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Moulin Rouge! The Musical を見てきたよ!!

We are Bohemians!!

すごかった!!ひたすらすごかったです!!
全てが夢のようで、本当にキャバレーの中で起こった小さな、でも壮大で華やかな一人の女性の物語なんだと思いました。
すでに2001年公開の原作映画は観ていたので、あの豪華絢爛なレビューがどうやって再現されるのか、ジュークボックス型ミュージカル映画だった原作の、どの曲がどうやって使われるのか、どんな新曲が使われるのか楽しみに客席に座りました。

帝劇のポスターはこんな感じです。私は甲斐さんと望海さんペアで見ました。この帝劇のポスター、見るたびにワクワクしますね。
もうすぐ建て替えになっちゃうんですね……劇場内ではクロージング限定グッズも沢山販売されていました。

装飾

劇場がもうこんな感じです!赤一色!本当にキャバレーみたいです!

会場内にはムーランルージュのシンボル赤い風車と

ヒロイン、サティーンの楽屋がその中にあるとされる青いゾウさんがいます。

演出

開演10分前からプレショーが始まり、実際にダンサーさんがキャバレーの客と踊り子たちを演じます。
ただ舞台を見る場所ではない、あくまでも欲望に満ちた「夢」の世界がムーランルージュなのだと伝わります。
プレショーで少しずつ出てくる演者さんがみんな格好良いんだ……退廃的なんだけれど、だからこそ真っ赤なキャバレーに集い生きているひとの息遣いが聞こえるようでした。

プレショーが終わり、四人の踊り子の影が現れ幕が上がるともうここはキャバレー、ムーランルージュ!
ひたすら舞台上では華やかなショーが繰り広げられます。
プレショーから見ていた踊り子さんがあそこにいる!!と気がつくのも楽しいです!
オープニングナンバー、Welcome to the Moulin Rouge! が流れると客席からも歓声が。ミュージカルである以上にキャバレーのショーなのだと思いました。

ブロードウェイ版のオープニングが↓の動画の開始50秒くらいから見られます。本当に一瞬で「初めてムーランルージュにきた客」になりました

日本語訳が素晴らしくて!本当にこの難しいジュークボックスミュージカルの音に一つ一つ日本語の言葉がはまるんですよ!!ユーミンはじめトップアーティストたちが訳しているだけあります。
四人のメインダンサーのうち、ベビードールさんというドラァグのパフォーマーさんもいて良かったな。お美しかった。

音楽

原作映画を観ていたので、その時に使われた曲がそのままくるのかな?と思っていましたが、なんとレディ・ガガやケイティ・ペリーやリアーナの曲も使われていると聞き楽しみに聴いていました。
ケイティのFirework の "Like the Fourth of July"を「祝祭のように」と訳したの素晴らしかったです。あの瞬間望海さんの目に光が差したのも素敵でした。
そして2幕のBad romance !!!このためにある曲ではないかと思うくらいです。
映画でも「春を売る女に恋をするな」とクリスチャンが忠告されるシーンがあるんですが、その意味がもっと包括的な「破滅する愛だってそこらじゅうにある」という形に落ち着いていた気がします。

原作映画ではビートルズの「愛こそは全て」が印象的で、それが歌われないことが事前にわかっていたことがちょっと寂しかったです。ですがちゃんと台詞だけでもクリスチャンが「All you need is loveだよ!」って言ってくれてそこが良かったなぁ〜!!!そこ重要なポイントだもんな〜〜!と思って嬉しくなりました。

Your songを「気にしないで 気にしないで ただ受けとめて なんて素晴らしい 君のいる世界」と訳した松任谷さんはさすがです。

キャストさんたち

今回のキャストさんたちです。
望海サティーン
甲斐クリスチャン
橋本ジドラー
上川ロートレック
Kデューク
中河内サンティアゴ
加賀ニニ
の組み合わせでした。
本当に皆さま素晴らしかったです!!

