インサイトの検討手法
今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
マーケに携わっていると、答え合わせが難しい問いに向き合う機会が多いですよね。中でも「消費者インサイト」の仮説構築は非常に難しいと感じています。
ウェブ広告の出稿をお願いしている代理店から「ターゲットのインサイトってなんですか?」なんて質問を受けて、「そんな簡単にわかったら苦労しないよ!」と何度思ったことでしょう。笑
ということで、今回はインサイトを検討する方法について記していきたいと思います。
インサイトとは
以前の記事にも記した内容を転記します。
消費者自身が自覚していないニーズということができそうですね。
もっと掘り下げると、「健康になりたい→健康に不安がある」「おしゃれな服を着たい→現状では着ることができず不満」「自信を持ちたい→自信がない(不足している)」といった本質的な悩みを孕んでいます。
この「本質的な悩み」というのがインサイトにつながってきます。
なかなか来ないエレベーター
何がインサイトに当たるのか、というのが掴みづらいのでわかりやすい事例を紹介します。
「エレベーターを速くしてほしい」というニーズには「待ち時間が無駄になっている」という本質的な悩み≒インサイトからくるものだと考えられます。
そこで、鏡を設置し、身支度を整えている間にエレベーターが到着するようにしたそうです。そうすることで、利用者は待ち時間を感じなくなり、体感的に早くエレベーターが到着したと感じるようになったそうです。
インサイトを見つける手順
上記のエレベーターの例のように、最初は「顕在化しているニーズ」→「望ましい状態」を想定します。
エレベーターの例では「到着の遅いエレベーターを速くしてほしい」→「エレベータの待ち時間が短くなる」という図式になります。ここから顕在化しているニーズを深掘りして「待ち時間が無駄になっている」ということが根本的な問題であると仮説を立てています。
キーインサイトの見つけ方
一言でインサイトと言っても、実は種類があることをご存知ですか?
最も重要なインサイトを「キーインサイト」と呼ぶのですが、それを見つけるためには「カテゴリーインサイト」と「ヒューマンインサイト」があります。
カテゴリーインサイト
カテゴリーインサイトは、対象となる商材やその商材カテゴリに対する思い込みのようなものです。例えば、「Sweetsは女性が食べるもの」とか「ミニバンはダサい」とかそういった認識が当てはまります。もっというと「Sweetsは女性が食べるも(だけど、男性の自分も食べたい。でも恥ずかしい)」とか「ミニバンはダサい(だけど、家族と乗るには便利なんだよなぁ)」とか利用したいけど、それを躊躇う理由になるようなものなのだと中の人は考えています。
無骨なパッケージとボリュームで男性に向けたSweetsとして人気を博したコンビニスイーツの「俺のスイーツシリーズ」、かっこいい父親像を投影したトヨタVOXYなどは、この辺りのカテゴリーインサイトを捉えていると思われます。
ヒューマンインサイト
ヒューマンインサイトはカテゴリーインサイトとは異なり、普遍的な人間としての欲望みたいなものです。なので、行動経済学や心理学といったアプローチが有効といわれています。
アメリカの心理学者スティーブン・リース氏の「16の欲求プロフィール」がカテゴライズとしては有用かもしれません。
キーインサイト
キーインサイトはカテゴリーインサイトとヒューマンインサイトが重なる部分です。
例えば、先ほどのVOXYの例で行くと、家族のために使いやすいミニバンにしたい(家族愛=ヒューマンインサイト)。だけど、ダサいと思われてしまう(カテゴリーインサイト)。カッコイイ+家族で乗るのに便利な車がいい(キーインサイト)。といった感じでしょうか。
まとめ
ということで、今回はインサイトってどうやって考えるのかという点にフォーカスして書いてみました。
マーケティング活動の成功を左右するとも言えるインサイトですが、それだけ検証するのも難しいものですよね。今回は、キーインサイト(カテゴリーインサイト×ヒューマンインサイト)という考え方を紹介しました。
この他にも知性に訴えかけるインサイト(マインド・オープニング・インサイト)、感情に訴えかけるインサイト(ハート・オープニング・インサイト)といった分類方法もあるようです。まだまだ奥が深そうですね。
あとがき
今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
インサイトの発掘って超難しいですよね。かなりの仮説構築力が求められる気がします。これぞドンピシャのインサイトだ!って自信を持って言えるような体験をしてみたいものです。
それではまたお会いしましょう。