見出し画像

キューバで感じたモノや情報の心地よいバランス

日本では欲しいものは何でも手に入りやすい環境にあるなと思います。スーパーに行けば小腹を満たすものから料理の材料まで一通り買えますし、大きいところなら生活用品まで一式揃えられます。コンビニは24時間空いていて食べ物に困ることはないし、急に必要になったものはAmazonで注文すれば早いものは当日中に届けてもらえることも。SNSやYoutubeにも常にたくさんのコンテンツが溢れていて、「気づいたらこんな時間か」と感じるくらいインターネット上で時間を消費してしまうこともあります。

普段当たり前に感じている生活ですが、キューバへ行った際にその当たり前が覆された感覚がありました。本記事ではキューバでの滞在中に感じたことについて綴ってみます。


食べ物のこと

手軽に食べ物が手に入りにくい

キューバはいわゆるコンビニエンスストアやスーパーマーケットが少なく、お菓子や飲み物などを思いついた時にちょこっと買ったり、レストラン以外で食事をしたりすることに少々難儀しました。

日中、お土産屋さんなど露店はたくさん出ているのですが
食べ物を買う場所を見つけるのが意外と難しい。

ある時遠出のため朝早くに出なければならなかったのですが、早すぎたのでカサ(宿泊先のゲストハウス)で朝食を食べられないことがありました。外で何か買おうと思ってもお店がどこもやっておらず、途方にくれたものです。このときは道中でフルーツの移動販売たまたま見つけられたのでバナナを買ってなんとか午後までの空腹を紛らわせました。

野菜やフルーツなどの移動販売や市場はちょこちょこ見られました。

また乗り合いタクシーで首都ハバナから別の都市へ移動したときのこと。これまた朝から午後にかけての移動だったのですが、休憩場所のガソリンスタンドの売店にほとんど商品がなくてびっくりしました。お腹が空いたので何かスナック菓子でも買おうかと思ったのですが、このときは結局水だけしか買えませんでした…。

店内写真を取り忘れてしまいましたが、左に映る建物が売店です。
水と小麦粉?のような食料品しか売っていませんでした。

「スーパーマーケット」にものが少ない

日本にいると食材はスーパーで買うことが基本だと思いますが、キューバのスーパーは閑散としていてものがあまりありませんでした。

ハバナ市内のスーパー。閑散とした雰囲気でした。

日本であればパスタ1つとっても色々なメーカー、ブランドの商品が所狭しと並べられていると思いますが、キューバにはそれぞれの食品カテゴリにおいて商品の種類が1つか2つくらいしかなく、とてもシンプルな印象を受けました。「ああ、社会主義国に来たんだなあ」と実感したのがこのスーパーマーケットでした。

情報のこと

インターネットが使えない場所が多い

キューバでは国営のEtecsaという会社が情報通信業を営んでいるのですが、インターネット環境は十分とは言えずインターネットをどこでもいつでもスイスイ使える…という訳ではありませんでした。

またキューバでは旅行者用のSimカードというものがなく、日本国内のWifiレンタルサービスもありません。Etecsa発行のWifiカードを店舗で購入し、カードに記載のユーザー名とパスワードを入力することでWifiを利用することができるようになっています。

首都ハバナのEtecsa店舗で購入したWifiカード。
1人3枚までというルールが一応あるらしいのですが、頼んだら5枚購入させてもらえました。

しかしこのWifiカードの有効時間は1枚1時間。しかものこETECSA Wifiに繋げられるところがかなり限定されていて、ハバナ市内ではセルバンテス公園しか安定した通信環境のある場所が見つけられませんでした。

なのでキューバ滞在中は実質ほぼスマホを使わず行動しており、地図も見ず心の思うがまま、散策を楽しみました。これまたキューバらしい旅のスタイルなのかもしれません。(この旅の後半でもスマホのない環境を楽しめた訳ですが…。)

広告・宣伝がすごく控えめ

キューバの街はとにかく情報が少なく、「シンプル」だなと感じます。いわゆる広告・宣伝のような情報が少ないからかなと思います。目印になるものがあまりないため最初は少し歩きにくさを感じたのですが、だんだんとこのシンプルさに心地よさを感じるようになってきました。

ハバナ市内にあるローカルなイタリアンレストラン

それでもキューバの民主化が進んでからはレストランやホテルなど観光客向けにわかりやすいよう看板などが出始めているということです。また観光地化してきているトリニダーなどでは飲食店の客引きなどもよく行われていました。といっても他の国に比べたらとても簡素・ささやかななものが多いのですが。

レストランやホテルの看板もすごく控えめ。

キューバを離れてみて

モノと情報の量に圧倒される

キューバからチリへ向かう際、メキシコシティ空港を経由したのですが、空港の規模もさることながらモノの多さに圧倒された記憶があります。1週間と少しでこれだけギャップを感じるのですから、結構な違いがあったのだなと思います。

その後他の南米の国々や日本でもスーパーマーケットへ行った際にモノと情報の多さを実感しています。下の写真はチリで撮ったものですが、「ヨーグルトだけでもこれだけのブランド、メーカーの商品が並んでいるのか…」といつもと違う視点で商品を見ている自分に気づきました。

チリのスーパーマーケットにて。
種類がたくさんあるのでかなり迷います。

またいつでもどこでもインターネットを使えて必要な情報を手にしたり、気になることを調べられる環境にもとてもありがたさを感じたものです。

心地よいモノや情報の「量」について考える

帰国して普段の生活にいかにモノに溢れた生活をしているのかと改めて実感しましたし、帰国して改めて日本では情報がたくさんあ溢れているなと感じました。

キューバでの生活はときに心地よさも感じつつ、反面気軽に欲しい物(特に食べ物)を手に入れられない生活にはストレスを感じることもありました。逆にキューバを出てからしばらくは混みゴミした場所や都心部を歩くのに少し疲労感を感じたものです。

モノや情報がたくさんあれば良いというわけではなくて、心地よさを感じる物質量やバランスというものがあるのだろうなと思うようになりました。

さいごに

キューバでは普段の生活と少し違って、ミニマルに生きることを少しだけですが経験できたような気がします。

お金があれば何でも不自由なく買える社会に生きてはいますが、目の前にあるたくさんのモノや情報をどう取捨選択して何を選び取っていくか、が「心地よさ」を保つのに大切なのだろうなと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

トリニダーの一風景。地元の方たちが道脇でボードゲームを楽しんでいました。

いいなと思ったら応援しよう!