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手段から始める意思決定!?-エフェクチュエーションという考え方。-

今回もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。

さて、突然ですが、ウェブ解析士の皆さん並びに、ウェブ解析士取得を目指して学習中の皆さん、2022年版から公式テキストに記載が追加された「エフェクチュエーション」ってご存知ですか?
「中の人」はよく知りませんでした。(笑)
今年改訂なので、おそらくフォローアップテストにも影響してくる内容になると思います。
ということで、先週第一回目を迎えたウェブ解析士協会主催のエッセンシャル講座にてエフェクチュエーションについて学ぶ機会があったので「中の人」の理解をまとめてみようと思います。

参加したのは、こちらのイベント↓
*余談ですが、エッセンシャル講座第1回目の講師:吉田満梨さん、
実はFlash講座の第1回目にも登壇されているそうです。

エフェクチュエーションって何?

そもそも、「エフェクチュエーションって何なのよ?」ってところですよね。聞きなれない単語なうえに、なんか噛みそうですよね。(笑)
まずは公式テキストの記載を覗いてみましょうか。

「エフェクチュエーション」とは、優れた起業家に共通する思考プロセスや行動様式をいいます。
(中略)
「目標」を決め、それに対して「計画」を立てて実行すること(コーゼーション)は、予測可能な時代にこそ有効な考え方ですが、計画実施中に状況が変わることに対して有効に作用しないこともあります。
エフェクチュエーションの重要な考えに、機会は「発見」するものではなく、今、自分が持っている既存の資源(能力・専門性・人脈)などに基づいて、「まず動き始める」というものがあります。

『ウェブ解析士認定試験公式テキスト2022』P114
太字は「中の人」による

う〜ん… 何となくわかったような?
要するに、比較的新しい思考プロセスのようですね。
実は、これ凄いこと言っています。
先週、「戦略」について記事を書きましたが、この先週の記事と真逆の発想なんですよね。
先週の記事↓

どういうことか、詳しく記していきます。

従来の思考法:コーゼーション

先週の記事のおさらいです。
戦略の設計にはレイヤーが存在し、目的→戦略→戦術というレイヤー構成でした。
「目的」に向かって「戦略」を設計し、「戦略」を実行するための手段として「戦術」を生かす。といった具合です。

目的・戦略・戦術の役割


これらは因果性を重視することから因果論(コーゼーション:Causation)とも呼ばれます。
コーゼーションは「目的が明確+環境が予測可能」という条件下では有効なアプローチです。

しかしながら、昨今は市場環境が高確率で予測できるなんてことはなかなかないですよね。不確実な環境にどう対処いたらいいのか分からなくなります。そこで登場するのが「エフェクチュエーション」という考え方なんです!

新しい思考法:エフェクチュエーション

エフェクチュエーションは、上記のコーゼーションとは逆に「未来は予測できない」という前提に立ち「自分が使える手段」から思考をスタートします。
ここでは、エフェクチュエーションの5つの原則をステップごとに紹介します。

①「手中の鳥」の原則

「目的」主導で逆算的に手段を選んでいく従来の思考法で導かれた手段は、リソースが足りずリソース集めから始まることもありますよね。
一方で、この「手中の鳥」の原則では、すでに使える手段から始めようとするため、すぐにでも一歩目を踏み出すことができます。
この考え方のすごいところは、目的を必要としないところだと「中の人」は考えています。
「とりあえず独立したものの、大きなビジョンはない」なんていう(私のような)個人事業主なんかにはピッタリの考え方だと思います。
具体的には、以下の問いかけに応える形で行動指針を創出します。

私は誰か 能力や特徴を含めたアイデンティティ
何を知っているか 経験や専門性、どんな教育を受けたか
誰を知っているか 社会的ネットワーク

+α:余剰資源を活用できないか すでに持っているもので活用できていないものはないか

②「許容可能な損失」の原則

何か行動を起こそうとした時、失敗するのが怖くて躊躇することってありますよね。
うまくいくかもしれないし、失敗するかもしれない。こんな時、コーゼーションでは一番成功確率の高い手法を選択します。森岡毅氏が唱える「確率思考の戦略論」はその極みですよね。(憧れます……。)
一方で、エフェクチュエーションでは、失敗を前提にして起こりうる損失が許容できるならGO!という考え方をします。
要するに、「何なら失っても大丈夫か?(許容できるか)」を考えるようです。
これって、やりたいことが大きくなるほど(モチベーションが高いほど)許容可能範囲は広がりますよね。ポイントは「行動しないことの機会損失」も考慮する点だそうです。

