お月さんの影法師
とうに友の背中は見えず
昼間から熱い風呂に浸かる
流れ出た汗には苦も忍もない
体温よりも熱辛く
私の日常に落ちている情よりも煮える
ねるい言葉を音無き声で吐き潰し
提灯の様に薄ぼんやりと
ただただうどんを啜りこむ
「気がつきゃ お月さんの影法師」
私の今日の一言目
もう寝逃げの刻ってか
私も昔は友の様に
言葉並べて
品並べ
せっせ せっせ
と
駆け回る
いつしかゼンマイ錆びついて
がった がった
と
歪みだす
聞いてくれ 父ちゃん
私はもう古いAI
電卓弾いて
数万時間
アップデートを馬鹿にした骸の解せな姿よ
AIだって
堕落したら終いだぜ
生きてる奴の芝居だぜ