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「ママがやった方が早い」の積み重ねは負担が偏在化する。全体最適と部分最適の組み合わせを目指す。

今回は、前回のママ目線のお風呂にまつわる不満を、少しだけ掘り下げて考えてみます。

会社で仕事をしていると「全体最適」という視点がたびたび必要になってきます。全体最適とは、組織全体が最適化された状態を示す経営用語のひとつです。チーム内を広く見渡し、似たような業務を別々の担当者が行っているのを片方に集約するなどといった改善活動は、組織の中でベテランと言われる層のメンバーなら日常的に考えていることと思います。


我が家は子供を授かるのが遅かったため、夫婦共にそこそこの年齢です。それぞれの社会人経験から、組織を効率的にマネジメントするためには全体最適の視点を持つことが大切であるということは身に染みてわかっています。それを無意識のうちに家庭内の家事分担に適用したところ、結論から言うとうまくいかなかったのです。


我が家の長男(以下、王子)、保育園の送迎もお風呂もお昼寝も夜の寝かしつけも、できれば全部ママとしたい派です。パパと一緒にやろうよと説得を試みたことは数知れず。しかしその意志は断固として固く、中でも、お風呂とねんねは一番の聖域となっていて、パパの入る余地は皆無です。結局高すぎる「説得のコスト」から、この聖域業務はママ担当となるわけです。

そうしてママとお風呂に入った、その後です。

今、浴槽のお湯は適温。このまま放置すると当然お湯は冷めていくので、光熱費削減の観点から私達夫婦は、間を置かず入れ替わりでパパが入ったほうがロスが少ないと判断します。

パパ不在の中、自分のことは後回しで必死で裸の王子を追い回すママ‥ふと気づけば、ママばかりが大変になっています。そしてママは不機嫌になり、空気はギクシャク。パジャマを着ずに裸で走り回っているのはいつもと同じなのに、いつもよりきつく叱られる王子。

これならば、お風呂の追い焚きコストを払ってでも、二人体制でお風呂後の一連の業務をこなした方が良かったのです。

家庭は最小の組織であり、個人の利益だけでなく組織全体の効率を考えて動くことが大切なことは紛れもない事実です。ですが、それだけを追求すると、組織の構成員である夫婦間の利害が対立して、そのことから新たな問題が勃発し、結果として効率化を損なってしまうこともあるということを身をもって実感しました。

組織(家庭)の中でも構成員(夫婦)はそれぞれ感情を持つ生身の人間。さらに夫婦は家庭という組織のマネジメント層であり、末端の一構成員でもあるのです。マネジメント層として全体最適を意識しつつ、状況に応じて一構成員として部分最適を優先することの大切さを痛感しました。

あれこれと難しく考えましたが、「それはちょっと私が大変だからやめよう」と言うことは、決して「全体最適を無視した幼稚な提案」ではありません。全体最適と部分最適の組み合わせでスムーズな家事分担、ひいては平和な家庭が実現するのだと思います。

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