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渡辺 杜太朗
2022年1月30日 22:20
それは空に架かる人の思いの種念体色は動いて喜怒哀楽そこに生えるは天の樹木果実は甘いか酸っぱいか人の思いに他ならない枯れることはないのだか人が減ったら天の地は脆くなる根の栄養素も乏しくなる今ここで私が見上げる群青の彼方にうっすら見える天樹木はあと行く年で衰退してしまうのか我が子が産まれ泣いた日に甘い果実を食べさせてあげたいが故あざとくとも徳を積むのが先決だろう
2022年1月29日 22:31
その髪を綺麗に結ったのは僕に逢うからなのだろうか薄紅のワンピースを選んだのは僕と出掛けるからなのだろうかだとしたら僕は小汚い裾のズボンによれた緑のチェックシャツなんかごめん夜が来る前ののっぺりとした夕暮れに君の笑みは揺るぎがない甘くなるほど苦いのはそれは夕暮れチョコレート
2022年1月26日 22:55
右に曲がれば団子屋が左に曲がれば風が吹くそのまま進めば氷の世界後ろにひいたら真っ黒けっけ腹を満たすか急がば回れ追風 向風命の修行このまま行けば凍えるだけかそれとも霜焼けまっかっかどうせ戻れはしない道ぐるぐるぐるぐる行けずとも曲がりましょう曲がりましょう右に曲がれば茶が飲める迷いごとなど後ろに棄てて
2022年1月20日 23:55
羽根をたたんで目を瞑るミミズクさんは昼行灯答えを知らないミミズクさんはなんでか頼りにされているリスさんが言ういらない涙腺は塞いだほうがいい?ミミズクさんは目を瞑ったまま首を横に振っていたリスさんは晴顔ミミズクさんは漠然とした想いを乗せて首を横に振っただけそれなのにリスさんの背筋はぽんと伸びていたミミズクさんは申し訳く思うも皆が頷くのでこれはこれでいい
2022年1月19日 21:50
錆びた天井を眺める夜は私は好まない床に伏せるだけの夜は私は疎ましい能動的に泳ぐ夜流動的に駆ける夜果てない宇宙に吸い込まれる夜は胸が苦しくて苦しくて鼻歌の舞う夜に嘘の様に神秘的な夜に一生懸命働く為の準備だけが夜じゃない嫌よ嫌よミイラになって床に伏せるだけの夜はああ 月が丸い
2022年1月18日 00:39
まだあどけない朝両手で掬った陽の命溢さぬ様に口に運ぶ私の胃袋に木漏れ日が差す血管を巡る陽の光は私の至らぬ心や汚い精神に無垢に浸透してくるだから私はいまがいちばんあどけない生活に下地を塗った朝支度はこれからゆらゆらとした私の魂は耳から抜けそうになっていたが暖かさで思い留まった日常の彩とはずっと隣で座っていたんだ
2022年1月16日 14:26
何気ない笑みが走る言葉を越え一輌の列車に乗って私のもとにやってきた私の前で開く扉どうやら私はあなたのステーション笑みが下車してこんにちはそれはぽぽっとひかる蛍のお尻私は笑みと一緒に改札を出た家までの道すがら笑みに釣られて私も笑みるマーケットでトマトとチーズを買った笑みが嬉しそうに台所の私を眺める私はトマトとチーズのパスタを作ったフォークがくるくる回ると笑み
2022年1月15日 09:17
夜空に光るプロキオンとの交流しかしそれは動いてる闇の世界を縦横無尽私の目では追いきれないサイズは月のクレーター夜空を転がり乱反射私の首は痛くなるそのまま夜空に倒れ込む私の目では追いきれない夜空に光るオリオンとの交流どこへ行くのなにしに来たのピュっとシュービュールルル夜間飛行にお気をつけ夜空の魔物に宜しくね
2022年1月14日 22:24
あなたは甘くてシュワっと消える私が握ったあなたの掌はほろほろと絡みが外れていくどんなにきつく縛っても心臓だけは縛れないだからあなたは消えていく私の頬は赤らんでポッとあなたのまろみに落ちる次第にどんどん寂しくなってふと気がつけば喉元通る微炭酸そのあとはただ消えるだけ愛していたいの私が私じゃないうちに濃厚なのに爽快に走る爽快なのにシュワっと痛いミルクソ
2022年1月11日 22:58
手を取り合った雨と風仲良くなった雪と夜嫌いになった僕ときみ成熟したいちごと飴心地よい湯船に浮かんだ小島から見る煙った月たじろぐ星が降ってくるたじろぐ惑星落ちてくる手を取り合った雨と風仲良くなった雪と夜今宵の涙はお湯で流して嫌いになった僕ときみ好みの香りと愛と慈弾けてそっと夢のなか嫌いになれない僕ときみ
2022年1月9日 11:27
味の染みた田園は煮込んで茶色くなっている隣の段々茶畑も醤油で味付けした様だ私は薄情な冷風に煽られしゃがみ込んだ緑の世界が観てみたい青茂った心地のよい美風時期を跨いで逢いましょうその時はこの煮込み色の世界がどれだけ大事なことだったか痛感するのであろう私は雀に挨拶をしてここを去った美しきは忍耐の先に待っているのであろう
2022年1月6日 22:08
雪原に衣替えした街の灯りは僕の姿を照らせないなんにもないが溢れてるここにいるよここにいるよ前爪の溝から尾っぽの先までまっしろけっけにゃっしろけっけ帰る道筋わからない僕は迷子の子猫でござるにゃーっと鳴いても毛並みが混じる白い世界と融合思念にゃんてことないさにゃんてことないよ僕は大体の道すがらをぽこぽこと歩いて家路を辿る心配しないでパパとママ
2022年1月5日 16:37
北からの風は痛く身が剥がれていく杉の葉は変わらずの香で私を陽から隠す余計なものを背負い込んだ背は曲がり冷たい風で歩幅が縮む杉の波が押し寄せては力で押し返す男にならんと人生の合間にさす日射しは杉並木の様ポツリポツリとまばらに照らすそこまで行ったらひと休み陽を浴びここで腰下ろし歩けど走れど同じこと同じ場所で腰を下ろして休んでくれればそれでいいこれから
2022年1月3日 22:41
私が落とした丸い皿藍色焼きの丸い皿割れては四つになった皿鋭利な角持つ気張った皿もう料理が乗らない皿は皿というのは可笑しいか無理矢理乗せてもいいけれど鋭利な角で血が出ちゃう袋に捨てた丸い皿涙流した丸い皿私のせいで泣いた皿今まで色々乗せた皿誕生日ケーキもクリスマスチキンもお餅だって乗せた皿皿の涙で私が泣いたら私の涙で皿も泣いた感謝の念と憂いが同居した瞬