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マーケティング施策に整合性を持たせるプロセスの話。

ウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
先週、ウェブ解析士協会が主催するのFlashセミナーに参加した際に、施策の有効性や一貫性って大事だよなと改めて感じたので、今回はそれをテーマに書いてみようと思います。

ちなみに、参加したのは下記のFlashセミナーです。

マーケティングのプロセス

細かい部分は後述するとして、まずは施策に一貫性を持たせるためのプロセスを俯瞰して見てみましょう。
プロセスは大きく分けて4ステップです。

STEP1 マーケティング目標の確認
STEP2 施策の軸を作る
STEP3 内的一貫性の確保
STEP4 外的一貫性の確保

字面を見ても「分かるような、分からないような」といった感じですよね。各ステップでは実際にどのような検討が必要なのかを詳述していきます。

STEP1 マーケティング目標の確認(設定)

「今更何言ってんだよ」くらい当たり前なことですが、実務をこなしていると意外と見落としがちなのが「目標の確認(設定)」です。
目標=KGI(Key Goal Indicator)の設定は施策の方向性を定める上で非常に重要です。"Indicator(指標)"というくらいなので、数値化できるものが好ましいです。「市場シェア」「売上」「利益」「認知率」などがよく用いられます。
さらに重要なのは期間設定です。例えば、「売上を20%UP」だとしてもいつまでに実現すれば良いのか曖昧では施策を打つことができません。6ヶ月で達成することを目指すのか、3年がかりの計画を立てるのかによって施策内容が異なってきます。
ですので、【KGI=期間+数値】で設定されていることを確認し、それが現実的かどうかの判断を行います。
現実的かどうかの判断の際は、先週ご紹介した As is / To be分析などが活用できると思います。

先週の記事はこちら↓

STEP2 施策の軸を作る

目標が確認できたら、いよいよ施策へ言及していきます。
ここで行うのは、STP分析とコンセプト開発です。

STP分析とは、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の頭文字を取った名称で、市場の全体像を把握して細分化し、ターゲットユーザーがいる狙うべき市場を定め、そのユーザーから見た独自性のあるポジションを明確にする方法です。
これによって、自社の製品・サービスで効率よく売上を伸ばすことを目指します。ターゲットユーザーのニーズを明確にし、適切なプロモーション戦略を行い、他社との差別化を図ります。

『ウェブ解析士認定試験公式テキスト2022』第2章 91pより引用

STP分析の説明は上記引用の通りです。
軸を作る上でターゲティング・ポジショニングが重要になります。

ターゲティングでは「誰に(WHO)」を見極めます
例えば、商材がランドセルの場合、5歳児を顧客とするのか、その父母を顧客とするのか、あるいは祖父母を顧客とするのかによりアプローチが変わってきます。ランドセルのように「使用者」「決裁者」「支払い者」がそれぞれ異なる場合は注意が必要です。

ポジショニングでは「どのカテゴリで(WHERE)」を見極めます。
ランドセルの例で考えてみましょう。「子供から見たおしゃれなランドセル」なのか、「機能性が高いランドセル」なのか、「高級皮を用いた上質なランドセル」なのか、あるいは全く新しいカテゴリを探すのかによってプロモーションの際の訴求点が大きく異なります。

そして、コンセプト開発では「商品が提供する(できる)ベネフィット」を見極めます
ランドセルの例で考えると、「学校に行くときの気分が上がる」「何かと物入りの時期に財布に優しい」「贈りたくなる丁寧な縫製」など考えられますね。
コンセプト開発の際は下記の2点に注意が必要です。

①ニーズはあるか。
ニーズがない独りよがりなコンセプトではどんなにプロモーションをかけても売れません。以前の記事で紹介した、マーケティング近視眼に陥らないように注意しましょう。
※マーケティング近視眼については過去の記事で紹介しています。

②ターゲットとポジションとの関係を考慮する。
誰の、どんなニーズに応えるベネフィットなのかを確認しましょう。
例えば、祖父母を顧客に設定し、「高級ランドセル」カテゴリを選択したのに、コンセプトが「安くて機能的」だとなんだかチグハグしてますよね。


STEP3 内的一貫性の確保

さぁ、ここまできたらより具体的になっていきます。
このフェーズでは4P分析を用いたマーケティング・ミックスに一貫性があるのかを確認していきます。

4P分析
製品・サービスを構成する要素である、「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「販売促進(Promotion)」を売り手の視点で分析するフレームワークです。

