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解析レポートにも使える振り返り手法KPT法

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
今回も、お題のリクエストをいただきましたので、それに応えたいと思います。いただいたお題は「KPT法」についてです。
KPT法(Keep, Problem, Try)は振り返りと改善のフレームワークですが、これ用いることで、ウェブ解析レポートも書きやすく、伝わりやすいものにすることができます。では、早速みていきましょう。


KPT法の基本

KPT法は、プロジェクトや業務の振り返りに使われる方法で、以下の三つの要素で構成されています。

Keep(継続すべきこと)

成功している要素や継続すべきことを特定し、その背景を理解します。アクセス解析の領域としては、ユーザーエンゲージメントが高かったコンテンツ、効果的だった流入促進手法(ウェブ広告やSNSキャンペーンetc)などが挙げられますね。

Problem(問題点)

Problemでは、うまくいかなかったことや課題を洗い出します。問題や障壁を特定し、その原因を掘り下げていきます。例えば、予想外に低いコンバージョンレートやユーザーの離脱率の高さなどですね。それらの問題が、どうして生じたのかについても考察していきます。

Try(試すべきこと)

問題の解決策や新たな試みを考え、具体的な計画を立てます。例えば、新しいユーザー獲得戦略の導入、ウェブサイトのUIの改善、CV動線の改善などが含まれます。
要するに、具体的な次の行動策を示すものです。


ウェブ解析士の公式テキストでは以下のように記述されていますね。

どんな問題をデータから見つけ、どのように分析をし、何を打ち手として打ち、打ち手はどのような結果だったのか、PDCAの全体もしくは一部分で、報告をしたり、コンサルティング的な立場でお仕事をしたりしている場合は「提案」をして、あなたがするべきだと思った施策を、クライアントが実行できるような資料作りをしなければなりません。
私たちはそれを「動かすレポート」と読んでいます(後略)

『ウェブ解析士ウェブ解析士認定試験 公式テキスト2023』

この「動かすレポート」を作るためにも、KPT法は有効なフレームワークだと思っています。

KPT法の活用例

ウェブ解析の文脈でKPT法をどのように活用するか、以下に具体的な例を示します。

ウェブサイトのパフォーマンス改善

訪問者の行動データを分析し、サイトのユーザビリティやエンゲージメントを高めるための改善策をKPT法で特定します。Keepでは、ユーザーが長く滞在したページや高いインタラクションを示したコンテンツを特定します。Problemでは、ユーザーがサイトを早期に離れるページや機能を特定し、その原因を分析します。Tryでは、ページのロード時間の短縮、コンテンツの改善、ナビゲーションの最適化などの改善策を提案します。

マーケティングキャンペーンの評価

実施したキャンペーンのデータを基に、KPT法に基づいて成果を評価し、次回のキャンペーンのための改善策を検討します。例えば、Keepでは、目標達成に貢献したキャンペーン要素を特定し、Problemでは、期待した反応が得られなかった要素を分析します。Tryでは、ターゲットオーディエンスの見直しやメッセージ戦略の調整などを提案します。

KPT法活用時の注意点

KPT法を最大限に活用するためには、以下の点に注意する必要があります。

Keepの重要性

これ、結構日本的な文化なのですが、悪いところばかり目を向けてしまいがちなんですよね。Problemに焦点が当てられて、Keepが蔑ろにされがちです。でも、ほっといても成功するものなら良いのですが、意図的に継続しなければならないことも多いんですよ。
それだけじゃなくて、成功したこと・良かったことをしっかり認めて共有することで、プロジェクトチームの士気が高まるといった効果も期待できますよね。

Tryの源泉

Tryは、Problemから検討されることが多いです。もちろん、間違いではありませんが、成功体験(Keep)からも学べることは多いと思うんです。「この方法は効果があったから、同様の手法が活かせるかも」とか、「このコンテンツは集客力があるから、同様のコンテンツを拡充していこう」とかですね。

評価の視点

ウェブ解析では、表面的な数値(例えばCPCやCTR)だけでなく、KPIやKGIに基づく深い分析が求められます。その数値が何を意味するのか、しっかり事業に貢献できているかを振り返るのが良いです。(KPIツリーなどを振り返りの際に出しておくと良いかもしれません)

戦略フレームワークの活用

立案時に使用したカスタマージャーニーマップなどのフレームワークと併せて、どのフェーズの顧客にどんな効果があったのか。なぜ成功(失敗)したのかをベースにKPTを埋めていくと、再現性が高まります。結果に一喜一憂するのではなく、狙ったことができたのかや、なぜその結果なのかを戦略とともに振り返るのが良いと思います。

まとめ

KPT法をウェブ解析に活用することで、より深い洞察と具体的な改善策を導き出すことが可能です。データに基づく意思決定を強化し、ビジネスの成長を加速させるために、この方法論は非常に有効なツールです。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
KPT法って案外意識しなくてもやっているもんですよね。笑
改めて、意識してみるとレポート内容の整理が捗るかもしれません。

お題のリクエストは随時お待ちしていますよ〜。
それではまた来週お会いしましょう。

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