シェア
渡辺 杜太朗
2023年1月29日 19:41
悲しみは時として詩になり他人の心を癒すだろうそれまで耐えたあなたの心臓は私の心臓よりもとても毛深いだから私は思うのだいい加減になんて生きてはいられない時に俯いた時にだけいい加減に踊ればいいのだ稲穂が揺れる風が吹く夕暮れ終わる帰り道刻の速さに負けないように徒然歩けばいいのであると自然に教わるそれが業であるそんな生き方に寄り添いたいものだ語り癖の多い私は煙たがら
2023年1月26日 23:12
悲しみのリズム心中鳴らす朝なのに鈍い音はどんどんと鼓動を揺らす哀愁のリズム心中鳴らす夜なら嘘と笑ってほしいが本当の音なの切ないねこのリズムも芸術と問いただされたら頷こうそしたらバレない私の心臓は動いてる私の身体は生きている喜びのリズム心中鳴らす昼なら暖まる声を出そう心音揺らす風が吹く
2023年1月19日 13:28
沼底を歩く魚はひとりゆっくりと刻の調べを感じ瞑ったままの目で進路を行く怖いものなんてみあたらないなぜなら視界を遮っているから見えなければ怖くない魚は歩くひとりで歩くうちなる恐怖はなにもない魚は知らない恐怖を知らない魚は歩く沼地の底を
2023年1月15日 16:24
箪笥に悲哀開けたら泪古い引き出しなかなか開かん取手が錆びて朽ち果てたのか木材軋んで開かぬのか開けても埃で咽せるだけ中身はなんでかすっからかん哀しみのしまい処はなぜだか勝手に決まってるいつも心と脳の間そこの箪笥にしまってるいつしか埃と煙になるまで
2023年1月14日 07:43
万象なりとも幾重に連なる場所に生まれなんにも持ってはいないなどとは戯言になってしまう世で背負った分だけ脚腰を鍛えるばかりなもんで重くて重くて嫌気がさしてひとつずつ捨てていってしまえや最後なんて何が何だかわからないもんで遠い街の夜景より近くの灯籠をひとつひとつ愛でりゃあいい宝が枯葉一枚なったらなったでどんどこ枯葉は幾重に積もるで千枚枯葉の音がするさくさく さくさく
2023年1月12日 14:12
昼なのに夜更けのような顔をして空気の流れのない部屋の抜け殻久方振りに陽を浴びたら泪が滲んで街が霞んだ陽を少々いただいて帰りたかったが歴史がそれを許さないだから私は陽のかがり火をひとつ胸に宿してぽっぽ ぽっぽと生きていく魂が火傷しないようにぬるいくらいの大きさで摘んだ枝先昼松明できれば私は孤独ではなくできれば私は貧相でもないもう少しだけ笑いの中でもう少しだけ風を
2023年1月10日 15:00
消えた彗星朧げな思考頼もしい星ロボットの月水の惑星暗い空間明るいのはただ水の惑星欲しい願いはずっとある消えた願いもずっとあるどっちも好きでどちらも無限に忘れない