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渡辺 杜太朗
2022年7月24日 19:29
白檀の香を焚く煙が顔に当たって私は目を瞑る視界が暗い分白檀の焦げた匂いを強く感じる机に置いた腕と腕に置いた頬が力無く沈んでいく開いた目が捉えた火の高さが低くなっていることからいかに私が長い時のなか机に沈んでいたかがわかる音も無い部屋の中には煙が創る形無いアートが私の前に展示される鼻腔も穏やかになるこのアートは私の脳のカチカチとした部分を揉んでは撫でて暖める
2022年7月22日 17:22
旧江戸川に聳える工業船の入り口までは金具の寄せ集めの橋を渡ってカンカンと歩く他ないその音を頭に浮かべ月の落ちた川辺をひたひたと歩く遠くに望む電波塔が紫色に光り私は少し安堵したなぜなら工業船の迫力に丸呑みされかけていたからである船員達が何人も私の頭の中で橋を渡るカンカン カンカン カンカン カンカン少し先の出航に向かい進める歩は粗々しく強固な音だのんびりと月夜を歩
2022年7月20日 22:35
虫になった名前も知らない虫になった黒くて小さな虫になった飛んでみたあの子の部屋の窓が開く虫の私は飛んでいったあの子の部屋に入って行った幸せでした虫になった名前も知らない虫になったあいもかわらず過ごしていますなにも変わらず感じて噛み締め生きています生きています虫になった名前も知らない黒くて小さな羽のある虫生きていきま
2022年7月17日 18:32
川の曲がりの内側は水流なきこと溜まりの様何処へも行けぬ流線形石が貯まって気重たい流れる同胞見送って今日も休暇の真ん中で雲の異形を佇まう魚が来たからいただいた生命力の端っこを米粒程の希の光を稚魚の詩聴き涙する涙流れず溜まるがここは淡水微睡む道の途中
2022年7月14日 11:26
自由にならなくちゃと首を絞め与えられた運命を忘れる言葉が降る夜ならしたためて私が今どこに居るかを知る最果ては見えないのに勝手に想像するから頭バカになる決められた声をなぞるよに歌うそんなことはしてはいけないと愛が呼ぶからと行ってみたそこには深い憎もあった酸っぱい果実を噛み締めたわざわざ眉間のシワを見る鏡は嘘つき騙されたやるせない顔をして実は笑ってる夢はいつか終わると
2022年7月10日 07:52
暗い部屋とびきりに暗い部屋暗いが故に深淵に憧れ暗いが故に笑いが止まらない暗いが正義と闇を欲す明るい部屋とびきりに明るい部屋明るいが故に暗がりに憧れ明るいが故に笑いも出ない明るいが悪と闇を欲す少しだけ暗い部屋少しだけ明るい部屋同じ部屋でも違う部屋あなたの部屋はどんな部屋私の部屋はピアノの鍵盤は見えぬけど壁掛けの絵はぼんやり見える部屋を入れる部屋に灯った何の意味
2022年7月6日 17:11
数えきれぬ喜びが澄み渡る鈴音が浴びるほどの笑みを私に与える心に振ったにわか雨眼光開くと降ってはおらず頭中凍える氷山は踊り明かすと溶けていく魂は常に笑い淀んでいくのは身体だけここは知らずの楽園で目新しいの行列だ重た過ぎる哀しみは鈍苦に響く鐘の音は浴びるほどのいろんな笑みで私が私を取り戻すそんな旅路の途中で記す
2022年7月4日 17:58
子の騒ぐ遊声言揺れのブランコ芝生は柔らかく黄色い風は吹く頭の中はなにもなくただ動く秒針地は暖かく遠くは子落ちる滑り台不思議なことがらのない世界はかりそめの遊園地ここは不思議が沢山漏れ出す希望の広場それは私に穏やかな時をもたらし小さなエネルギーの集合体が風回る私もそれのひとつの筈で私も誰かの黄色い風で