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信長の夢、安土ロゲイニング大会参加レポート

2020年11月29日、日曜日。近江八幡市安土町で開催されたロゲイニング大会に参加しました。

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「ロゲイニングってなに?」というレベルの初心者でしたが、ゲーム性のある街歩きイベントとして楽しむことができました。

我々チームが行動したのは、安土駅からせいぜい半径700メートルの範囲内です。3時間コースだったので、無理せず市街地のチェックポイントだけまわりました。

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途中で立ち寄った安土町の観光スポットを紹介しながら、参加申し込みから事前準備、競技の感想までレポートしてみたいと思います。


ロゲイニングとは

これまで個人的にマラソンやトレイルランニングに取り組んできましたが、「ロゲイニング」というのは聞いたことがありませんでした。

ロゲイニング(Rogaining)とは地図とコンパスを頼りに山のなかを駆け回り、一定の時間内にチェックポイントをまわって得点を競うスポーツです。昔からあったオリエンテーリング(Orienteering)の派生競技といえます。

オリエンテーリングとの違い

子どものころ林間学校でオリエンテーリングを体験したことはあります。森の中で宝探しをするような、楽しいゲームだった記憶があります。

ロゲイニングがオリエンテーリングと異なる点として、

・チェックポイントを通る順番が決められていない
・ゴールまでの所要時間ではなく、制限時間内に獲得した得点を競う

といったルールが挙げられます。

ゴールまでのスピードではなく総合獲得点数で優劣を競うため、集計してみないと結果が分からないおもしろさがあります。コース設定の自由度も高く、フィジカルな能力だけで勝ち負けが決まらない点もユニークです。

マラソンでいえば元陸上部や駅伝選手に勝つのは至難の業ですが、ロゲイニングなら戦略次第でが逆転できる可能性があります。市街地タイプなら女性やシニアもウォーキング感覚で参加できて、間口が広いように思われます。

ただしロゲイニングは21世紀になってから日本に導入されたという事情もあり、世間の認知度はまだ低いように思われます。自分のまわりでも、実際に体験したことがある人はいませんでした。

フォトロゲイニングの流行

安土町のイベントでは、チェックポイントの通過確認に自分で撮った写真が使われました。

このように写真を確認に使うロゲイニングはフォトロゲイニング、略してフォトロゲと呼ばれるようです。

あらかじめ渡された目印と一緒に、チームメンバーをスマホで撮影します。ゴール後に端末内の画像を証拠としてスタッフに見せながら、合計ポイントを集計する仕組みです。

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特殊なアプリは必要なく、スマホかデジカメがあれば誰でも参加できます。逆にそれらのデジタルデバイスを持っていないと参加できない競技ともいえます。端末の貸出サービスはありませんでした。

競技志向のガチ勢が大半

安土町のロゲイニング大会は山間部でなく街中で行われるタイプでした。

途中でグルメ体験があったりお土産をもらえたり、競技志向のスポーツというより観光・町おこしイベントの側面が強いように感じました。

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しかし中には遠くのチェックポイントまで走り回って高得点を狙う、本気のアスリートも参加しています。市民・ファミリー枠よりもむしろ、体をムキムキに鍛えたガチ勢の方が多数派でした。

観光がてらのゆるい街歩きイベントと思って気軽にエントリーしたのですが、たいていの参加者は身なりや装備からして本気モード。真冬なのにTシャツ、短パンという出で立ちの人も見かけました。

ロゲイニングの全国シリーズ戦

当日もらったチラシを眺めると、安土町のイベントは「ナビゲーションゲームズ2020」という全国シリーズ戦のひとつに位置づけられていたようです。

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年間を通して北海道や長野で10以上の大会が行われ、総合獲得ポイントの上位者が表彰されるシステムです。

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近江八幡市は滋賀県のなかでも交通の便がよく、関西~中京圏のコアな競技人口が参加しやすいといえます。近場でポイントを稼げる手ごろなレースとして、都市部の強豪チームが大勢参加されていたように感じます。

