昼松明
昼なのに夜更けのような顔をして
空気の流れのない部屋の抜け殻
久方振りに陽を浴びたら
泪が滲んで街が霞んだ
陽を少々いただいて帰りたかったが
歴史がそれを許さない
だから私は陽のかがり火をひとつ
胸に宿して
ぽっぽ ぽっぽと生きていく
魂が火傷しないように
ぬるいくらいの大きさで
摘んだ枝先
昼松明
できれば私は孤独ではなく
できれば私は貧相でもない
もう少しだけ笑いの中で
もう少しだけ風を感じて
寒い夜更けに暖まりにおいで
分けてあげるぞ
ぽっぽ ぽっぽ
朝には朝の顔をして血液を循環させまして
私はエンジンになるのです
私はこれから変わるのです