9、 教わる”体操”から、自らを”表現”する動きへ #ダンスワークショップ
先日、埼玉で開催されていた、#世界ゴールド祭 。オーストラリアを拠点とする #マチュアアーティストダンスエクスペリエンス が、デイサービスを舞台に高齢者向けダンスワークショップを行なうということで、観に(参加しに)いってきました。写真は、開始前にダンサーたちが話している様子です。
#マチュアアーティストダンスエクスペリエンス による「#ムーバーズ&シェイカーズ」は、あらゆる身体状況の人びとが踊る楽しさ、表現の喜び、集う楽しみを体感できるダンスのワークショップ。
ワークショップの1時間は本当にあっという間で、いつの間にか参加者にまわっていたので、終わったころには、すっかり汗もかいていました。
記録用にたくさん写真や動画を撮らせてもらいましたが、デイサービスに通う方々も写っているのでこちらでの公開は控えることとしますが、ワークショップの流れを紹介したいと思います。
今回、#マチュアアーティストダンスエクスペリエンス をリードしたのは、#ケリー・ドラモンド・コウソン ( #Kelly Drummond Cawthon )。ダンサー、振付家、指導者として25年のキャリアを持つ、立ち姿美しい女性です。
25名ほどのデイサービス利用者(全員が女性・・!)が円になって椅子にすわり、ケリーを含めたダンサー3名もそのサークルの椅子にともに座ります。最初にケリーが挨拶。とても愛情深い挨拶です。一人一人の目をみて、手を触りながら、場と自分との距離を縮めていきます。
ちょうど大型の台風が通過した翌日でもあり、「嵐がきたとき、あなたはどんな動きをする?」とケリーが問いかけます。
「傘をさしますね。」「あっ!傘が壊れる!」「傘を直しましょう」「雨の音がどんどん強くなってきます。手をたたいて!足を踏み鳴らして!」「頭を隠して」「そっとあたりを見回して・・・」「はっ!」・・・「おへそをかくしましょう(これは実は私の息子のアイディアを採用しました。笑)」
この一連の動きを、何度もやっていきます。そのうちに、ケリーのiPhoneで音楽が流れ始め、音楽とともにこの動きがどんどんつけられていきます。ケリーや他のダンサーの動きを真似するために周囲をキョロキョロしますが、段々身体が動いてきて、いつの間にか自分だけの動きをしながら、表情がどんどんとほころんでいく高齢者の方々。自ら進んで動くそのその光景は、とても美しいなと感じました。
その流れのまま、ケリーから今度は違う問いかけがあります。「あなたが初めて着た洋服のこと、覚えている?どんな気持ちでその洋服を着たかしら?」
私は進んで、自分の七五三で初めてきた着物の話をしました。そうすると、高齢者の方々も父親に買ってもらった着物の話、嬉しくてピョンピョンしたことなどを語り始めてくれました。
「素晴らしい。みなさん着物の思い出がたくさんあるんですね。なんて美しいんだろう!」ケリーは日本の文化に対しとても尊敬をもって語りかけてくれます。
そのうちに、ある一人の女性、103歳の方が、デイサービスの職員に「人形をもってきて」と頼みます。そして、その人形(実際には小さな毛布でくるんだクッション)を赤ちゃんにみたてて、子守唄を歌い始めてくれました。何か、幼少期のころを思い出したのでしょうか、妹か弟、もしくは自分の子育てのころを思い出したのか。部屋いっぱい響き渡る声で、子守唄を歌う。ケリーは驚きそしてとても笑顔で受け入れていました。
そのまま、円を3つに区切り、それぞれダンスをつくっていこうと提案がありました。あるグループは#moonriver にのせて、あるグループは違う音楽にのせて。リズム感を問うのではなく、身体が動くままに流れるようなそんな体験です。
そう踊っているうちに、高齢者の方々が続々立ち上がります。それはとても自発的にとても自由に。高揚して前に出す方々。
さて体操しますよ〜 ではなくて、さて今日は雨の中を歩く感じで動きますよ〜。そんな応答が、ケアの現場にあればいいなあ。もっともっと、老いていく人の表現が深まるはずだなと、ともに踊りながら強く感じた時間となりました。
来月、英国にて実際の福祉現場の表現活動について、しっかりみていきたいなと思います。
藤岡聡子
株式会社ReDo 代表取締役/福祉環境設計士
info(@)redo.co.jp
http://redo.co.jp/
私、藤岡聡子については、下記記事を読んでみてください。
・灯台もと暮らし
【子育てと仕事を学ぶ #1 】藤岡聡子「いろんなことを手放すと、生死と向き合う勇気と覚悟がわいてきた
・月刊ソトコト 巻頭インタビュー
・soar
「私、生ききった!」と思える場所を作りたかった。多世代で暮らしの知恵を学び合う豊島区の「長崎二丁目家庭科室」
おまけに:
読み物:人の流れを再構築する、小さな実践について|藤岡聡子
人の流れはどのようにして新しく、懐かしく再構築できるのだろうか?その大きな問いに対して、小さな実践を綴っているマガジンもあります(本音たっぷりで書いています。)