いくつもあるロゲイニング大会

本記事で紹介する「信長の夢安土ロゲイニング大会」は、滋賀県オリエンテーリング協会(JOA)という組織が主催するイベントでした。近江八幡市の観光物産協会も協力されています。

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一方で約2週間前の11月14日土曜日に「第11回歴史ロゲ『安土城と近江八幡』」という別の大会が行われていました。こちらはNPO法人日本ライフロングスポーツ協会という組織が運営されていて、まったく別物だったようです。

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どちらもスポーツエントリーのウェブサイトから申し込むことができ、同じように「5時間の部」と「3時間の部」に分かれています。参加費も1人3,000~5,000円と似たようなものです。

素人には違いがわかりにくいのですが、前者JOA主催の方が全国シリーズ戦の一部になっているせいか、シリアスな競技内容に思われました。ウォーキング感覚でのんびり楽しむには後者、歴史ロゲの方が合っていたのかもしれません。

大会エントリーと事前準備

大会への参加申し込みは上記のスポーツエントリーから行いました。過去に同サイトからマラソン大会に参加したことがあり、アカウントは持っていたのでスムーズに登録できました。

今回は3時間の部、男女混合2名参加の枠で申し込みました。料金は合計6,000円で、ウェブ上からクレジットカード決済できました。

市民は500円で参加可

大会直前になって「近江八幡市民は1人500円で参加できる」という情報を聞きました。あらためてスポーツエントリーの申し込みページを見ると、

※市民クラス参加の近江八幡市内在住者は500円(1人につき)です。

と明記されています。画面の下の方には市民クラスの表示枠もありました。

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とっくに決済完了しているので返金のご相談も難しいかと思い、今回はそのまま参加させていただきました。もし今後似たようなレースに参加される機会があったら、市民優遇枠の有無を確認させることをおすすめします。

コンパスはいらない?

大会前に郵送された資料には、当日の受付場所やタイムスケジュールが細かく記載されています。

はじめて参加する競技なので、事前に資料を読んで内容を把握しておきました。必需品としては受付票と時計、スマホかデジタルカメラ、そしてコロナ対策のマスクです。

街中で行われることもあり、コンパスは任意の携行品。当日に保証金2,000円を払えば貸してもらえるサービスもあったので、特に用意はしませんでした。

現地で借りてみたコンパスは定番のSILVA製品で、相当使い込まれた感じです。

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市街地でも方位を確認できれば便利かと思ったのですが、結局スマホでGoogleマップを見れば事足りました。町中ロゲイニングならおそらく、コンパスはそれほど必要でないです。

スマホのGoogleマップで十分

競技のルールとして、スマホアプリを参照することは特に禁止されていませんでした。内蔵のGPSで現在地、電子コンパスで方位もわかるため、コンパスと地図を別々に確認するよりスマホを見た方が圧倒的に早いです。

当日配布される地図もチェックポイントの確認に使う程度。細かい路地をたどるにしても、画面上で拡大表示できるマップアプリの方が便利でした。

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さすがに経路検索までは行いませんでしたが、GPS付きスマホがあればロゲイニングは有利に進められます。いわゆる「地図が読めない」タイプの人でも、こうしたツールを活用すれば善戦できる可能性があります。

シューズと服装

3時間コースなら安土駅周辺をぶらぶらして、せいぜい安土城跡に登るくらいかと想像していました。一応トレッキングシューズを履いて、体温調整ができるよう上着を何枚か重ね着してレースに臨みました。

大会が終わって振り返ってみると、町中を散策するだけなら普段着でよかったかなと思います。念のため水筒と補給食も持参しましたが、途中のお店や自販機で補給できるため、荷物が余計に重くなっただけでした。

