マガジンのカバー画像

詩集 幻人録

316
現代詩を書いてます。
運営しているクリエイター

#エッセイ

時計ひとつに

時計ひとつに

あなたの心苦な1秒も

私が眠る1秒も

あの街の埃塗れの1秒も

私の空気清浄機の回る部屋の1秒も

同じ刻の一欠片だとおもうと

思考の平和は細穴に陥る

私の怠惰な時間と

涙に浸かるあなたの時間は

総じて同じだよって時計は言った

ぬるめの温泉に浸かった10分と

熱波師に扇がれるサウナの中の10分が

同じなんだくらいの心持ちで言い放った

時計よ
私にほいほいと言わないでおくれ

もっとみる
超当たり前ワールド

超当たり前ワールド

幼い頃は公園に遊びに行くのも、ご飯を食べるのも、行ったことのないはじめましての場所を歩くのも全ての明度が高く新鮮な心持ちだった。

いつからだろう。

それが当たり前の公園、当たり前のご飯、当たり前の場所にそれぞれ姿を変えたのは。
それは決して悪いことではなく、それだけ世界に僕が中和しているということ。慣れとはそういうもの一種である。

もしもその当たり前に対し摩擦を感じたのなら、その当たり前は恐

もっとみる