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詩集 幻人録

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#ポエム

詩/微笑の子

詩/微笑の子

感じるほどに

熱い微熱

包まれたなら

あなたの香り

水平線の向こう側

眩しい夕凪が

湖のほとりに佇む

新たな心の悲哀

くだらない秘密の片隅に

薄れない微笑みが

しがらみの中に落ちてく

まだ見ぬ子の微笑

伝えたい言葉の色が

崩れ落ちない様に

瞬きの中に閉じ籠める

嘘のない涙の丘

狼狽えないでいて

本にはならない人生の

心を聴いてほしい

暗闇の様な暖かさ

薄れな

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詩/どんよりとした世界を遮る

詩/どんよりとした世界を遮る

ダイヤモンドの様な聲

どんよりした世界に生きる

あなたの聲が暗がりを

乱反射した光の屈折

私からの贈り物

あなたの首元にダイヤモンド

それはあなたを強くする

それはあなたと共に生きると

願った私の想いの塊

強く握った手と手が今

熱く火照って繋ぎ止める

新しい輝きは

どんよりとした世界を遮る

あなたと私の光り方

きっと見つける慕情の横顔

詩/僕という名の希望

詩/僕という名の希望

悲しい朝が来るなら
君の心に矢を放つ
僕という名の希望
それが唯一の朝日なんだ

淋しい夜が来るなら
君と踊り続けよう
僕という名のビート
細かく輝く散り星の様

なんにもない部屋に
飾ってほしい花は
諦めた胸に光を灯す
決断の花弁

発色し続ける可憐な笑み
それが君の本当の聲
全てを飲み込み続けよう
君の毒も全て僕が貰うよ

詩/月とあなたと

詩/月とあなたと

微熱におかされ
苛まれる思考
絡まる愛情は
不確かに形造る

溢れ出る純愛は
軽薄なほどに殴りかかってくる
私の心はサンドバッグ
あなたの笑みが胸を打つ

「今夜の月は真っ黄っ黄」
興奮するあなたに心囚われた
「今夜の月はまん丸」
演舞するあなたの胸中に住みたいと願う

愛情の雲は月をひた隠しにした
あなたが私だけを見る様に
私は月に嫉妬した
哀れで小さな心臓さ

詩/氷の嘘

詩/氷の嘘

君のついた嘘

僕の心の刃

その矛先は

悪魔の羽根

羽ばたけない様に

僕が折る

君の本音

もう邪魔しない様に

僕のついた嘘

天使を笑わせる為の口実

嘘のない世界が幸せならば

この世は昔から幸せだ

だってみんな

嘘は嫌いでしょ

だってみんな

嘘は苦手でしょ

氷の溶けるスピードに

季節が関係する様に

本当のことを炙り出すには時差がある

でもね

暖かい心こそ

氷は

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詩/弱い星の片隅より愛を込めて

詩/弱い星の片隅より愛を込めて

この星は弱い星

君みたいな柔らかい心が

集まって出来た星

僕はこの場所に住んでいる

弱さの中で息してる

僕だって怖いから

常にバリケードを張っている

優しい愛だけを

瞳に宿して

誰かの視点で世界をのぞく

心がすぐに痛むから

君は色々考える

頭の中の思考の蔦は

いつしからか君の足元まできた

掬い上げた水の濁り色

青色のない信号機

寒い夏の思い出

それら全部が君の心に

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詩/冷たい風に

詩/冷たい風に

心が渇いていた

それは水を飲み干しても

潤いはしない

悲観な心情

あなたと話した

朝まで話した

それは私の乾きを

純に潤してくれた

黙っていても

駄目だった

あなたは私の話しが聞きたいと言った

私はあなたに愛を伝えた

宵の縁に腰掛けて

ずっと愛を語りかけた

それはもう鬱陶しいくらいに

あなたは笑った

愛はもう聞いたと笑った

他にどんな話しをしよう

冷たい風に変わ

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ブランコ

ブランコ

勢い任せに漕いだブランコ
私はみんなより高くにいる
風の生まれる瞬間を
感じとってはクスッと笑った

ここは私のコックピット
ここから宇宙に飛び立つの
何度も振り子の様に揺らいでは
どんどんと加速した

今宵の天気は快晴
風は追い風
月行きのブランコは
振れる度に満月に近づく

子供のいない
月夜の公園

ここから私は飛び立つぞ
月面着陸
アポロ100号

東京タワー

東京タワー

開けた通り

飛び込んできた東京タワー

思わすカメラのシャッターを切る

この瞬間だけは東京タワーは僕だけのもの

薄暮の空のした

人々は一瞬だけ姿を消した

だんだんと近づいていく赤い光り

その度に表情を変える東京タワー

僕はそれに恋をして

夢中になって切り取った

これで僕の部屋にも東京タワーがやってくる

そう思うと僕は欲張った

それはまるでお宝を目の前にした海賊の様

そして見

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