夜間急襲

暗く大きな国道に流れる
激しい車のライトの群れは
眼を光らせた虎のそれ

ここで生活を始めてからは
山にいた頃より体力がついた

果実やバッタを
食べる回数が減ったのは確かだったが

私はここで生きていくと決めた


星が見えなくたって
木々の擦れ合う声が鼓膜を揺らさなくたって

この硬く渇いた地面で私はなにかを見出したい

人間にはそれなりに気をつけよう
私の顔の真ん中に真っ直ぐに入る白い線をみたら
きっと襲いにくるだろうから


虎の猛攻を躱し
国道の中央分離帯にいけば
どんぐりが落ちてるはずだ

光がこない安全地帯は光を越えた先にある

これがここの醍醐味だ

さあ夜よ

ハクビシンに愛を

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