スポーツ・オブ・ハート名誉理事・廣道純さんが情熱をかけるビジョンとは【ワクセルトークセッション企画】
ワクセル主催のトークセッションのレポートです。
ワクセル(主催:嶋村吉洋)は、コラボレートを通じて、人に夢を与え続けていくソーシャルビジネスコミュニティです。
ワクセルは11月23日(火)に、トークセッションイベントをオンラインで開催しました。ゲストにはプロ車いすアスリートであり、スポーツ・オブ・ハート名誉理事の廣道純(ひろみちじゅん)さんをお招きしました。
廣道さんは10代半ばでバイク事故を起こし、脊髄(せきずい)損傷により車いす生活となりましたが、事故の直後から車いすレースに挑戦。プロ車いすアスリートとして数々の大会で好成績を収めた経歴を持っています。現在は、障がい者も健常者も楽しめることをコンセプトにしたイベントを主催する「スポーツ・オブ・ハート」の名誉理事として運営に携わっています。
今回は、スポーツ・オブ・ハートに携わるようになったきっかけや、イベントを通じて伝えたいこと、イベントを作るうえでの楽しさや難しさ、今後の展望についてお話しいただきました。
スポーツ・オブ・ハートに携わったきっかけ
高校1年生の時にバイク事故を起こし、下半身不随(ふずい)になった廣道さんは、「自分は一度死んでいる」と、語ります。
「助かったからには理由がある。第二の人生を歩む」と、持ち前の前向きなメンタリティですぐに立ち直ることができた廣道さん。リハビリ中、車いすで走るランナーを見て感銘を受け、車いすランナーの世界へと飛び込みます。日本初のプロ車いすランナーとして、2000年にシドニーで開催されたパラリンピックでの銀メダルを始め、数々の大会で好成績を収めています。
パラアスリートとして活躍するなかで、スポーツ・オブ・ハートのイベントへの参加オファーを受けます。声を掛けたのは、プロジェクトの発起人である株式会社サンライズジャパン代表取締役の兵頭慶爾(ひょうどうけいじ)さん。イベント内容は、オリンピック選手とパラアスリートのトークショーや子どもの体験教室、アーティストのライブなどでした。
「パラアスリートの活躍をもっと知ってほしい」「オリンピックのアスリートと同じステージに立つことで認知度を上げていきたい」という兵頭さんの熱い思いに胸を打たれ、イベントへの参加を決意しました。
1回目の開催では、オリンピック選手やアーティストを招待したことによって赤字でした。「時間をかけて返していけばいい。来年もやるぞ」と言い、2回目の開催も決めていた兵頭氏。「パラアスリートのためにここまでしてくれる人はいない。一生をかけて協力していこう」と、2回目からは運営側として参加しました。一般社団法人化する際には、「代表はアスリートがいい」という方針もあり、廣道さんが名誉理事に就任しています。
毎回楽しみながら新たなチャレンジをすること
イベント運営で工夫しているのは、毎回新しいを要素を取り入れていくことです。前回までは大分会場と東京会場は別日程での開催でしたが、今回は同日開催・同時中継を実施するなど新しい取り組みを行いました。
「一番大変なのは、イベント内容を考えること」と語る廣道さん。パラスポーツと健常者のスポーツを同時に体験することを大切にしているため、パラアスリートとオリンピック選手のスケジュールを調整する難しさなどがあります。また、トークショーでも単にアスリートが話すだけでなく、どんな著名人が参加してくれるかを考え、ブッキングすることにも力を入れています。直前になって参加する著名人がいたり、直前で参加できなくなるアスリートがいたりと毎回いろんなことが起こります。
さまざまなハプニングに対して、現場のスタッフ一人ひとりが臨機応変に対応していくことで乗り越えてきました。そういったハプニングがあるからこそ、ライブショーとしての面白さも生まれていると感じています。スタッフが緊張感を持ちながらもその状況を楽しんでいるからこそ、演者もお客さんも楽しめるイベントになっています。参加した全員が楽しめるイベントになるように常に考え、大会運営をしています。
スポーツ・オブ・ハートを通じて多様性の認められる世の中を実現したい
「障がいを持った子どもたちが、自分自身に価値を感じて障がいも工夫しながら明るく楽しく人生を過ごしてほしい」という思いを持って、廣道さんはスポーツ・オブ・ハートの運営に携わっています。課題に感じていることは、パラアスリートの認知度。テレビなど注目を浴びる場で、障がいを持った人の活躍する姿を見る機会をもっと増やすために、著名人やオリンピック選手の力を借りて発信する場を作っています。将来的にはパラアスリートの認知度をさらに上げていき、障がいの分け隔てなくみんなが楽しめるイベントにしていきたいと考えています。
廣道さんは、「パラスポーツは障がいを持った人のための特別なものである」という認識を変え、「健常者も障がい者も関係なく多様性の認められる世の中にしていきたい」という思いがあります。パラアスリートのなかでも、自分と同じように障がいを苦にしなかった人もいれば、落ち込んでいたところから、捉え方を前向きに変えてきた人もいます。障がいを抱えて落ち込んでいる人にも希望を見せられるイベントとして、スポーツ・オブ・ハートの活動を継続しています。
今まではパラスポーツを通じて、スポーツの素晴らしさや障がいを持った人の活躍する姿を見せる場としてイベントを開催してきました。しかし、障がいを持った人のなかにも、スポーツ以外の分野に興味のある人もいます。今後はすでに取り入れている、ファッションやアート以外にもコラボレートして、多種多様な分野に興味を持ってもらえるきっかけにしていきたいと考えています。
「ワクセルの発信力やコラボレーターと協力することで、スポーツ・オブ・ハートをより盛り上げていきたい」という廣道さんの言葉で、トークセッションは締めくくられました。
トークセッションの内容は、ワクセル公式ホームページに掲載しております。ぜひ合わせてご覧ください。
https://waccel.com/talksession/hiromichi-jun/
■廣道純さん
●経歴
1973年 大阪府堺市生まれ
1989年 高校1年の時、バイク事故を起こし、脊髄損傷により車いす生活となる
退院後17歳で車いすレースの世界へ
1994年 当時の車いすマラソン世界記録保持者ジム・クナープへ弟子入りを志願
彼のもとでホームステイし、レース前のメンタルトレーニングや勝ち方、練習方法など多くのことを学び、アスリートとしての素質を開花させる
1994年 ボストンマラソンを皮切りに世界各国のレースに出場
2000年 シドニーパラリンピック800メートルで銀メダル、 日本人初のプロ車いすアスリートとして独立。その年に行われたアテネパラリンピック800メートルで銅メダルを獲得
400メートル、800メートル共に日本記録を保持。
現在の活動と今後の活動予定
テレビ・ラジオ出演、講演会(年間20講演以上、演題: 明日へ向かって、夢に向かって、どうせ生きるならなど)を意欲的にこなしている。
また、選手育成や車いすレース普及のため、大会運営にも積極的に取り組み、健常者マラソンと車いすレースが融合できる大会を目指し活動中。
・廣道純さんオフィシャルブログ
・廣道純さんFacebook
・廣道純さんTwitter
■SOCiAL BUSiNESS COMMUNiTY『ワクセル』
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