引きこもりが地下アイドルになって3ヶ月で辞めた話(前編)
ありきたりな話
引きこもりだった私は、友人に勧められ、ある日突然地下アイドルになった。
初めての打ち合わせの日、緊張しながら都内のマックで待ち合わせをしていると、
やってきたのは自分と同い年くらいの少女だった。
彼女はプロデューサーを名乗り、給料や雇用規定について可愛い声で淡々と説明をしていく。コーヒーを啜るためにマスクをとった顔が整っていて驚いた。元アイドルなのだろうか。
地下アイドルは、元アイドルや現役アイドルがプロデューサーを務めていることが少なくない。そういった運営会社は、現場をよく知っているため、比較的ホワイトで、演者からも客からも評判の良い場合が多い。
すぐに他のメンバーとの顔合わせがあった。ワンピースやミニスカートに身を包んだ可愛い面々に圧倒される。そのままステージに上がっていけそうだ。私だけTシャツにデニム。メイクも私だけなんか違うぞ。焦る。
5人組の王道可愛い系アイドル。プロデューサーは乃○坂が好きなんだろうなぁと思うような衣装だった。
デビューまでの2ヶ月間、週3〜週4での特訓だった。これがかなりきつかった。歌って踊るって大変だ。
泊まりがけでの練習まであった。週3で顔を合わせ、大変な思いで練習していると、結構メンバーの間で絆が生まれてくる。
練習終わりにみんなでラーメンを食べにいったりもした。アイドルもラーメン食べるんだ。なのになんでみんなそんなに細いんだ。
学生時代に戻ったみたいで、ちょっと楽しかった。
地下アイドルって、みんなが思ってるよりメンバー同士仲良いものなんだなぁ。なんて思っていた。この時までは。
そしてあっという間にデビュー日は近づいてきた。
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