雪の一日
今日の朝はやけに静かだった。時間が経つのを忘れてしまって、気づけば家を出る時間になっていた。
その静けさの理由。それは夜の間に降り積もった雪であった。この街での積雪は今日が初めて。20年前に冬季五輪を行なった地域の出身者としては(残念なことに、その話をして理解してくれたのはチェコ出身のフラットメイトだけであった... 冬季五輪の知名度はイギリスでさえ低いらしい)、雪にはしゃぐような理由はないはずなのだが、この街での初めての景色には心が躍った。なんだか新鮮な気持ちで一日を過ごすことができ、研究も前向きに進められ、よい週末を迎えられそうだ。
私にとってはそんな彩りある一日であったのだが、そうではなく大変な一日だった人も多かったようだ。冬季対応が整っていない車が多いのか、心なしか交通量が少ないのを感じた。聞いてみると、車で行くことができず、電車を利用しようとしたある友人は、電車も運休の目にあい、出社を断念した。多くの小学校が休校になり、子供の面倒を見るために早めに帰宅をした研究者もいた。そして、カレッジの昼食では、材料が届かず、メインディッシュなしのランチに。サラダバーが心なしか盛況だった。
「これくらいの雪で大騒ぎして!」というのは簡単であるが、雪が日常茶飯事でないのならば、降雪地と同じだけの備えをするよりも、その備えのためのエネルギーを他に費やし、雪の時に大騒ぎをするくらいのリスクは負ったほうがトータルで合理的だということではないか。
とはいえ、子供を持つ親にとっては、slippyな歩道も、一日まるまる休みになってしまう学校も、悩みのタネであることには間違いない。独身の私には考えが及ぶことのなかった事柄だったが、違う目線に立ってものを考える貴重な機会となった。