『ウェブ解析士認定試験公式テキスト2022』第2章 103pより引用

この4Pの組み合わせに整合性があるかという点を検討します。
実際は、もっと複雑なものですが、単純化して考えてみましょう。下記したケースの場合、どのような組み合わせが考えられるでしょうか。

Product:どのような製品にするか
【A】今までにない革新的なもの
【B】買い手が商品をよく知っているもの

Price:どのような価格帯にするか
【A】高価格で、流通マージンを確保する
【B】低価格で、流通マージンを削減する

Place:どのような場所で販売するか
【A】対面接客を行う小規模店舗
【B】セルフ化の進む大型店舗

Promotion:どのようにプロモーションを行うか
【A】販売員による推奨や口頭説明
【B】マス広告による認知獲得

例えば、対面接客を行う小規模店舗で、販売員による推奨をしてもらうのに低価格設定で流通マージンが少ない場合、販売員の意欲不足になり失敗する可能性があります。と言った具合に、4Pの組み合わせが適切かを検討していきます。
ちなみに、細かい説明は省きますが、全て【A】を選択すると『プッシュ戦略』、全て【B】を選択すると『プル戦略』と呼ばれる戦略パターンに該当します。従って、どちらかにはっきり分かれる場合は組み合わせは適切と言えます。(はっきり分かれないからと言って、適切ではないとも限りません)

STEP4 外的一貫性の確保

そして、最後に外部環境とマーケティング・ミックスの整合性が取れているかを確認しましょう。
ここでは、「消費者」「競合」「取引先」「自社」との関係から、①施策の有効性・②施策の実行可能性を検証していきます。

①施作の有効性の検証では「消費者」と「競合」との関係に着目します。

・消費者にとって魅力的なベネフィット訴求ができるか
・競合他社に対して優位性を確保できるか

例えば、ランドセルの市場で「20年使っても壊れない」というベネフィットを訴求したとして、果たしてニーズがあるでしょうか。消費者にとって魅力的なベネフィットでなければ売上はつくれません。また、仮にニーズがあったとして、競合他社が同じ性能をより低価格で実現していたら、収益の確保は難しくなります。

②実行可能性の検証では「取引先」と「自社」の関係に着目します。

・取引関係を結ぶことができるか
・自社に実行するだけの資源があるか

例えば、「マス広告を利用した認知獲得→大型店舗での販売」という施策を掲げたとして、マス広告を行うだけの予算が確保できなければ絵に描いた餅で終わりますし、大型店舗に配荷してもらう取引ができるだけのコネクションがなければ実現しません。

まとめ

これまでの記述をまとめると、下図の通りです。

こうして読んでみると、当たり前のことしか書いてないことに改めて気づきますが、意外と実務上は施策に整合性が取れてないことが多いんですよね。
「SNSが効果があるらしい」とか「Web広告なら安く始められるんでしょう?」とか、そういった安易な発想から施策を”とりあえず”やってみることって結構あると思うんですよね。
なので、そんな時は一度足を止めて、その施策に整合性・一貫性はあるのか問うてみましょう。

あとがき

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
毎回、もう少しコンパクトにまとめようと思っていても、なんだかんだ長文になってしまいますね……。
今回の記事は冒頭でも触れた通り、一般社団法人ウェブコンサルタント協会の代表理事|権 成俊さんが登壇したFlashセミナーを拝聴したことがきっかけでした。
権さんは「AB3C分析」というフレームワークを紹介してくださりました。
通常の3C分析に加え、競合に対する優位性(Advantage)と顧客に提供する便益(Benefit)を検討するためのフレームワークです。
この記事を読んでくださった方ならお気づきでしょう。Step4の外的一貫性確保のフェーズそのものなんですよね。ウェブにもこうやって活用できるのかと目から鱗が落ちた超有料級のウェビナーでした。(参加費無料だったのがありがたい!)
常に学ぶ機会があるというのはありがたいことだと思っています。このnoteを通して、読者の皆様にもそんな機会の提供ができたら幸甚です。

一般社団法人ウェブコンサルタント協会とAB3C分析について↓


今回の記事内容についてもっと詳しく知りたい方は、下記の書籍に詳述されています。


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