マガジンのカバー画像

詩集 幻人録

316
現代詩を書いてます。
運営しているクリエイター

2023年12月の記事一覧

ねずみがかじった私のハート

ねずみがかじった私のハート

ねずみがかじった私のハートは
時間をかけてゆっくりと戻っていった
あなたのお陰でじんわりと
39℃の湯船の様に

風吹く度に変わる色
今は全く違う色
変化が怖いと行きづらい
そんな時代の成せる技

私は今日も生きていて
きっと明日も生きている
なんにも色褪せないなんて
そんなの無理で忘れてく

裸足になって走った砂浜
そんな風に駆け抜けたい
ねずみがかじった私のハートは
今は丸みを帯びたい微熱のハ

もっとみる
嘘、並びに愛

嘘、並びに愛

汚染された嘘
小綺麗なふりをして

慰めの愛想笑い
純情な顔をして

本質はどこから捲ればいいものか
わからずして磨いた瞳

それでは意味を醍醐味を捨てている様なものさ

あいもかわらず鈍いアンテナ

故に愛だけがそこにはあって

ちゃんと手に取り撫でることが出来るもの

行方知らずの嘘とは声色も材質も違う

やがてふとが気づくだろう

愛だけは自分が既に持っているものだと

言葉の波を

言葉の波を

波を読む
言葉の波を

それは囲いの外からやってくる
打ち寄せる外海のメッセージ

私以外の感情を
取り止めもなく浴びてみる

思考は打ち寄せる毎に更新される
私が私でなくなっていく

しかしながらも面白い

他人の言葉は私には無い
本のページが捲られる

波を読む
言葉の波を

それは叡智に触れる
数少ない好奇である

煌めく瞳

涙を隠して
朝まで隣にいてほしい
痛みには滲みる
一滴くらいでも

穢れを隠して
宵まで笑ってよ
傷口に布を
時には優しさを

揺られ彷徨う午前2時
愛の詩が壊れて暗いのに
新品のアイディアが
再熱させてくれる

冷たい雨を浴びて広がる
私の奥深くに眠る
美空を掲げて飛び出したい
今、命の呼吸の中で
出逢えたのは煌めく瞳

優しい言葉

優しい言葉

優しい言葉
頭を撫でてくるの
子供の様な
瞳でこっちをみてる
心の隙間に
たくさんの風景画
集めたら
旅に出よう

淋しい時は
当たり前かの様に
唄を歌うの
少しうなだれた唄
沈んだ朝を
蹴飛ばしたなら
夜にハイキック
届く様に

愛が霞んで
泣いた
土曜の午後
捕まった蜘蛛の糸だね

声が絡んで
夢が語れないなら
僕が他に
夢を見せるから

戯けて魅せて
笑った顔の
シワに涙滲んだ

水晶

水晶

なんにもいらないよ
置いていこう
この部屋にあるもの全て

私はひとりで行こう
どこまでも
この道が続くまでどうか

地平線の向こうに
見えた誰かの笑顔
手を繋いでも
あなたは
泣いたりしないでしょうか

愛がほんとにあるとするのなら
なぜに私の心は凍って
掴めない私自身も落としたら
割れてしまうの水晶の様に

いずれは朽ち果てるから
私は泣いてなんかいられない

なんにもいらないよ
捨ててしまお

もっとみる
かげおくり

かげおくり

僕の分身が消えたのは
君が居なくなったときで
満員電車ではぐれたのかな

悲しいと泣いていた僕の
隣にはだれもいなくて
魂の残像だけが揺らぐ

埃っぽい部屋の片隅で
湿った僕の片方
慰めの音楽もいらないよ

夢みがちな僕の設計図
破り捨てていまはただ途方もなく
進んでいく今日

他の人にはない愛
見つけたのにほら
雲がかった空を
見上げたときに笑うのは