ひたすら走り回ってハイスコアを狙うなら、ランニング用の軽いシューズが向いていると思います。山に登るならトレラン用のシューズが安全ですが、大半は舗装路なので普通のランニングシューズで間に合います。

ロードとトレイルを両方走る、富士登山競走と似た感じです。安全性重視なら重めのトレランシューズ、タイム重視なら軽量ランニングシューズと戦略的に履き替えるイメージです。

ロゲイニングのルール

大会によってローカルな違いがあるかもしれませんが、安土町では以下のようなルールでした。

・チェックポイントの場所と得点は本番まで秘密
・当日配布される地図をスタート前に見るのは禁止
・地図を見ながらの作戦タイムは20分間
・チェックポイントのまわり方は自由
・各チェックポイントで見本と同じアングルから写真を撮る
・チームで手分けしてポイントをまわるのは禁止
・制限時間に遅れると、1分あたり50点の減点

この中でも特徴的なのは、チェックポイントの位置とスコアが競技開始までわからないという点です。

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各地で行われているレースの傾向から、観光名所や山頂がポイントになりやすい点は推測できます。しかし得点配分までは予想できないので、本番で地図を見てから順路を組み立てる作戦会議が必要になります。

また3時間コースでは、制限時間内にすべて回り切るのが不可能な設定になっています。高得点を狙って遠方を攻めるか、あるいは近場のポイントを効率的にまわってスコアを稼ぐか、得点配分とチームメンバーの走力を考慮した戦略が必要になります。

単に足が速いだけではレースに勝てないというのが、ロゲイニングの醍醐味に感じました。作戦次第で高齢者や子どもを編成したチームでも勝てる可能性もある、頭脳と体力を駆使した総合競技という印象を受けました。

開会式

安土町コミュニティセンターの大ホールで開会式が行われました。

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商工会長のご挨拶やルール説明の後、「信長隊安土衆」の方々が登壇されました。観光振興を目指したおもてなし武将隊として、数々のイベントに出演されているようです。

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11月の寒空の中、5時間コース終了まで会場で応援してくださったのはありがたいです。近江八幡、安土町といえばやはり信長、安土城。甲冑姿の武者と着物姿の姫君が登場すると盛り上がります。

スタート前の作戦タイム

定刻になると配布された地図を広げて、チームごとの作戦タイムに入ります。20分間は待機時間にあてられているので、抜け駆けして出走することはできません。

公開されたチェックポイントを見ながら、どのルートでまわって帰ってくるか。制限時間内にどこまで行けそうか。みな真剣に議論して会場は盛り上がっていました。

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地図を見たところ観音寺山の城跡、五個荘、武佐宿など遠方にハイスコアが設定されているようです。時間的に往復できそうな難関地点を攻めて、帰りに時間が余ったら市街地のサブポイントを集めてまわる、そんな戦略を思いつきます。

とりあえず我々チームはたいして土地勘もなく、山を登るには時間が足りなそうだったので、予定どおり安土駅周辺の観光名所をめぐることにしました。安土城跡に向かうより、駅の南側のポイントを集めた方が得点は高くなりそうでした。

会場に近い低スコアのチェックポイントでも、数多く集めればそれなりの合計得点になるはず。「労せずした勝つ」…そんな作成を立てて出発しました。

レース本番

武将隊の方々に見送られて安土コミセンからスタートします。やる気のあるチームはすぐに走り去っていきましたが、歩く派の人々は混雑を避けてのんびり出発しました。

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武将隊の方々も外に出て盛り上げてくださいます。

安土町にある湧き水

とりあえず目指したのは会場のすぐ近くにある「北川湧水(10得点)」

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安土小学校の裏手にまわると、地図に示された場所に湧き水がありました。配布資料と同じアングルで案内板を写真に収め、作業完了です。

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競技としての性格を考えると、ロゲイニングでは一か所にとどまらず次々チェックポイントを制覇した方が効率的です。ただし今回は初めて訪れた安土町市街地を探索してみたかったので、名所の由来など読みながらゆっくり進みました。

