シェア
渡辺 杜太朗
2021年9月28日 15:07
眼鏡についた雨粒で私の心は読まれない天使がハンカチを持って私の眼鏡を拭かないようにわざわざ新宿の雑踏のなかあなたと淋しいお話しをここは皆が迷う場所人間だって天使だってあなたは屋根のある場所で濡れた私をどう見るのきっと悲観に陶酔しているとでも感じているのでしょう眼鏡に付いた雨粒のせいであなたの心が読みきれない私は靄と雨粒の隙間から駅の改札口に向かうあなた
2021年9月26日 21:33
ダイソンにまたがった魔女は夜空を優雅に駆ける乗り心地は快適でスピード感もいい東京タワーを斜め上から見下ろした後に赤坂の夜景を目に焼きつけた高級ホテルの上の方あるラウンジの窓にはゆっくりとした時間が流れている魔女はそれに感化されスピードを落としたBluetoothイヤフォンから流れるユーミン新しい東京からエモーショナルを引き出している夜空を駆ける魔女が
2021年9月25日 02:51
もしかしたら僕にはトロンボーンを吹く才能があってでもトロンボーンを吹く機会がないもんだから才能に気づかずに譜面は風に飛ばされるもしかしたら僕には君の心を優しく撫でる才能があってでも他者との繋がりを拒むもんだから君と才能が距離をとったもしかしたら僕には宇宙飛行士になれる才能があってでも夢物語って思っているから才能はブラックホールに吸い込まれたあの時友達を泣かせち
2021年9月21日 19:51
花瓶に骨を生けました綺麗な花弁が咲いております花瓶に骨を生けました真っ赤っ赤っ赤 燃えるようです花瓶に水を注しましたじゅうじゅうじゅわっと鎮火します花瓶の花は消えました燃ゆる花弁が炭になりますこれでゆっくりおやすみなさい花瓶に花を生けましたあなたの様な大きなダリアを不安が焦げる匂いとともに
2021年9月18日 12:35
僕は『三』みんなからは「さん」とか「three」とか呼ばれてる僕の名を読んで阿呆になる芸で有名な三です。あの時はなんだか複雑な気持ちでした。早起きは三文の徳とか言われた時は嬉しかったななんか僕が良い扱いを受けている様でねでも「たったの三文なら寝てるわ」という意見は僕からしたら辛辣だった三度目の正直って時には僕も力を入れて全力だすね全力だすけど二度あることは三度あるって
2021年9月16日 01:25
拗らせた時代にも小鳥は空を駆け抜ける縁とゆかりの風呂敷で空ごと小鳥を包んでる小鳥もきっと私達と同刻に生きているもんで違いなんてのはただのひとつも無いもんで小鳥も私もシンプル故の穢れなき風と謳うひとつの元素とひとつのこころゆけゆけ荒野もバッサバッサゆけゆけ都会もくーるくる拗らせたのは時代じゃなくて頭を捻ったぐるぐる人間ほどいてほどいてすーるす
2021年9月10日 18:17
葉も霧に隠れる星が避難した夜降る雨は屋根を濡らしコンクリートは黒くなる風はそんなに強くないから時折走る自動車の顔もそこまでしかめっ面ではない私はアパートのベランダでなにもない時間を過ごす残暑を疎む季初めに丁度いい雨さん翌日の朝にはどっかに行くっちゃね今のうちにここいら一帯通らしてなそう言ってきたのは頭の垂れる意を込もった優しい雨さん雨さんはひたすらに私の手を
2021年9月7日 11:11
彼方には薄浅葱の空カステラ色の蝶の群れが一斉に羽音をたて私と空の真ん中のビル間を横切る其れ等は青柳色の蝶が住む木に押し掛けるように群衆で集った青柳色の蝶の群れは其れをうけると羽根いそいそと一斉に飛び立ったてはビルの影裏に消えていった私はひとつ また夏を見失ったきっとこれから中禅寺湖への峰いろはではポスト色の蝶の群れがばさばさと青柳色の蝶が眠り落ちそうな頃合い
2021年9月6日 12:13
カビの生えた食パンにはなんの罪名も病名もないただ台所の棚のなかで失念されていただけ悪いのは私私が食パンを放置したからカビが生えて食べれなくなった贖罪に私がこのカビの生えた食パンを食べてもお腹を痛める程度だろう食パンは命を落としたのに私は数日で寛解するこれはとても悲傷的な人間の自覚のない行いのひとつにすぎない食パンに着いた汚点を直視できないのは重ねて心の
2021年9月1日 17:07
あの子は足がとてもはやいその子はいつも授業で褒められる給食を残さず食べる子も風邪をひかない子もいる僕は足も遅いし授業で手は挙げられないきのこだって食べられないしすぐに鼻水がでる先生は僕のこと嫌いかなみんなみたいになれないなだから学校に傘をいっぱい持ってきた何日にもわけて10本くらいお父さんたちの傘は無くなっちゃったけどこれでみんなと一緒になれるかな