君のかげおくり
白く大きく映ってく
ぼんやり

もっとみる
言葉の台風

言葉の台風

この街がストレスに感じるのは
今の僕がまっさらじゃないから

すれ違う人も信号機も
チカチカと目立って仕方がないよ

刺激が強いなかで流れるのは
弱った自分じゃ苦しいな

夜に歌ったロックの夢
最大級のバカみたいな夢
塵になっても愛していたい
僕の中の病みこんだ部分
救われる様に育ててく

終わらない 終わらない

6月の雨が僕を刺して
傘などない様に撃ち抜かれ
くだらない言葉の台風
いらない感情

もっとみる
プレゼント

プレゼント

あなたもいつか灰になって
私の元に帰るのだから
命を削る必要なんてないのです

大きな空の片隅で
小さな鳥が落ちました
飛ぶことだけが人生じゃないのです

疲弊したその心に
真っ赤な花を飾りたいの
頭をそっと撫でたら
目を瞑り夢をみなさい

巡り会えたり離れたり
抱きしめ合ったり傷めたり
どうしようもない愛の輪廻
吸い込まれていく

哀しみの中でもがいて
苦しみの中で立ち上がって
無理矢理あなたを

もっとみる
星影

星影

疲れた手が星になった
星座の様に光る
今日という日の終わりには
輝く空に染まる

何気ない帰り道は
それはとても尊くて
暖かい風が頬を
伝って春の先へ向かう

今まで幾つの夜を憶えてる?
愛してる夜は全部憶えていたい

夜空の彼方からあなたが
私を選んで産まれてきた
瞬く星影のその先から
私を見つけて降りてきた

だから私は生きていける

濡れた羽

濡れた羽

水滴を数えるように
窓ガラスをなぞる
久しぶりの雨はなぜか
心地いい静けさ

休日なのに約束も
なにもない私
丁度いい優しい雨が
包み込んでくれる

曖昧な結論のままの恋愛
鳥籠のなかの様に狭い

飛びたてば雨を裂いて
憂いを裂いて はしゃぐ様に
濡れた羽根乾いていく
輝いていく 今日が好きに

炎の鎖

炎の鎖

あの頃掲げた心臓は
今どこで動いてる?
美術館に飾られてるようじゃ
頭にくるのかもね

心の奥の毛のない部分
あなたが撫でてくる
落ち着いて猫になるようじゃ
後悔するのかもね

まだ見えない未来に
怯えて嘘をついた
枯らしてしまった
花弁の悲哀

命掛けなら許すけど
小手先だけの熱情ならさようなら
擦りむいた膝の赤い血が
あなたのかがり火になるから

轍のない雪化粧には
無垢が震えてる
幸福感の詰

もっとみる
恋するデッサン

恋するデッサン

宙ぶらりんな恋をしたのは
真っ赤な林檎がなる様と
同じ様で儚くも美味しそう
そんな景色のあるこの星

気持ちが焦れば焦るほど
熟れすぎてポトリと落ちるから
腫れ物に触るかの様に
ゆっくりとそれを撫でた

悪魔の裏切り者達が
私に近づいてこっそりと耳打ち
林檎を食べてしまえばいいと
この手でズシンと掴み取れと

私はあなたと繋いだ愛で
大きな木に雨を落としていく
沢山の実がなった木の下で
恋の絵をデ

もっとみる
夜に架かる虹

夜に架かる虹

夜に架かる虹
眩くて目を瞑る
七色が昼間とは別色で出来ている
星の隙間を縫う様に華麗に架かる虹

夜に怯える猿の子
大丈夫だよと架かる虹
輝いた目取り戻した猿の子
鈍色に光る

疲れた旅人は仰向けで見つめる
月からの橋掛け
月の民がそこから夜空へと歩き出す
旅人の活力がまた溢れ出す

夜に架かる虹
眩しくて目を覚ます
私達は夜にどんどん吸い込まれる
またあの頃の様に
子供の頃観た彗星の様に