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飛天螺旋斬は超必殺技ではない【モンスターハンターワイルズ/操虫棍】

 Gamescom 2024でのPV3の発表後に各種ゲームメディアやYouTuberによって投稿された先行プレイ動画によって、PVや武器紹介動画だけではわからなかった各武器の仕様やアクションが次々と判明している。

 以降の話の主役であり筆者の愛用武器でもある操虫棍も、8月23日現在筆者が認識しているだけでも3本の動画にて使用され、様々な情報を確認する事が出来る。それを受けて世界中の操虫棍使い達が思い思いの感想や考察を発信しているのだが、中でも一際目立つ声がある。

 「急襲突きよっっっっっわ…」

 「飛天螺旋斬ざっっっっっこ…」

 である。

 弱点に当ててもダメージが出ないうえにコマンド変更で出しづらくなった急襲突き。エキス全消費して出すわりにダメージが低いしそもそも飛び上がりすぎてろくに当たりもしない飛天螺旋斬。赤エキスだけじゃモーションが強化されなくなったり舞踏跳躍が削除されたりしたのに、肝心の必殺技もこれ…?カプコンは操虫棍に恨みでもあるのか…?と、嘆くハンターがちょろっと検索しただけでもそこそこ出てくる。

 が、しかし。結論として筆者はこの2つの技は決して弱くなどなく、むしろ今作における操虫棍のコンセプト及び強みを象徴する技だと考えている。当記事ではこれらの技についての筆者の考えを述べつつ、今作モンスターハンターワイルズの操虫棍がいかに我々ハンターの期待に足る強く楽しい武器になっているのかという事を語っていこうと思う。


急襲突き

 まずは急襲突きについて。アイスボーンで実装され、ライズにて没収されたのちに今作で待望の復活を遂げたこの技。ジャンプによる他の武器では真似のできない操虫棍の自由度の高い戦闘を立ち回り・ダメージ両方の面で支えていたこの技だが、今作では主に2つの変更が加えられている。

 コマンドの変更、そしてモーション値の低下だ。この2点について考えてみよう。

・コマンドの変更

 アイスボーンでの急襲突きはジャンプ後にR2で出せていたのだが、今作ではジャンプ後またはジャンプ突進斬りの後に○ボタンを長押しから離すことで出せるという仕様に変更された。他の攻撃中にも長押しを受け付けてくれるとの事なので慣れさえすれば問題ない可能性もあるが、必要な長押し時間によってはアイスボーンの頃のような速さでは出せなくなっているかもしれない。体験版などで実際に検証してみない事にはなんとも言えないが、これに関しては筆者も△○同時押しとかじゃダメだったのかな、とは思っている。

・モーション値の低下

 急襲突きをヒットさせているシーンをいくつか確認してみたが、アイスボーンの頃と比較してモーション値が低下しているのは間違いないだろう。後半の振り回し部分やその他のモーションと比較しても、突き刺し部分のダメージは明らかに低かった。現状我々が観ているのはあくまでもデモ版なので今後の調整でどうなるかは不明だが、少なくとも先行プレイに使用されたバージョンにおいてモーション値が非常に低い事は確かだ。

・強化点とまとめ

 不便になった点と弱体化された点について述べたが、今作の急襲突きには強化点も存在している。

 まずは派生の追加だ。以前はジャンプか空中回避からしか出せなかったが、今作ではジャンプ突進斬りからも出す事ができる。モンスターの体の各部位に傷を付ける事が非常に有効な戦術になりそうな今作において、地上での戦闘時には触れづらい高めの部位に傷を蓄積させられるジャンプ突進斬りから攻撃を途切れさせる事なく地上戦に移行できるこのルートは、実際の使用感については試してみるまで不明ではあるが少なくとも仕様とは噛み合っており、乗りの実用性が向上している点とも相性が良い。舞踏跳躍が削除されたのもこのためだろう。

 そして急襲突き後の派生として、後述する飛天螺旋斬を直接出す事もできる。詳しくは飛天螺旋斬の考察にて触れるが、非常に便利な技であると思われるこの技に直接派生できるのは立ち回りの柔軟さにかなり貢献してくれる強力な要素だと考えている。

 さらに派生ではないが、トリプルアップ時には後半の振り回し部分が強化されるようになった。大きく動いてしまうわけでもなく硬直やモーションの時間が大きく伸びるわけでもない、単純な強化である。(厳密な検証は困難ではあるが、これについてはモンハンあるあるの『条件付き強化を貰ったと思いきや、それ込みでナーフ前とどっこいどっこい現象』の可能性はある。)

 新技である急襲斬りの存在を考えても、今作の操虫棍のジャンプ関連の技はあくまでも立ち回りのための要素であり、火力はアイスボーン以前のようにしっかりと地上に留まって出すというのがおそらく開発の意図するコンセプトであり、故に急襲突きはそれ単体の火力は抑えて柔軟性を増すという調整を加えられたのではないか、というのが筆者の考えだ。

