言ったら
「いやおかーさん、私そんな状況にたくさん陥るつもりはないから」
と娘に笑われた。もっともである。
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