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次に目指したのは常の浜(じょうのはま)。

公園の中に橋がかかっており、かつてはここが安土城の港であったと知りました。今は内湖が干拓され、琵琶湖が遠くなってしまいましたが、信長の時代には安土まで船で通うことができたそうです。

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そのほか梅の川湧水や音堂涌水といった、地元の湧き水チェックポイントを訪ねてまわりました。

安土町は近江八幡の旧市街と似たような雰囲気を持ちつつ、湧き水や水路があるのが特徴です。五個荘金堂地区の重伝建エリアに近い印象でした。

楽市楽座館で試食会

湧き水巡りがひと段落して次に向かったのは安土楽市楽座館。中に入ると商工会の方が謎のお菓子を振る舞ってくれました。

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「ふのやき」「ふなやき」といわれる昔の郷土料理で、小型のクレープに味噌を挟んだような外観です。

それほど甘くはないので、お菓子なのか食事なのか区別が難しいところもあります。かつて大名の茶会にも使われた「利休好みの菓子」として、復活を目指しているようです。

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個人的には埼玉県熊谷市で食べたことのある「フライ」という名物を思い出しました。あちらは具のないお好み焼きといった感じのシンプルな料理ですが、昔は庶民のおやつだったそうです。今でも熊谷の飲食店でいただくことができます。

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楽市楽座館は昔の銀行を改修した建物であると、地元の方が親切に説明してくださいました。ゼッケンをつけて町中を歩くのはちょっと恥ずかしいですが、地域の方との交流も楽しめるのがロゲイニングの魅力といえます。

信長由来の浄厳院

駅の北側に固まっていたポイントはひと通り網羅したので、JRの線路を超えて南に向かいました。次に目指したのは金勝山(きんしょうざん)浄厳院(じょうごんいん)です。

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このあたりからスコアが50ポイントと徐々に高くなってきます。スタート地点から遠くのお寺を一個クリアすることで、先ほどの湧き水すべて制覇するくらいの評価を得られる計算になります。

もし表彰台を目指すなら、得点400の観音寺城や得点500の乎加(おか)神社という最強ランクは、どちらか押さえておきたいところです。

浄厳院の由来を調べると、信長以前の近江源氏、佐々木六角氏の菩提寺がルーツであるようです。現在残っている本堂、釈迦堂、鐘楼などの建物は、近江八幡から移築されたものとのこと。

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全体的にひなびた風情の古寺なのですが、南側の楼門には朱塗りが少し残っていました。

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田んぼの中に忽然とそびえる大寺院で、スケールの大きさに圧倒されます。近江八幡の旧市街にも同規模の伽藍がいくつかあり、ここでも人口あたりの寺院数が全国No.1という滋賀県の実力を思い知らされます。

丁稚羊羹、安土問答

浄厳院といえば有名なのが安土宗論といわれるエピソードです。1579年、織田信長の統治下で行われた浄土宗と法華宗の宗教論争で『信長公記』にも記されています。

その舞台となったのがこの浄厳院で、今では「安土問答」という丁稚羊羹(でっちようかん)に受け継がれています。安土町にある和菓子屋さん万吾樓(まんごろう)の商品で、こしあんと粒あんの2色になっているめずらしい羊羹です。

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丁稚羊羹はサイズが大きいので、2つの味を楽しめて飽きがこないアイデア商品といえます。竹皮に包まれた見た目が渋く、お土産にもおすすめです。

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万吾樓さんといえば、まけずの鍔(つば)というモナカの方が有名かもしれません。こちらも二色の餡が包まれた変わり種で、合格祈願・必勝祈願のお菓子として人気があります。

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今回のロゲイニング大会では、ゴール時の景品として「まけずの鍔」を1個もらえました。大型で食べごたえのある最中なので、お腹のすいたお昼過ぎにはうれしいサプライズでした。