手段を選択し行動指針が見えたら、失敗しても問題ない程度にリスクを小さくして始めてみよう!というのがここまでの考え方です。

③「レモネード」の原則

戦略を遂行中に予想外の出来事があって、目的到達までの障害になることってまぁまぁあることですよね。
コーゼーションだと、これを「失敗」と捉えてしまいますが、エフェクチュエーションの考え方では「手中の鳥」(=「何を知っているか」などの資源)が増えると捉えます。
偶発的に起きた障害をテコとして活用することで新たな価値を創出するという考え方ですね。
皆さんも一度は使ったことがある”ポストイット”(付箋)も、元々は強力な接着剤の開発途中に生まれた失敗作をもとに発明されたものだそうです。
不確実性や予期せぬ出来事すらもリソースと捉えると、次に何が起こるのかワクワクしてきますよね。

④「クレイジーキルト」の原則

クレイジーキルトって、不定形の布を組み合わせてできた布のことなんですが、事業でも同じように、さまざまな関係者と協力関係を結んでいくことで大きな物事を成し遂げようとする考え方です。
公式テキストの事例を覗いてみましょう。

通常のマーケティングの場合、自社と顧客と競合を分けて考えます。例えば、街にアイスクリームショップを開業するとして、すでに人気のアイスクリームショップが何軒かあったとすれば、「その店舗たちとの差別化をどうするか」と考えるのが普通です。
しかしエフェクチュエーション的な考え方では、「みんなと協力してアイスクリームの街として売り出してはどうか」などと考えて話を持ちかける、または、それぞれの店に対して協力できるサービスはないか、自分の「手中の鳥」でその人たちに紹介できるリソースはないか、などと考えます。

『ウェブ解析士認定試験公式テキスト2022』P115
太字は「中の人」による

Asking(問いかけ)という手法を用いて、「協働・共創」できる人たちと繋がっていくのかエフェクチュエーションの醍醐味のようです。
お気づきですか?これを繰り返すうちに「誰を知っているか」という「手中の鳥」が増えていくので、①〜④の原則がぐるぐる循環する形になります。

⑤「飛行機のパイロット」の原則

これは、原則というよりエフェクチュエーションの世界観に近いと思っています。
コーゼーションでは予測しうる範囲の未来を確率的に予測してコントロールしようと試みます。
一方で、エフェクチュエーションでは「未来なんか予測できるわけないじゃん」というスタンスに立ち、それでも”舵は私が握る”という考え方です。
想定外のアクシデントや、思ってもいなかった人と出会うたびに、好ましい方向へハンドルを切り、自ら未来を選択していくというのがエフェクチュエーションの基本的な考え方のようです。

まとめ

エフェクチュエーションの手順を簡単にまとめると、
①自分にできることから行動に移す。
②成功率やリターンの大きさではなく、リスクの小さいことから始める。
③失敗やアクシデントもチャンスになる
④色んな人を巻き込んで共創を目指す
⑤未来は予測できないから、自分で好ましい方にハンドルを切る
といったところでしょうか。
図解すると下図のような感じですかね。

エフェクチュエーションの手順(「中の人」作成)

どうでしたか?
これまでコーゼーションを突き詰めてきた方々にとっては、目から鱗が落ちるような、青天の霹靂を受けるような内容ですよね。
「目的もなしに、手段から始める」「とりあえず、動いてみる」。
そんなことあって良いのか。と思いながらも納得してしまう内容だったのではないでしょうか。

あとがき

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
「中の人」も始めて触れる思考プロセスで、記事を書きながら情報を噛み砕いています。(笑)
しかし、このエフェクチュエーションって考え方、フリーランスや小規模事業者ほど活用できる思考プロセスなんじゃないかなと、まとめながら考えていました。
考えてみれば、偶発的な出会いからウェブ解析士という資格を知って、目的も抽象的なままフリーランスになって、気がつけばこうして公式noteを書いているという私も、知らぬうちにエフェクチュエーションを実践していたのかもしれません。(あるいは、誰かのエフェクチュエーションに巻き込まれている…笑)

さて、今回の記事を書くきっかけになったエッセンシャル講座ですが、びっくりするくらい密度が濃かったです。
テーマ由来かもしれませんが、MBAの単科履修でもしたんじゃないかくらい学びのあるセミナーでした。
こうして学びの機会をもらえるのも、ウェブ解析士会員のメリットだと思います。

「中の人」の勝手な予測ですが、今年の改訂で追加された「エフェクチュエーション」は8割程度の確率でフォローアップテストに出題されると思いますので、受験前の学習にこの記事をご利用いただければ幸いです。

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