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【折田楓ブログ】デジタル戦略代理店の中の人の立場から
※この記事は特にデジタル戦略の代理店などに就職したい大学生、すでに代理店にお勤めの1年生、2年生などにおすすめです。
炎上・事故は突然に
「そんなわけない!」「何かの間違い」
99%の場合、代理店の担当者は自分以外の誰かから担当する案件の炎上や配信事故を知らされ、すぐには事実の認識ができない。
だって何週間もかけてクライアントと投稿内容の合意をとるし、配信前にテストもバッチリするし、複数人で指差し確認してから公開ボタンを押すのだ。
「やれやれ今回も無事終わった」などと思っていると、別の誰かから連絡が入る。
「今日の配信、事故ってます」
「そんなバカな……」事実を受け入れるべく、確認作業を進めていく。ああ、どうやら事故は事実だ。顔から血の気が引いていき、心臓がバクバクしてくる。数百万のフォロワーから続々とクライアントのカスタマーセンターにクレームの電話が入る映像が脳裏に浮かぶ。
「はぁ……」
ここで一回絶望して頭を抱え、泣きそうになりながら机に顔を伏せ、動揺して逃げ出したくなる自分を我慢させる。40代のおっさんの話である。
だが慌ててクライアントに連絡はしない。まず社内の事故レポートフローを確認。この後の対策を頭で高速にリストアップして書き出す。そこまでやってやっとクライアントに連絡を入れる。メールやメッセンジャーではダメ、この時代でも電話である。
「〇〇様、申し訳ありません。悪いお知らせをしなければなりません」
「今後の対策については1時間以内にまとめて再度ご連絡します」
ここまで1セット。代理店の担当者は事故と謝罪の対応もできてやっと一人前である。大変なお仕事です。
社会人なら一発アウトの折田楓ブログ
「業務上知り得た情報を外に漏らしてはならない」(一般的な機密保持)
「個人のソーシャルメディアに業務上の情報を投稿してはならない」(ソーシャルメディア利用ガイドライン)
上記、おおよその企業で入社時に結ばされる雇用契約や従業員規則にありがちな文言を適当に書いてみた。社会人としてお仕事するなら「赤信号渡っちゃダメ」レベルの常識中の常識である。
なお、筆者が勤めている会社でも、在職している7年の間に2回ほどこのレベルのおバカ事故のケースを見たことがある。なお、事故を起こした2名は当然いなくなってますが、いずれも新卒レベルの子らで、かっこいい提案書とか作って舞い上がっちゃった気持ちを理解しないでもない。でも、絶っっ対あかん。従業員規則をもう一回よく読め。
さて2024年11月の兵庫県知事選。当選した斉藤氏の選挙PR戦略を請け負ったとされるPR代理店の方が、その戦略をnoteに公開して炎上しております。斉藤氏との間でどのような合意があったかはわかりません。斉藤氏から「全公開オッケーです」という合意が取れていることを願いますが、考えづらいよな。
SNS戦略なんて個人でもできる
「400人のSNS投稿スタッフがいた」という次なる「デマ」がさも事実かのように流されてしまい、驚きを隠せないと同時に、「私の働きは400人分に見えていたんや!」と少し誇らしくもなりました。そのような仕事を、東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けたということもアピールしておきたいです。
実は筆者の勤めている代理店はそこそこの規模でして、分類としては大手に入ります。よく誤解をされるのが「大手だから優秀な人がやってくれる」ってやつ(優秀な人もいますけどね)。
でもですね。大手代理店だって働いているのは同じ人間です。実は人間なんて能力に大差なんてさほどなくて、特にSNSの戦略や運用なんて個人でも少数でできるし、実際それで成り立ちます。
大手代理店のメリットは代えがきくこと
「じゃ大手なんていらないじゃん」
と、思うでしょ?
クライアントが代理店を雇う理由は2つあります。
一つは専門家・プロにお願いできること。
もう一つは失敗したりうまくいかなかった時に代理店の責任にできること。
筆者も数々の事故を起こしてきた歴戦の謝罪王ですが、どれだけ強者であっても事故の発生中はその処理で頭がいっぱいになります。その間、やらなければいけない他の業務は全部止まるし、メンタルもボロボロです。
これ、個人や中小で請け負ってることを想像してみてください。他の業務が止まり、担当者のメンタルがボロボロになる。最悪その後の訴訟や賠償が控えている。そうです、下手すりゃ全部吹っ飛ぶわけです。クライアントからすれば責任取らずに逃げ出されてしまうリスクでもある。
これが大手だと、事故対応中であれば文句言いながらも手伝ってくれる周りのスタッフがいるし、担当が鬱になれば別の担当がつくし、訴訟で勝てば取れるものは取れるし、良くも悪くもきちんと最後までお付き合いしてくれるわけです。つまり大手は逃げない。
あとは社員の教育も大手は徹底してます(上記の通り、在職7年で2人のおバカを目撃はしましたが)。しつこいくらい機密保持、情報漏洩、データの管理、研修、研修、研修……。こういうことが全体のガバナンスのレベルとして現れます。最低でも社長自らブログにクライアントへの提案内容を公開するようなことはおかしいぞ、と認識できる社員にはなります。
ガバナンス、プライスレス
とはいえ「だから大手がいい」とは思ってないです。
大手のガバナンスをお手本にしても個人中小事業は回らないだろうし、そこら辺をすっ飛ばしてスピード感のある事業展開ができるのが魅力であります。私も個人会社をやっていたのでわかります。
ただ基本的なビジネス常識に照らして、どう考えても顧客との仕事内容をあけっぴろげに公開するのは一般的ではないです。斉藤氏も外からの見栄えを気にする方のようですし、きちんと県の広報なども交えながら慎重に進めるのが信頼と責任のあるビジネスマンとしての行動だと思います。
繰り返しになりますが、斉藤氏と折田氏でどのような合意があってnoteの公開に至ったかはわかりません。
広報PRの仕事に興味のある学生さんはご一読ください
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