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キャズムを乗り越えたいイノベーター理論の話。

明けましておめでとうございます。
本年もウェブ解析士のnoteをよろしくお願いします。
今年の干支は癸卯(みずのと・う)だそうで、「これまでの努力が結実し、勢いよく飛躍する年」になるそうですよ。皆さんにとって大きな飛躍の年になることをことを祈念しております。

さて、新年一発目の記事は「イノベーター理論」について触れてみたいと思います。
最近、「中の人」はウェブ解析にJuicerというデータマネジメントプラットフォームを活用しています。Juicerはサイト訪問者の代表像をペルソナとして自動作成してくれる機能があるのですが、その中でイノベーター理論にちなんだサイコグラフィックデータも作成してくれるんですよね。それを生かすためにもイノベーター理論を知っておこうというわけです。

Juicerで作られるペルソナ像(デモ)
Juicer公式サイト(https://juicer.cc/)より

イノベーター理論とは

そもそもイノベーター理論って何なのでしょう。安原智樹氏の著書『マーケティングの基本』の説明がわかりやすいので引用してご説明します。

ある商品カテゴリーで消費者がどのように形成されていくかを説明する理論です。新しい市場を消費者が利用していくためには時間がかかります。革新的な商品が普及していく割合を浸透率といい、この浸透率を消費者区分によって説明したものがイノベーター理論です。

安原智樹『この1冊ですべてわかる-新版-マーケティングの基本』日本実業出版

要するに、新商品発売から時間経過ごとに購入する消費者を分類しましょう。って考え方ですね。
イノベーター理論では具体的に5つのカテゴリに消費者を分類しています。

・イノベーター(革新者):全体の2.5%
”新しいもの”に飛びつく層です。「新商品」というニュースだけで購入してくれますが、他の新商品が出るとそちらに移ってしまいます。
技術などに惚れるハイテクオタクな一面があるそうですよ。
・アーリー・アダプター(初期採用者):全体の13.5%
自分の判断で購入する層です。商品のベネフィットを受け入れるオピニオン・リーダーです。技術ではなく、機能などの実用面に惹かれる側面があるそうです。
・アーリー・マジョリティ(前期追従者):全体の34%
周囲の評価を見てから行動する層です。先行者の成功事例を確認してから行動に移す実利者の側面を持つそうです。
・レイト・マジョリティ(後期追従者):全体の34%
「たくさんの人が利用しています」などの情報が効果的に刺さる層です。とにかくみんなが使っているという事実が重要で、慎重に行動する側面があります。
・ラガード(遅滞者):全体の16%
どうやっても利用してくれない保守的な層。新しいものを好まず、現状で満足しているため行動を促すことが難しいのだそうです。

イノベーター理論でよく見るのはこんな図ですよね。

多数派のアーリー・マジョリティまで普及させるのが新商品を市場に浸透させるための肝になります。

キャズム理論

上述した通り、多数派のアーリー・マジョリティの支持を得ることが市場浸透において重要なことですが、それが結構難しいとするのがキャズム理論です。
アメリカのマーケティング・コンサルタントのジェフリー・ムーア氏が提唱している理論で、イノベーターとアーリー・アダプターまでは浸透しても、その先の普及が難しいとしているため、イノベーターとアーリー・アダプターの浸透率を足した16%をとって「16%の壁」と言われたりしています。
この16%の壁、すなわちアーリー・アダプターとアーリー・マジョリティの隔たりをキャズム(大きな溝)として、「キャズム理論」と呼ぶそうです。

キャズムの発生要因

なんで、そんなキャズムが発生するのかというと、キャズム以前の消費者とキャズム以降の消費者で、購買する際の価値観が異なっているからとされています。
キャズム以前の初期市場では「新しさ」というものが一つの魅力になっているわけです。「新しい」というだけである程度は売れてしまうということです。今後のトレンドを先行して抑えられるというのが一つの魅力として消費者に映るのだそうです。
一方でキャズム以降のメイン市場では「新しさ」はそれほど重要視されません。より重要視されるのは「信用」や「安心」になるそうです。そのため、使用者の好意的な口コミや「みんなが使っている」ということを丁寧に伝えることが重要になってきます。

キャズムを越えるために

そのため、キャズムを越えていくためには「新しいもの」から「信頼できるもの」への昇華が必要になってくるとされています。
新商品発売時には、その先進性を強調してアピールします。キャズムを越えていくのが重要だとしても、その前提としてキャズムに届かなければいけません。そのために、イノベーターに届くように「先進性」をアピールしながら、その先進的な技術がどのように実利をもたらすのかを伝え、アーリー・アダプターの支持を獲得していきます。ここでは使用感など「顧客の声」を拾います。
その後、アーリー・アダプターを意識して実績を数値化して提示したり、集めた顧客の声を利用して「信頼度」をピーアールしていくのが定石とされています。

まとめ

イノベーター理論は商品のリリースからの時間軸をベースに、購買行動の特徴ごとに消費者を分類する手法です。その中でも、アーリー・アダプターとアーリー・マジョリティの間にある「16%の壁=キャズム」を越えていくことがビジネスを成功に導く鍵となります。
そのためには市場規模の把握を行い、どこにキャズムがあるのかを理解する必要があります。その上で、自社の現在地を把握してそのフェーズ・顧客層に合わせたマーケティング施策を展開していくことが重要になってきます。
それらを実現するために、イノベーター理論やキャズム理論の理解は重要だということですね。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
皆さんは年末年始の休暇をどのように過ごしたでしょうか。「中の人」はすっかり正月太りしてしまって、久々に履いたチノパンが少々きつくて焦っています。(笑)
ところで、冒頭で紹介したJuicer、結構便利ですよ。以前ウェブ解析士マスターの方に紹介してもらって使い始めたのですが、結構ハマってます。
本文で紹介したペルソナ作成以外にも、固定IPからアクセス企業を割り出してくれますし、アクセスログがCookieごとに見れるのでミクロ解析も捗ります。グーグルタグマネージャー越しにタグの設置もできて、基本無料で使えるのでぜひ試してみてください。GAやサチコとの併用で解析の幅が広がるかも?

とまぁ、こんな感じで今年も頑張って記事書いていきますので、引き続きお付き合いいただけたら幸いです。
それと、どうでも良い補足ですが、年が変わったので見出し画像のテイストを変えてみました。どうでしょうか?(笑)
それではまた来週お会いしましょう。

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