Kデューク

公爵も公爵なりにサティーンに魅了され恋をした人だったのです。ただ、共和国となったフランスで貴族としての誇りを持ちつつ生き抜くためにも「お金」が最も大切だと思うようになった。
だからお金でサティーンに上流階級の住まいと振る舞いを与えることが愛だと思ったし、それいがの愛情表現ができなかったのでしょう。
そして歌が上手い〜!!さすがKさん!!
権力、権威、お金、支配の形でしか感情の表現ができない悲しみが伝わってきます。おそらくプリンシパルキャストの中で1番「悲しみ」をたたえていなければならないのがデューク役だと思うのですが、Kさんのお芝居は本当は悲しくて空っぽで空虚である公爵を演じ切っていました。

上川ロートレック

上川ロートレックが大好きです!!
サティーンを最も長く純粋に恋したのはロートレックだったと思います。13歳で身売りを強要されたサティーンの過去を語る時も、初めてサティーンに会った時から恋をしていたと語る時も、クリスチャンに「想いを伝えてこい!」と話す時も、彼の目がとても優しいんです。
サティーンはクリスチャンに恋をしたけれど、多分ロートレックのことも盟友と思っていたんじゃないかな。
ロートレックがショーの初日の前に「君を永遠にする」と話し、サティーンが「私の天才!」と答えるシーンが好きです。ロートレックとサティーンの間にも揺るがない絆があったよ。
上川さんのお芝居を見るのは劇団四季退団後初めてでした。サティーンとクリスチャンのロマンスを悲しくも優しく見守るロートレックも本当に好きでした。一番感情移入できる登場人物でした。

橋本ジドラー
本当にキャバレーの支配人のようでした!!彼が出てきた瞬間に帝国劇場の観客はキャバレーの逆に変わります。
サティーンが「ムーラン・ルージュは家族」と呼べたのはジドラーのお陰だと思います。
当然ジドラーはサティーンをビジネスの道具としても扱うのですが、本当に娘のように、大切なダイヤモンドとして接するんです。
サティーンが結核にかかっていると知った時の「病院に行くんだ」も、それでもなお初日の舞台に立つと決めたサティーンへの「サティーン、ルージュ、もう少し」も、本当にサティーンを長い間大切に思っていないと出てこない言葉だと思います。
サティーンの去ったキャバレーで彼はずっとサティーンを忘れないためのショーを興行し続けるのでしょう。サティーンの愛したホームを守るために。

甲斐クリスチャン
理想のクリスチャンでした!!
原作映画のクリスチャンよりも更に「ダイヤモンドに恋してしまったアメリカの芸術家」っぽさが出ていました。
sparkling diamondであるサティーンに恋をして、自分の鬱屈としていた世界を変える。オハイオから出てきて自分を変えたい、新しい場所に行きたいと思っていた時に、永遠のダイヤモンドサティーンに出会い魅了される。あっという間に魅了されて恋に落ちていく若者としてのお芝居が最高でした。
彼の純粋な心、「気にしないで、気にしないで、ただ受け止めて。なんて素晴らしい君のいる世界」とサティーンに言い続ける言葉の一つ一つの誠実さよ。言葉にして「恋人にしてくれ!」とサティーンが言ってもらったのって、あれが最初で最後だったのだろうな。
だからこそサティーンは彼に惹かれ、彼の中で息を引き取ることを幸せに思って最後のショーを終えるのだと思います。
「ムーランルージュ」自体がクリスチャンが曲を書き、サティーンを永遠のダイヤモンドにし続けるために上演している物語だと思います。

