愉快な雨
愉快な雨が降る夜のこと
私は布団の奥のほう
屋根頭に当たる水滴を
心弾ませ聴いていた
眠れぬ夜の隠し月
見えぬは宵空 明星への旅
泪の代わりに踊る音
私はごろりと寝返った
走る雨音段々急ぐ
屋根頭を通り越し
私の布団に刺さってく
ばちばち ばちばち遊んでる
仰向けになり戯れた
雨粒達と話してた
心に出来た水溜り
映るは笑う言葉達
がむしゃらに話す雨粒は
各々違う話題をくれる
百合の花が綺麗だと
軒下の猫が愛くるしいと
今宵は友が沢山出来た
儚い刹那の小さな友が
行かないでおくれ
消えないでおくれ
潤う胸打つ流れ弾
びしょ濡れになった寝巻きの私
気づけば友は次の街
風に吹かれた黒い雲
激しい子供の遊び場は
一晩経たずに煙巻く
私は眠って待っている
次の愉快な雨降る夜を