沙沙貴神社は佐々木姓の発祥地

浄厳院の南には一面、田園風景が広がっています。北から東は安土山、繖(きぬがさ)山。北西を振り返ればロープウェーのある八幡山も見えます。

市街地を出ればスカッと田んぼが開けているのが、近江八幡~安土町の地形的な特徴。日々の散歩やジョギングで、心癒される風景に出会えます。

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次に目指したチェックポイントは沙沙貴(ささき)神社です。漢字は違いますが、全国でも数が多い佐々木姓のルーツであるようです。

道路に面して鳥居がありますが、南側の楼門から入ることをおすすめします。

江戸時代中期に建てられた茅葺の楼門が見事です。楼門の提灯には佐佐木氏の紋様である、四ツ目結いが刻まれています。

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同じようなつくりの楼門といえば、熊本県人吉市にある国宝建築、青井阿蘇神社とを似ている気もします。

拝殿では何かの催しが行われて、巫女さんが舞っていました。全国から集まった佐佐木源氏一族の方のお祭りかもしれません。

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境内には佐佐木大明神をまつった本殿のほかに、「願かけ石」など見どころがたくさんあります。

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のんびり境内を散策している段階で、すでにロゲイニングのことはどうでもよくなりつつあります。

うっそうとした森に囲まれた沙沙貴神社は、競技の得点と関係ないですがスピリチュアルなパワーを感じるスポットでした。

ヴォーリズ建築、旧伊庭家住宅

沙沙貴神社から南のチェックポイントはだいぶ遠くなってしまうので、このあたりで安土駅の方に引き返すことにしました。

帰り道に寄れそうな場所として選んだのは、ヴォーリズ建築の旧伊庭(いば)家住宅です。

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普段から一般公開されているヴォーリズ作品として、一度は訪れてみたかったこの住宅。外壁に柱をあらわしたハーフティンバー様式で、近江八幡旧市街に残っている作品群とはまた違った趣です。

ロゲイニングとしては外観写真を撮るだけでよかったのですが、せっかくなので中にも入ってみました。旧伊庭家にはボランディアガイドの方が常駐されていて、思いがけず丁寧なご説明を受けることができました。

内部をじっくり見学して、無料のコーヒーまでいただき談笑タイム。結局、伊庭家で1時間以上過ごしてしまい、競技のことはすっかり忘れてしまいました。

「実際に行くとがっかりする観光地」という意味で、ツーリストトラップという言葉があります。写真を撮って立ち去るには魅力的すぎる観光スポットは、また別の意味でロゲイニングトラップとでも呼べそうな気がします。

袈裟切地蔵を経てゴール

伊庭家から安土駅への帰り道に、袈裟切地蔵(けさぎりじぞう)というマイナーそうなチェックポイントを拾って帰りました。

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町中なのですぐに見つかるかと思いきや、地図上の目印が大雑把だったので手こずりました。さいわい他のグループがやって来たので、後をつけたらポイント発見。

素人同士のロゲイニングにおいては、他チームとの協調プレイという裏技も使えそうです。集団走行しながら駆け引きを行う、ロードレースと似た感じです。

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最後に安土駅のラッピング駅舎を撮影して散策終了。制限時間5分前に安土コミセンまで帰れました。

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ゴールに置いてあるデジタル時計を撮影して証拠写真を作成。3時間コースに参加した他の方々も、続々と会場に戻ってこられました。

表彰式・閉会式

レース終了後はさっそく獲得したスコアの集計に入ります。受付で渡された用紙に、自分が行ってきたポイント得点を記入します。

スタッフの方にスマホの撮影画面を見せ、証拠の提示も完了。ルール通りにわかりやすい写真を撮ってきたので、確認はスムーズに終わりました。

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我々チームの総得点は314。

途中で沙沙貴神社に参拝し、伊庭家で休憩したにしてはがんばったようにも見えました。しかし他のチームと比べないことには、全体でどのくらいの順位なのか見当もつきません。