飛天螺旋斬

 この技に関して言われている、「ダメージが低い・飛び上がりすぎてろくに当たらない・エキス全消費してまで出す技じゃない」という不満については、まずそもそもこの飛天螺旋斬という技に対しての理解が間違っているのでは?という説を主張したい。

 定点で高いダメージを出す事ができる強力な新技である急襲斬りから3色エキスを全て消費する事で発動し派手なエフェクトと共に飛び上がるこの技は、いかにも操虫棍の超必殺技という雰囲気を放っている。なんせ名前も飛天螺旋斬だ。誰がどう見ても最終奥義的存在である。しかし現実はダウン中どころか立っているモンスターにすらろくにヒットせず、それ故にエキス回収効果にも全く期待できず、ただいたずらに大切なエキスを景気よく吐き出し優雅に空を舞いフワフワと降りてくるだけ。これでは期待したハンター達がガッカリするのも当然である。

 しかし、そもそもその期待が間違いだったとしたらどうだろう。遂に実装された操虫棍の超必殺技などではないとしたら。

 そう、この飛天螺旋斬。おそらく超必殺技などではなく、立ち回りを快適にしてくれる便利技として作られたのだ。それに何故かこんな仰々しい名前を付けてしまったがために、現状の悲しいすれ違いが起きている。

・飛天螺旋斬はおまけ付きエキス延長技

 結論を言ってしまうとこの技は、好きなタイミングでエキスをリセットして状況によってはあわよくばそこそこダメージを出しつつエキスも回収できて、モンスターの状態や傷の状況、エキスの所持状況によって柔軟に次の行動を選べる超便利な技、なのだ。

 操虫棍使いならば知っての通り、トリプルアップ状態の維持はまあまあダルい。スキルを整えたり戦闘中こまめに気を配ったりしていれば困難という程のものではないが、なんだかんだ絶妙なタイミングで切れてしまってチャンスを逃したりそもそも取り直す行為自体が面倒だったりで、操虫棍を使う上でのちょっとしたストレスだ。

 そのダルさの理由の全ては、延長が不可であるという点にある。しかしそれは当然で、延長を可能にしてしまうと一度トリプルアップ状態になったら余程虫をサボらせたりしていない限り普通に戦っていれば途切れる事がなくなってしまい、エキスによる自己強化という操虫棍のコンセプトがほぼ空気になってしまう。

 だからこその飛天螺旋斬なのだ。飛天螺旋斬の発動条件のエキス全消費は大ダメージを叩き出すためのゲージ消費ではなく、トリプルアップ維持のための任意タイミングでのエキスリセットなのだ。上記の理由で延長を可能にする訳にはいかないが、プレイヤーのストレスはどうにか軽減しようという試みこそがこの技、飛天螺旋斬なのである。

 今作の操虫棍はエキスの取得能力がとにかく高い。デフォ2色取りに虫の溜め撃ち、集中モード等での虫との共闘要素の増加に集中弱点攻撃による3色同時取得。これらに飛天螺旋斬による任意のタイミングでのエキスリセットを合わせると、非常にストレスなくトリプルアップ状態を維持できる事は間違いない。しかもそこに立ち回りの柔軟さ等のおまけも付いてくる。これが弱いわけがない。

 現状公開されている先行プレイ映像の中では、筆者が確認した限りでは飛天螺旋斬の後になんらかの派生を出しているシーンは皆無であり(あと印弾関連の技も誰も使ってない。何故…?)、プレイしている方々も飛天螺旋斬を大技と認識しているようなので、視聴したハンター達がそう捉えてガッカリしてしまうという構造は無理もなく実際筆者も最初はそうだったのだが、これで多少は認識を新たにしてもらえたのではないかと思う。

まとめ

 長々と語ってしまったがどうだっただろうか。少しは「なるほど、ワイルズの操虫棍いいじゃん!楽しそう!」と思ってもらえただろうか。偉そうに語ってきたが所詮これらは筆者の個人的な解釈と考察と妄想であり、事実と反していたり今後の調整等で覆ってしまう話なのかもしれないが、筆者がワイルズの操虫棍を最高に楽しそうだと感じ期待しているのは事実であり、発売前どころか体験版も出ていない段階でせっかくの新作に落胆してしまっている人を一人でも減らしたいと思っている事は真実だ。

 この記事の内容が当たっているのかどうかはともかくとして、多くのハンター達がこの新作発売前という楽しい時間をより楽しく大きな期待を持って過ごす一助になれていれば嬉しい。


 間違いや追加情報等あれば、コメントにて指摘・共有してもらえると助かります。何かあれば是非気軽にお願いします。


参考動画

『モンスターハンターワイルズ』ドシャグマ討伐:ランス/操虫棍【イベント試遊版】

『モンスターハンターワイルズ』先行プレイ!!操虫棍で行くぞ!!【花咲みやび/ホロスターズ】

Monster Hunter Wilds Hands-on: Exactly What I Hoped For


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