望海サティーン
私は今までもこれからもずっと、望海風斗さんの歌声で泣くのだと思います。
ブランコに乗って登場し、「ダイヤは永遠」と歌い始めた「ダ」の声でもう泣きました。
華やかなショーで歌い続ける彼女の笑顔は眩いのですが、どこか空虚で、あくまでもビジネスとしての笑顔が見られます。
それがクリスチャンと出会って本物の笑顔になっていくんです。親に身売りを強要され、自分の実力でショースターに這い上がった彼女が、病に侵されながらもダイヤモンドの輝きを手にした。ムーランルージュという家族も。
でもその炎の如く赤いキャバレーが彼女を燃やし尽くす直前にやっと出会えた、自分のためにお金ではなく言葉を尽くしてくれる存在がクリスチャンだったのです。
年上のダイヤモンド、サティーンと、それに焦がれる年下のシンガーソングライター、クリスチャン。望海さんと甲斐さんのペアがそれを体現していて良かったです。
病に侵され、作り物の笑顔で生きなければならなかったサティーンの最期の初日のショーが一番生き生きとした表情をしているんです。そこが本当に泣けました。
全ての望海さんの歌が素晴らしかったです。「もうクリスチャンを傷つけたくなかった」と子どものように泣いて、「私を物語の中で永遠にして」と死んでいく。ダイヤモンドは傷つかないけれども燃やせば炭になる。だからサティーンは物語の中では永遠のダイヤであり続けるのだ。
そして望海風斗さんは死ぬ芝居が上手いなぁ〜!!と改めて。生老病死をあの一つのお芝居の中で全部表現できるの、さすが望海風斗さんですよ。
この人の歌とお芝居にこれからもずっと感動し続けるのだと思います。

ボヘミアンズ貸切公演専用のサイネージでした!

カーテンコール

ボヘミアンズ貸切公演だった7月27日ソワレ、フィナーレの絢爛なショーの後のカーテンコールも本当に楽しかったです!本当にキャバレーのショーのようでした!

まずは甲斐さんが「普段はクリスチャンとサティーンしか喋れないんですが、今日はあと二人喋れます。ではデュークから」と前振り。そしてデューク役のKさんの「どうも、デュークです!」の弾けんばかりの笑顔が最高でした。
1幕のゾウの部屋にて紙吹雪を山ほどかけられていたデュークが「今日すごいな……」とアドリブを入れていたこともあり、コミカルなKさんが見られたら良いなぁ〜と思っていたので本当にありがたいカーテンコールでした。
「なんとボヘミアンズ貸切公演なのに貴族から喋ります!喋る順番がね、貼ってあるんですよ。エレベーターに。もうねぇ〜嘘でしょ!?と思いましたよ。なんでデュークから先なんですかボヘミアンの日でしょ今日」
「僕、実はムーラン・ルージュがミュージカルは15〜16年ぶりなんですよ。なので次も15年くらい後かなぁ……えっもっと出てミュージカル欲しい?やったー!」
と一通り笑いをとります。Kさんはスーパーシンガーでありながらトークがとっても面白い方だなと思っていたので、生でおしゃべり聞けて楽しかったです。

橋本さんが「4つの大切なこと……フリーダム、フリーダム、フリーダム、フリーダム!」と全部フリーダムで答え、甲斐さんが「皆さんボヘミアンズ貸切ですからムーラン・ルージュの玄人ですもんね!花火大会よりもオリンピックよりもここを選んで!ありがとうございます!」と話す。その間ちょくちょく中河内さんが花火のように飛び跳ねます。

そんな中、トリを任される座長の望海さん「イェーーーーーーーイ!!」と取り敢えず観客を煽る。その後ノープランなので
甲斐「じゃあ、We areって言ってもらって」
望海「えっWe areって?」
橋本「わかるでしょうみんなムーラン・ルージュの玄人なんだから」
望海「そっか!じゃあ、私達がWe are って言ったら客席の皆さまはBohemians!って」
甲斐「だから言わなくてもみんなわかるって」
橋本「どうする花火打ち上がる?」
中河内(もう花火のように跳ぶ体力がないと言わんばかりに首を横に振る)
望海「花火疲れてる」
K「前も言ったけれど、これ打ち合わせした方が良いね!」
とKさんが大爆笑を攫い、その上での
We are Bohemians!
の掛け声で幕が降りました。

ひたすら夢のような時間でした。またあの真っ赤に燃える空間に行きたいです。ボヘミアンズになれて良かったな〜!!

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