次の表彰式・閉会式(3時間の部)まで45分ほど余裕があったので、近所で遅めのランチをいただくことにしました。

味葦庵で食べ放題ランチ

フレンドマートで食品を買ってもよかったのですが、せっかくなので地元の方おすすめの食事処、味葦庵(みよしあん)に行ってみました。

お昼はコーヒー付き1,300円で60分間の食べ放題。ロゲイニングと同じく、制限時間を気にしながらのメニュー選びです。

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味葦庵の料理は地元食材をふんだんに使った手作りのおばんざいで、どれも満足度が高いです。名物の「とろっとろカレー」でお腹を膨らませたあとは、薄味の「あっさりぜんざい」をデザートにして締めます。

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近江八幡に来てから2回目の来店でしたが、安土エリアの食事処として大変おすすめです。安土駅と安土城跡の間にあるので、城跡見学の途中で立ち寄ることもできます。

抽選会でいただいた景品

会場に戻りロゲイニングの表彰式に参加。

ふたを開けてみるとトップ選手は軒並み1,000点を超える高得点で、我々チームは足元にも及びませんでした。

聞けば観音寺城はおろか、東近江市や五個荘まで行ってきた人たちもいるとのこと。ある程度の土地勘はあるので地元勢が有利と思いきや、実力の違いを見せつけられました。

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表彰式は関係なかったですが、その後くじ引きで景品がもらえる「お楽しみ抽選会」が用意されていました。特に期待せず見物していたところ、幸運にもチームの番号を呼ばれました。

景品としていただいたのは大きなお醤油。安土町の老舗、井筒屋醤油店の製品らしいです。

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家に持って帰るには少々重いですが、醤油は必需品なのでうれしいサプライズ。地元産のお醤油をぜひ味わってみたいと思います。

参加特典のお土産が豪華

大会参加のお土産として、特産品の丁字麩(ちょうじふ)と赤こんにゃくもいただけました。

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これだけで市民参加費500円は軽く超えるので、実にお得なサービスといえます。友人や親戚へのお土産としてよく買いますが、意外と自分で食べたことのないものでした。

乃利松(のりまつ)さんの八幡こんにゃくは元から味がついているので、調理せずそのまま食卓に出せます。醤油とかつおの出汁が効いていて、山形の玉こんにゃくを思い出させるような味付けです。

大みそかのお酒のつまみに、八幡こんにゃくをいただきました。ワインにも日本酒にも合います。

赤こんにゃくは食物繊維と一緒に鉄分を摂取できるヘルシーフード。見た目はちょっと独特で普通のこんにゃくより割高ですが、遠くの親戚に送るとめずらしがられます。

ロゲイニング初参加の感想

今回は3時間コースという短い方の参加枠でしたが、初めてのロゲイニング大会を十分に楽しめました。

オリエンテーリングは一人で藪の中を駆け回る過酷なスポーツというイメージがありました。ロゲイニングの方は基本的にチーム戦で、基礎体力と同じくらい戦略性が要求されます。家族や友人、職場の仲間と作戦を練るのは、とても楽しい時間に思われます。

老若男女が楽しめるスポーツイベントとして、ロゲイニングはこれからもっと広まりそうな気がします。競技性を薄めれば、地域の観光名所を発掘するウォーキング大会としても有効です。

街ロゲ、観光ロゲ、自転車ロゲ

レースを振り返ると、安土楽市楽座館で「ふなやき」が試食できるグルメイベントがありました。

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チェックポイントで飲食できる機会を増やせば、ガストロノミーウォーキングのようなイベントにもなりえます。観光客に地元の郷土料理を紹介するには、うってつけの企画です。

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山岳ロゲイニングの競技人口に比べれば、こうした街ロゲ・観光ロゲのマーケットは裾野が広いと思われます。スマホを使ったフォトロゲはSNSでの拡散、宣伝効果も期待できます。

自転車とロゲイニングを融合したサイクルロゲイニング(シクログ)といった新ジャンルも生まれています。自転車なら素人でも広範囲を移動できるので、ゲームとしてのおもしろさはさらに高まりそうです。

イベント実施のコスト

地域振興を目的としたイベントとして期待されるロゲイニング。しかし手動でのスコア集計を考えると、それほど参加人数は増やせないかもしれません。

今回の安土町イベントは全体の参加者127人、参加チームは50組あったそうです。マラソンや自転車ロードレースのように警備や交通誘導の必要性は省ける一方、少ない参加費で運営費用を捻出するのは難しい気もします。

事前にチェックポイントを選定・撮影、スコア設定する作業も、協会メンバーや地元の方々がボランティアで行われている様子です。この点はNaviTabiやCYCLOG/Getterzのようなロゲイニング支援アプリを導入すれば、省力化を図れるかもしれまんせん。

一方でレース定員とエントリー希望者の需給関係によっては、トライアスロン大会のように参加費数万円となるパターンも想像できます。

ロゲイニングが大流行して競技志向のマラソン・トレラン愛好家を取り込めれば、全国シリーズ戦は大人気。チャンピオンシップを目指してガチ勢が切磋琢磨する、巨大マーケットに化けそうな可能性も感じます。

ロゲイニングの観光振興効果

ロゲイニングのチェックポイント予想を考えると、熱心な参加者は事前に現地を訪れているかもしれません。

いちいち地図を開かずに目的地へ走れればタイム短縮、スコアアップにつながります。土地勘の有無がハンデともいえるスポーツなので、本気で上位を目指すなら現地を試走した方が有利です。

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日帰りのランナーが地元にお金を落としてくれるかというと微妙ですが、チェックポイント(になりそうな場所)の下見という観光ニーズも副次的に生じます。地理的戦略性が重視されるため、マラソンやサイクリングよりコースを下見するインセンティブは高いです。

市民向けウォーキング大会

遠方からの参加者以外に、地元の人をターゲットにした観光イベントとしてもロゲイニングは有効に思われます。

たとえば近江八幡市民でも沖島に行ったことがない人。駅前から学校へ往復するだけで、八幡堀周辺の観光地をちゃんと見たことがない高校生は存在します。

いつでも行けると思うと、わざわざ行く気にならない…そういう気持ちで近場の観光地を知らない人は、案外多いのではないでしょうか。

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10年前に合併した安土町は、近江八幡の中心部から離れています。

車があればすぐですが、徒歩や自転車で行き来するには互いに遠いエリア。今回のロゲイニングに参加しなければ、安土町をじっくり散策する機会はなかったかもしれません。

マイクロツーリズムの推進

新型コロナウイルス感染症の影響下で、自宅の近くに旅行する「マイクロツーリズム」という行動が推奨されています。

今まで何となく認識はしていたけど、行く機会がなかった近所の観光地を、あらためて開拓できるチャンスともいえます。

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ロゲイニングに参加することで、安土町の寺社仏閣やレアな湧き水を見てまわることができました。たいていのチェックポイントは観光名所に設定されているので、ゲーム感覚で効率的に見どころを周遊することができます。

地域の歴史文化に関する知識が増えると、自然と地元への愛着も湧いてきます。

他県から観光客を呼ぶだけでなく、地域住民の郷土愛やシビックプライドを醸成するきかっけとしても、ロゲイニング大会は有意義に思われました。

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来年もまた安土町や近江八幡市で競技が行われることがあれば、今度はハイスコアを狙って地元を走り回ってみたいと思います。

寒空のなか重い甲冑を背負って応援してくださった武将隊の方々、事務局・運営スタッフの皆さまはお疲れさまです。楽しいイベントに参加させていただき、ありがとうございました。

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